J1第26節 横浜M×柏(日産)


 台風が近付く中で時間が経つほどに雨脚が強まる中での試合。浴衣デーという事で浴衣姿の人が目立っていたが、ちょっと時期の設定を見誤っていたかなと思う。そもそも9月半ばは暑さも和らいで浴衣だと少し寒い位だと思うが、運不運の要素に左右される天候も9月は台風が多く、特に明日9/17は台風襲来の特異日らしいので、その辺のリスクの見積もりがどうだったか。8/26のFC東京戦なら時期的に良かったと思うが。
 今日も場内暗転したが、これまでと違って緩いラップ調の曲が流れてスクリーンに応援メッセージが表示される演出で、スタジアムはまるで結婚式でエンディングムービーが流れた時の様な空気を醸し出していた。試合直前のテンションを上げていく演出としてどうだったかは敢えて言うまい。

 試合について。前節を始め今季敗れた試合を振り返ると、マリノスはGKや最終ラインにプレスを掛けられるとそれをかわせず押し込まれてピンチを招く事が多い。マリノス守備陣は跳ね返す力はあるが繋ぎは器用では無いので、連動したプレスを掛けられると1試合に数度パスミス等で危険なシーンを作られてしまう。4月に柏に敗れた時もこの展開だった。
 今日も柏はクリスティアーノや伊東、ハモン・ロペスといった前の選手が積極的に寄せてきたのだが、前節の川崎と比較してそれほど組織立った動きではなく、逆にマリノスの前線が柏の守備陣に圧力を掛けるシーンが目立った。柏の最終ラインはなかなか前にボールを運べず、マリノスは中盤でボールを奪ってサイドから相手ゴールに近付いたのだが、前半9分にオーバーラップした山中のクロスが相手に当たった跳ね返りが齋藤の前にこぼれ、フリーだったこの選手がそのまま左45度からミドルを決めて先制。これでようやくリーグ戦初ゴールだが、毎シーズン1~2度決めるこの選手のゴラッソが今回出たという感じ。もしかしたら今季中にあと1度くらいドリブルで相手を抜き去って決めるゴールも見られるかもしれない。ただゴールを量産するにはやはり昨季のようにエリア内に飛び込んで味方のクロスにダイレクトで合わせるシーンを増やす必要があるように思う。前半はマリノスが押し気味の展開のまま、柏に殆どチャンスを作らせず終了した。柏はやはり最終ラインと前線の繋ぎに少し難があった。前回対戦した時にいた手島はその辺が上手かった印象なのだが、今日同じポジションにいたキム・ボギョンはボールを受けたら自分で前に仕掛けるのを好むので前が渋滞してしまい、バランスやボール回しが停滞していた。
 ただ後半は柏が押し込み、マリノスのサイドが空くようになって柏の両SBからのクロスが増え始める。マリノスもカウンターで山中のクロスにマルティノスがフリーで合わせるというシーンもあったのだが、これはミートせず。今日の山中は古巣相手故かいつも以上に激しいプレーだった。前半には弾丸FKも披露したし、このレベルのプレーを継続すれば代表の候補リストに入ってもおかしくない。
 後半の半ば以降は完全に柏が試合を支配し、マリノスは富樫→喜田で0トップ(天野が前線に)にして1点を守りに行ったのだが、押し込まれ具合がどうもホームの広島戦と被って仕方なかった。あの時は後半40分頃に同点に追い付かれたのだが、今日はアディショナルタイムまであと1~2分という時間にクリスティアーノにFKを決められた。クリスティアーノは前半にパク・ジョンスとの接触で出血し、その時から興奮状態で結構荒ぶってたのだが、それを警告、退場といったマイナスのベクトルに作用させず、こうしたプレーに昇華させたのはさすがだ。同点後、アディショナルタイムにはお互い1度ずつチャンスがあり、特にマルティノスのスルーパスに抜け出した齋藤がGKと1対1というシーンは1点ものだったが、中村が上手く手を伸ばして齋藤を倒さずボールを止めた。そのまま試合終了。
 目安として首位との勝点差が残り試合数以下なら逆転の芽はあり、マリノスは今節前までは残り9試合で8差だったのだが、これで残り8試合で10差。ACL出場圏内が現実的な目標になってきた。C大阪、鹿島とのホーム戦も残しているのでチャンスはあるが、ただ先制されると勝てない(リーグ戦6戦全敗で無得点)、ホームでの戦績は昨季より良いが(8勝5分1敗)、5分全てが追い付かれた試合というのを考えると上位を狙うには勝点差以上にハードルは高いようにも。

J1第25節 川崎×横浜M(等々力)


 等々力でのこのカードは2年ぶり。たまたま行けなかった昨年が10年に一度あるかどうかという展開だったのはさておき(苦笑)、今季は2位と3位の直接対決という点で面白い試合になりそうだった。これまでの経験から言うとこのカードは先制した方が勝つのだが、試合前の予想としては前回の対戦のように川崎が攻めてマリノスが守り、マリノスがカウンターやセットプレーから先制すれば行けるかなというもの。特に前回の日産での対戦は、前半0-0で後半にマリノスのカウンター2発で2-0だったんで、今回も同じ展開になる可能性はあると思った。

 そして試合が始まったのだが、川崎がボールを保持して攻め込んで来るのは想定内だったが、そのボール回しのレベルは想像を超えていた。とにかく隙が無いんだな。これまでなら何度か奪い所はあって、マリノスがボールを奪ってカウンターで決定機というシーンも作れたのだが、今日の前半、特に35分頃まではそれすら叶わず只管ボールを支配されてカウンターのチャンスも相手守備陣に潰されるという展開だった。そんな中で前半15分に早くも川崎が先制。デゲネクのクリアをダイレクトで合わせたミドルだった。

 今日の川崎を見ていると、おそらくマリノスをかなり研究してきたんだろうなというのが窺えた。川崎に攻められつつもマリノス守備陣が前の齋藤、マルティノスに繋ごうというパスを川崎は悉くクリアして繋げさせない。またそのサイドの2人(齋藤&マルティノス)に対しても常に距離を詰めて対応して加速による抜け出しを防いでいた。相手を研究して対策しつつ自分達の強み(パスワーク)を出してくる川崎に対して、前半のマリノスはちょっと混乱していたと思う。徐々に目の前の相手しか目に入らなくなって、一生懸命目の前の相手からボールを奪ってもすぐ相手にボールを拾われて波状攻撃を食らうとか、サイドのマークがずれてきて、左右両サイド深い位置からフリーでクロスを上げられるというシーンも目に付くようになった。前半のマリノスのチャンスと言えば、マルティノスのクロスを前線中央のウーゴが合わせたシーンくらいだろうか。(ミートせず相手GK正面に。)こうして前半が終了。

 後半は流れを変える意味でも積極的に攻めに出る必要があり、特に最初の10分が重要だと思っていたのだが、前半よりはマシという程度の内容で、後半15分に追加点を奪われる始末。これでちょっと試合が見えてしまった感はあった。2失点目は自陣ゴール前での松原のタックルが中途半端で相手にボールを奪われてからの展開だったが、全体的に個々のスキルの差を感じた試合でもあった。それはトラップやパスの精度、角度という細かい部分ではあるのだが、そうした差が積み重なった結果が今日の内容なのかなと。具体的な名を挙げると特に喜田、天野はちょっとキツかった。喜田は豊富な運動量で守備面ではいい働きをするものの、攻撃面―――特にカウンターのスイッチを入れるようなパスにおいては課題があり、今日はそれが顕著に出てしまっていたかな。前半川崎にボールを保持されつつも喜田がボールを奪うシーンが幾つかあったのだが、いずれも近くの味方へのパスに終始してしまっていた。前半途中から、この選手がボールを持ってもやけに川崎のマークが甘いなと思ったのだが、おそらく事前の分析で喜田から縦へのパスが無いことを見抜いていたのではないかと思う。縦への危険なパスが出ないならその分他の選手をマークしようというか。
 天野もこれまで中位、下位相手に見せてきたプレーは出せず仕舞いだった。これまで例えば新潟戦で見せたようなミドルなど、左足のセンスを上位相手に出せればワンランク高みに達せるかなと思っていたが、今日の内容は未だそのレベルでは無いことを実証する結果となった。唯一の見せ場は相手ゴール前でこぼれを拾ってボレーというシーンだったが、これはポスト脇を逸れていった。それ以外では果たしてどれだけボールに触れられたのかという内容。

 終盤には再び自陣ゴール前でボールを奪われ、それを最後は家長に決められ3点目。最後まで想定を越える川崎のサッカーへの対処で終わってしまった90分だった。一緒に観ていた友人はこの後終了を待たずして帰路に就くほどで(苦笑)そんな訳で帰りは独り新丸子まで歩いて帰路へ。

 

サウジ戦

深夜2時半開始は中途半端過ぎていつ睡眠を取るか色々考えたが、結局21時頃に豪州×タイの結果を見つつ就寝。起きたらウズベク×韓国の後半で、そのままサウジ戦へ。

・決定機自体は失点する迄に結構あったのだが、これを決められなかったのが痛かったな。失点後は暑さで点を取る以前にプレーするのがやっとという状態だった。

・ハリルは本田を45分限定で使う予定だったと述べていたが、今日のスタメンはまず本田起用を前提として負傷離脱した長谷部、大迫のポジションに柴崎、岡崎を置き、左FWに乾を置くと縦に突破する選手がいなくなるので原口、という感じで決まったのではないかと思う。逆に言えばそれ以外でスタメンを替えるつもりは無かったのではないかな。おそらく本田を使う(そして大迫が欠場)と決めた時点で攻撃は豪州戦ほどの強度が無くなるのは織り込み済みで、その上で結果を出す事を考えて守備陣を替えることによるこれ以上のリスクを掛けたくなかったと推測。

・今の本田は右FWをやるには縦への突破は望めず、かといって横の動きで攻撃に変化を付ける点では乾ほどでもないという状態でちょっと厳しい。若い頃は右サイドを縦に突破するシーンがよくあったが、今はもうそのプレーは望めない。中盤に置くにも井手口、山口、柴崎ほど走力や守備がある訳ではないしなぁ。最終予選緒戦やパチューカでのデビュー戦とか思い切ってシュートを狙うゴールへの意識の高さは代表の中でも高いレベルにあると思うんで、今はクラブでコンディションを整える事に専念した方がいい。10月、11月の親善試合に呼ばないというのも手だと思う。

・岡崎もクラブと同じ2トップなら活きると思うが今の布陣だと前線中央で一人身体を張ることになってなかなか厳しい。泥臭くゴール前で飛び込める選手は絶対必要なので本大会には選ばれると思うが・・。前で収めるタイプとして杉本は結構有力候補だと思っているのだが、この試合は出場した時点で最終ラインは下がったまま間延びした状態での放り込みという非常事態だったので、もう少しまともな展開、コンディションでどうなのか見てみたい。

・失点シーンもそうだが、サウジの選手は他の中東諸国よりやたら動きのキレやシュートスピードがある。中東で一番テクニックがあるのがサウジ、フィジカルならイラン、その中間がイラクという印象。

・サウジのスタジアムはミュンヘンアリアンツ・アレナみたいで素晴らしかった。中東のスタジアム=古い陸上トラック付というのはもう過去の話で、UAEやカタールには立派な専用スタジアムが幾つも建っている。照明も明るく芝の緑が映えていたが、この点も昔は明度が低く、TV中継も少し薄暗い映像だったのと対照的。

横浜スタジアムへ

 友人からチケットがあるという事で3年振りに浜スタに行った。前回は平日ナイターだったが今日は土曜、しかも3位4位の直接対決と言うこともあってスタンドはほぼ満席。17時過ぎに関内に着いたのだが、京浜東北線横浜駅から既に通勤ラッシュ並みの混雑だった。

 サッカーに限らずスポーツに関してはリーグシステム、スタジアム、アリーナ(のデザイン)に興味があるのだが、スタンドに入ってまず目を引いたのは前回来た時よりも増えた青いシート。全体の8割は従来のオレンジから青に変わっていたが、やはりチームカラーとスタンドの座席が揃うとホーム感が増すな。サッカーでも最近はそういう点も考慮されているようで、近年新築、改築された吹田スタジアム長野Uスタジアムミクニワールドスタジアム(北九州)、等々力のシートはそれぞれのクラブのチームカラー。日産スタジアムも座席を今の薄水色ではなくより深い青にしたらかなり印象が変わると思う。

 ホーム感と書いたが、ベイスターズファンの占める割合も増えたように思う。巨人相手ならかつてはレフトスタンド全体+3塁側の大半は巨人ファンで占められてたと思うが、今日はレフトスタンドの半分はベイスターズファンで、自分の座っていた3塁側も比率は6:4でベイスターズという感じ。一緒に観た友人曰くベイスターズが増えたのと巨人ファンが減った両面があるという事だった。昔は何となく野球に興味を持ったらメディア露出の多い巨人から入る人が多く、それがそのままファン数に繋がっていたが、今は昔ほど地上波の中継も無いので相対的に影響力が低下していると。まぁ今でも広島や阪神相手なら3塁側は相手側で埋まるとの事だったが。

 試合はどちらかというと投手戦で最初は横浜の先発石田の方が安定感があったのだが、走者が出た後に少し不安定になって押し出し等で得点を許し、反対に巨人の先発畠は常に一定のリズムで投げていたのが印象深い。1-3とリードされた横浜は最終回に走者2人を出したが最後はピッチャーゴロで終了。すぐスタジアムを出たものの(日産帰りの新横浜や埼スタ帰りの浦和美園を思い浮かべつつ)帰りの関内駅は混むんだろうなと覚悟したが思ったほどでは無く来た電車にすぐ乗れた。他にもみなとみらい線や市営地下鉄、あるいはバスという手段もあるし、都心部にスタジアムのある強味だな。スタンドから周囲のビルが見えるというのは郊外に立地している事が大半のサッカーではあまり無く、強いて言えば旧国立がそうだったかという程度。やっぱアクセスも重要な要素と感じた。

豪州戦

後半半ば過ぎから、リードした後のなかなか時計が進まないもどかしさと、その一方であまり失点する気もしない安心感が2:1位で混じった感覚が続いていたのだが、代表戦でこんな感覚はそれこそ南アW杯以来ではないかと思う。あの時も今日の戦い方に近い、ポゼッションよりも守備の堅さとカウンターの鋭さで勝負するチームだったから余計に思い出された。

 以下雑感。
・スタメンに乾の名前があるのを見た時、面白いと思った。以前から言っていることだが、監督の志向するサッカーに合致した11人で固めるよりも、何人か“異分子”を入れた方がチームが機能する時がある。ボールを繋ぐチームならアンカーに中盤にダイナモ、ファイターを置くとか、縦への早さを志向するチームなら攻撃陣にスピード、フィジカルタイプだけで無く中盤で間合いを取れるテクニシャンを置くとか。ハリルホジッチの志向なら右が浅野ときたら左は原口が自然だが、ここで敢えて乾を置いたのはそういう“外し”が感じられて試合前からちょっと期待してしまった。まぁ原口はクラブで控えなのでスタメンには不安があったという面もあるかもしれないが、縦へ突破する浅野と横への動きもある乾のコンビで攻撃が単調にならず、ある程度バリエーションが生まれたのではないかと思う。

・浅野はゴールまでは酒井と全く息が合っておらずちょっと浮いてた感もあったのだが、逆サイドの長友のクロスに合わせて点を決めるんだから分からないものだな(笑)長友もそれまで酒井に比べて攻撃参加は少なかったのに、あの時間帯に急に攻め上がってきてアシストと。サッカーは1対1の関係が無数に積み重なって出来上がるもので、特定の2人の関係だけ見てどうこう言うのはまさしく木を見て森を見ずだと痛感した。

・ちょっと今日の井手口は凄すぎたな。試合の半ば頃から遅くとも来夏には欧州行ってるだろうなと思ったが、あのゴールで多分年明けには行ってしまうだろう。(W杯半年前という時期なので敢えて残るという可能性もあるが。)マリノス戦でのミドル2発のイメージが強く、ボランチより少し前目のポジションの印象だったのだが、守備でも貢献してたし、ガンバユースで言うなら稲本、橋本等のボランチと二川、倉田、家長ら2列目のアタッカーの要素を兼ね備えている感じ。友人が中田ヒデに似ていると試合中から呟いていて、??だったのだが試合後のインタビューで顔がアップになった時確かに似てると思った(笑)そう言えば中田とは20学年違いだが、丁度20年前のフランス予選ではこの人が活躍したのだった。

ハリルホジッチは相手に応じて人や布陣を替えつつ徹底的に相手の弱みを突くという点で岡田氏がより先鋭化された印象を受ける。今日の酒井と浅野のコンビネーションの様に、スタメンを替えることによるデメリットもあるのだが、3月のUAE戦、今日とそれ以上にチームを機能させてきた。そういうサッカーをするには手持ちのカードが多ければ多いほど良い訳だが、この1年はその手札を増やす(育てる)のも平行しながら戦ってきた訳で、波はあったとは言え1試合残して予選突破なのだから十分すぎる結果。相手に応じたサッカーなので、本大会メンバーは抽選会次第で変わってくるのだろう。

・世代交代という意味では、丁度1年前が緒戦、つまり●1-2で負けたUAE戦だった訳だが、今日はあの試合からスタメンは8人入れ替わっていた。2試合ともスタメンだったのは吉田、酒井宏、長谷部のみ。1年前はまだザック時代の主力がそのままという感じで、当時の雑感でももっと若い世代の台頭を促していたのだが、当時名を挙げた面々もまだ伸び悩んでいる選手もいるが久保、浅野など何人か代表に定着し、更に若い井手口も一気に駆け上がってきたので、あと何人か、出来れば東京五輪世代が出てきて欲しい。例え本大会メンバーはならずとも前回の南野の様にバックアップに選ばれる位までには。

・その点でサウジ戦は杉本、三浦、植田らを使って欲しいのだが。いきなりCB2人を代表デビューというのは非現実的なので、吉田と誰かを組ますとかで。GKも出来れば中村を見てみたいが・・まぁ川島が出ないとしても東口かな。12月にEAFF E-1フットボールチャンピオンシップという東アジアカップの後継大会が日本で開催されるので、おそらく国内の若い選手はここで何人か代表デビューする事になるのだと思う。

J1第24節 横浜M×FC東京(日産)


 7/29の清水戦には行かなかったので(それでも1ヶ月前になるが)、日産は7/8の広島戦以来か。この間も観戦自体は結構してたのだが、三ツ沢→ビッグスワン長良川→三ツ沢→西が丘→等々力とまぁ色々行ったな。

 前半はいつも通りの0-0だったが、東京は3バックで、両サイドの裏、サイドと中盤の間が空いているのでマリノスとしてはそこに上手く縦パスを入れることが出来、いつもの前半よりはゴール前に到達する回数が多かったように思う。前半両チーム最大の決定機は高萩が飛び出してGKと1対1というシーンだったが、ループ気味のシュートを外した。
 後半はこれもいつも通りマリノスがカウンターで徐々にゴールに近付くようになり、齋藤や山中が左サイドから突破してクロス→右サイドから走り込んだマルティノスが飛び込むというシーンが2度ほどあったが、シュートがミートしなかったり合わせられずでノーゴール。そんな中で残り10分を切った頃に左サイドからのクロスを途中出場のウーゴが頭で合わせ、これがポストに当たってゴールイン。この選手はあまり大きくないので頭で合わせるプレーはそれほど多くないが、ヘディングする時は開幕戦の浦和戦然りで上手くマークを外し、叩き付ける感じで枠内をしっかり捉える。この辺りは身体能力では測れないFWとしてのセンスだな。その後FC東京もクロスバーを叩くシュートがあったがこれは入らず(距離が遠く現地では状況がよく分からなかったが、後でハイライトを視ると中島のループシュートだった。)、そのまま試合終了。

 前回の対戦は現地に行かずハイライトを視たのみだったが、あの試合も双方に決定機がありつつ0-0のまま終盤にマリノスが先制して1-0だった。それ以外にもここ最近東京相手に勝つ時は、富樫が特別指定でJデビューゴールを決めた時(15年)や13年に3-2で勝った時の様に、終盤に決勝点を挙げるパターンが多い気がする。これで14戦負け無しか。とにかく守備は安定しているが、そういう場合、相手もそれを意識して必要以上にシュートモーションが堅くなったり、狙い過ぎてワンテンポ遅れたりする。それが好循環を呼んで更に守備が安定するのだが、今日の高萩の決定機もそんな感じだった。シュートまでのパスや人の動きは素晴らしく、マリノスとしては完全に崩された形だったが、結果はシュートミス。ただこのまま残り10試合無失点という事は考えにくく先制を許す事も有り得るが、その時どうなるかだな。今季公式戦で先制された試合は8戦全敗で、優勝争いするには少なくとも追い付いて勝点1を得る戦いが必要。

 東京を観るのは今季初めてだったが、このチームは選手だけでなく監督にも投資すべきで、それを含めたチーム編成の戦略を立てられる人が必要なのかとは思った。試合内容は順位ほど悪くない(実際今日も終盤までほぼ互角だった訳で)のだが、多くの選手に代表歴があって五輪の10番も2人いたりする中で、それがチーム力に反映されてないというか。フィッカデンティ時代の緻密さに比べるとやはりポジショニングとかパスを回す時の身体の使い方だったりが甘く見えてしまうんだな。また前田、大久保、ウタカ、永井と人員過多な前線とか、小川を育てるのかと思ったら太田を復帰させるとか(今日は小川がスタメンだったが)、中堅、ベテランを獲る割にU23チームをJ3参戦させてるのも、トップとU23の連携という点でどうなのか、という。

 帰りはすぐにスタジアムを出て溝の口行きバスに乗車。最近はこれがパターンになっており、もはや新横浜駅の帰りの混雑には耐えられない(笑)

ACL準々決勝第1戦 川崎×浦和(等々力)


 一昨日、つまり週明けの月曜に何気なく試合日程を眺めていると、今週水曜にACLが等々力であるのを知った。日本勢同士のトーナメント戦もなかなか無いなと思い、平日等々力行を即決。直前だったのでメインスタンドで席が残っていた南側(アウェイ側)の2階席を買ったのだが、来てみると周りはほぼレッズサポだった(苦笑)ACLは座席の無いテラスは入場禁止のため、等々力の両ゴール裏1階は閉鎖されており、レッズサポのコアはバクスタ寄りの一角に固まっていたのだが、声量はいつもの浦和だった。それはコアだけでなく着席しているゴール裏2階や自分が座っていたメインのアウェイ寄りの人々が寄与するところが大きい。この人達は普段埼スタのメイン、バックにいるのだと思うが、そういった人々の(個々の声量や人数そのものの)厚みは他クラブに無い要素だと思う。

 試合についてだが、序盤から川崎が攻め、浦和が守るという展開が続いた。浦和を観るのは開幕戦以来なのだが、アウェイでの第1戦故にまず失点しないことを優先させた、という事も考えられたが、それ以上に攻撃の淡泊さが目に付いた。関根は移籍、宇賀神は負傷から回復が間に合わず、R・シルバ、武藤をベンチに置いて、柏木もウォームアップ中の負傷で急遽スタメンを外れる(青木が代わりに入った)というメンバー構成ではあったが、パス回しのテンポが悪くて自陣でボールを奪ってもそれが相手陣内深くまで繋がらない。今日のスタメンでパス能力が高いのは矢島だったがポジションは2列目でそこまでボールが来ない事が多かった。やはり中盤深くでボールを左右に捌ける柏木の不在は大きかったかな。
 一方で浦和のパスのぎこちなさは川崎のパスがスムーズだったが故に余計にそう見えたという面もある。川崎はフルメンバーだったのだが、前半半ばに中村憲剛の突破から最後は小林が合わせて先制。中村が左サイドゴールライン近くで一人股抜きして突破し、フリーで中央に折り返した時点で勝負ありだった。引いて守備を固める相手にはやはりこういう個々人の一瞬のセンスが打開の鍵になるな。
 今日の川崎の中盤から前はエドゥアルド・ネット、大島、中村、阿部、家長、小林を置いた布陣だったが、観ていてドイツW杯のアルゼンチンを思い出した。当時のアルゼンチンはペケルマン監督がユース代表で育てたカンビアッソリケルメアイマール、M・ロドリゲス、テベスサビオラといった選手達を中心に(この国の十八番である)激しさだけでなくテクニックでも魅せるチームだったが、技術のある選手達が上手く融合してバランスを保っているという点で似ているなと(まぁアルゼンチンにはマスチェラーノがいたが)。
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ドイツ大会セルビア・モンテネグロ戦でパスを繋いで繋いで崩したカンビアッソのゴール。94年大会ギリシャ戦のマラドーナのゴールと並んでアルゼンチン代表のW杯ゴールで印象深いものの1つ。

 後半も開始早々に川崎が追加点を挙げたのだが、半ば頃になると徐々に浦和が押し込み始め、オフサイドラインギリギリの所を抜け出した武藤(後半から出場)が決めた。このゴールを含む前後10分は浦和の時間だったな。もう1点取っていれば2-2だったが、次のゴールの決めたのは川崎だった。家長が左サイドを突破して柔らかいクロスを上げてそれを小林が頭で合わせて3-1。これでほぼ試合は決し、その後も浦和は攻め込むが決定機は作れず試合終了。それにしても川崎の3点目をアシストした家長は後半はほぼ消えていたのに残り5分という時間であのプレー。重心の低い、吸い付くようなドリブルといい、技術がある強味を見せてくれた。

 帰りは別で観ていた友人と合流し、新丸子駅まで。