代表戦の感想など

EAFF E-1サッカー選手権が終わった事で雑感をば。

・韓国戦はミスマッチというか、同じ土俵で戦ってしまったのが敗因かなと思う。基本的に日本は今まで韓国に対してはパスを繋いでいなすというのが基本路線で、時には相手のフィジカルにそのパスや技術を封じられる試合もあった中で、主力が欧州で揉まれて当たり負けしない強さを手に入れる事で優位に立てる場面が増えた。その象徴的な試合が2011年の親善試合(3-0)だったが、昨日はとにかく前に繋ぐ事に囚われすぎて、攻撃がサイドに展開→突破という単純な形となり、相手にとって守りやすい形になってしまった。元々スピードやフィジカルで相手が優位な中で数的にも不利な状況でサイド突破してクロスを上げて、エリア内で相手の高さを越えて点で合わせるというのは非現実的というか、あまりに効率が悪過ぎる。

・後は出場選手の経験値に差があったのも事実だな。下記に昨日の両チームの出場選手の代表試合数を記すが、日本は今野が突出している以外は試合数が一桁の選手が大半で、今大会で代表デビューした選手がスタメンに5人もいたが、韓国はW杯を経験している選手が複数いて合計試合数で倍の経験があった。ゴールシーンを振り返っても、2点目のFKはそれ自体は見事だったが、その前に日本がファールしたシーンは車屋が自陣で不必要に大きくドリブルしたのを相手にカットされたものだし、3失点目も中央で相手に寄せながらボールを奪い切れずパスを通されてしまった時点で勝負あった。経験値、そして攻撃に変化を加えてセットプレーのキッカーとしても期待出来た点で清武(代表44試合)の離脱は痛かったな。

出場選手の代表試合数
■日本
GK:中村(2)
DF:植田(2)、三浦(2)、昌子(9)、車屋(3)
MF:今野(93)、井手口(10)(→三竿(1))、倉田(9)(→阿部(3))
FW:伊東(3)(→川又(8))、小林(11)、土居(2)
スタメン合計146試合(出場選手合計158試合)

■韓国
GK:チェ・ヒョヌ(3)
DF:キム・ジンス(31)、ユン・ヨンソン(2)、キム・ミヌ(15)、コ・ヨハン(16)、チャン・ヒョンス(45)
MF:イ・グノ(81)(→ヨム・ギフン(56))、チュ・セジョン(8)、チョン・ウヨン(22)、イ・ジェソン(27)(→チョン・スンヒョン(2))
FW:キム・シヌク(41)(→チン・ソングッ(2))
スタメン合計291試合(出場選手合計351試合)

・状況的には南ア前に同じくホーム開催の東アジア選手権で韓国に1-3で敗れたのと被る。おそらく本大会まで重圧は増す一方だと思うが、南ア大会(そして反面教師としてのドイツ大会、ブラジル大会)から学んだのは最終的には直前の準備、そして緒戦が全てということだな。南アの直前に正GKが楢崎から川島に代わり、中村俊輔がスタメン落ちして中盤が阿部、長谷部、遠藤となり、本田が1トップに入ったような劇的な変化が今回もあるのではという気がする。

J1第34節 浦和×横浜M(埼スタ)


■千石・駒込
 2週連続の埼スタ行だが、折角の遠出をスタジアムとの往復で終わるのも勿体無いし、午前中は紅葉狩りでもしたいなと思っていた。色々調べると埼玉高速鉄道に繋がる南北線沿線には紅葉の名所が幾つかあり、中でも駒込六義園は10年程前に仕事で1年ほど近くまで通っていた懐かしさもあったのでここに決めた。
 前夜W杯組分け抽選を観た後は早々に寝て、当日はまず六義園近くにあるレストランに向かった。ここは仕事で通っていた当時にオープンした店で、それなりに値は張るが本格的な炭火焼ハンバーグが食べられるのでたまに贅沢しようと何度か行った店。今日のランチに、と思って調べてみたら今はメディアで紹介されたりして人気店になっており、開店1時間前に名前を登録してやっと一巡目という状況らしい。10:30に名前を書いて、その後は六義園へ。
 この庭園に行くのは10年振りだが前回は夏場だったので紅葉の時期は初めて。行くとピークからはやや過ぎていたが、十分見応えのある木々が。


 今回改めて調べたが、元は徳川綱吉の側近、柳沢吉保の屋敷だったんだな。こうした大名庭園が残っているのは江戸=東京の特色とも言えるが、現代に遺る庭園もこれ程の規模ならば、全国の大名屋敷が犇めいた当時の江戸ならどれほどの緑に溢れていたのだろうかと思わずにいられない。
 庭園を観賞した後はレストランに戻って美味いハンバーグを食し、駒込駅から浦和美園へ。

■試合
 埼スタ自体は毎年行っているのだが、今日のカードは実は13年以来4年振り。ACLを獲ってクラブW杯に向けて主力を休ませるなど一息付いている感じの浦和、リーグ戦でのACL出場の可能性が消えて3週間後の天皇杯に懸けるマリノスという半ば消化試合めいた雰囲気での試合となった。前半は浦和が押し込む展開。特に左サイド(マリノスの右サイド)から切り込んで何度かチャンスを作り、オフサイドにはなったがゴールネットを揺らすシーンもあった。前半気になったのはマリノスの右SB松原で、1対1で後手に回り、ピンチを招くシーンがしばしば。この選手は日本のSBとしては長身で年代別代表で国際経験もそれなりにある点がマリノス(CFG)のスカウトに引っ掛かったのだと思うが、状況判断の拙さは開幕からあまり改善されず仕舞だった。それさえ改善すれば一気に代表入りも有り得るのだが、“判断力”はボール扱い以上に習得の難しいスキルでもあるのが難しいところ。
 後半はマリノスから見てやや状況が改善し、カウンターで浦和ゴール前に近付くシーンが増えていったのだが、後半半ばにカウンターで左サイドから中央にグラウンダーのパス→これを中央付近にいた前田が左足でダイレクトで合わせてマリノスが先制した。シュートは西川が一歩も動けないほど見事だったが、前田のプレー自体はこのゴールが全てと言って差し支えない。前半はピッチにいたのかどうかすら怪しい存在感だったが、このゴールでどうにか帳尻を合わせた形。帳尻と書いたが、この選手も今季あまり伸びなかった選手の一人ではある。今日の様に局面で技術を見せる事はあるが、試合を通してとなると・・・という。来季は監督が変わる中で今季の序列を維持出来るかは不透明。個人的にはヴェルディ育ちによく見られる“(プレーにおける)自己主張の強さ”はそれが希薄なマリノスユース育ちに比べて買っているのだが。
 その後は浦和が押し込むがマリノスが最後まで踏ん張って1-0勝利。まぁ好調時の必勝パターン(前半をやり過ごし、後半カウンターから得点し守り切る)が復活したとも言えるが、このような偶発性に頼ったサッカーでリーグ戦34試合を乗り切るのはやはり無理があったとも言えるな。残り10分を切る頃は優勝争いが気になってDAZNで磐田×鹿島を視たりしていたが(苦笑)ちなみにこのヤマハスタジアムの試合はアディショナルタイムでアクセス過多故か視聴不可となった。


 帰りは前回の様な地下鉄1時間以上というのは避けたかったので赤羽岩淵で降りて赤羽まで歩き、上野東京ラインで帰路へ。

J1第33節 鹿島×柏(カシマ)


 今日はJ1の33節でマリノスはアウェイで仙台戦だが、日曜だし仙台は過去何度も遠征して色々行き尽くした感もあったので今日はDAZN視聴かなと思っていたところに、友人から去年のGW同様鹿島戦のチケがあり、車も出してくれるという誘いが。埼スタ行の翌日だったが、折角の機会なので乗っかる事にした。
 前夜埼スタから家に帰ったのは日付が変わる頃だったが7時に起床し、8時過ぎに近所のコンビニで友人車と待ち合わせ。昨日に続いて好天に恵まれたので昨年GWと同じく良いドライブだった。早めに出発したので懸念された渋滞も東関道の終点、潮来IC直前で少しハマった程度で、高速を降りた後も迂回路を使って渋滞知らずでスタジアム近くの駐車場に到着。例によって管理人のオヤジさんからスナックの小袋を人数分貰うオマケも付いた(笑)
 11時前に着いたので少し早い位かなと思っていたのだが、スタジアムに入ると既にかなりの人数でスタグルはどこも長蛇の列だった。コンコースを色々回って今回は洋風のトマトモツ煮をば。

モツ煮というかシチューの様な感覚だったが、付け合わせのミニトーストのアクセントが効いていた。

 鹿島は今日勝てば優勝決定、引き分けならば11/29開催の浦和×川崎(ACLにより順延)の結果次第という状況で、一方の柏はC大阪と3位を争っているがセレッソが今日勝てば4位以下が確定し、ACL出場は天皇杯の結果如何となる(12/23の準決勝でマリノスと対戦)。試合は開始から両チーム共に激しい寄せで相手の自由を奪うサッカーで、前半はシュートが枠内に飛ぶシーンは少なかった。決定機と呼べるのは前半半ばにレアンドロが左45度から撃ったミドルくらいで、これはGK中村がセーブ。柏も左サイドを中心にカウンターから何度か様々なパターンのクロスを入れていたが、中で合わなかった。
 後半は鹿島がより攻勢を強めていく。柏を押し込む時間が続く様になったのだが、柏守備陣が集中して守っていたので柏ゴールに近付くほどシュートやパスに割ける時間も空間も限られていた。ただそんな中でもレオ・シルバレアンドロが独特の間合いでドリブルやフェイントを仕掛けてシュートチャンスを作り出していたのだが、そうしたシュートは悉く中村航輔がセーブ。そんな中で後半半ばにはアーリークロスから左サイドを走り込んだ遠藤のボレー、CKから昌子のヘッドと鹿島の決定機が続いたのだが、遠藤のボレーは中村がセーブし、昌子のヘッドはバー直撃でゴールならず。遠藤は先月の日産での試合には出場せず、プレーを観るのは久々だったがトラップ1つで相手をかわすテクニックなどボール扱いの上手さは相変わらずでセットプレーのキッカーも務めていたが、先ほど述べたボレー以外にゴールに繋がるパスやシュートは少なかった。友人は中村充孝(今日は出場せず)を観たかったと言っていたが、もしかしたら中村の方が攻撃に変化を付けられたかもしれない。
 その後も鹿島が支配する時間が続いたのだが、最後まで柏ゴールを割れず0-0で試合終了。ゴールは入らなかったが、お互い相手の攻撃を最後の一線で食い止める守備の激しさとそれをかい潜ってシュートに持ち込む個々のセンスがせめぎ合う好試合だった。これで優勝争いはひとまず11/29の結果次第となり、3位争いはセレッソが勝利した為に柏は4位以下が決まった。柏は前節も磐田相手に勝利したとは言え、ホームで押され気味の内容だったようだし、9月に日産でマリノスを対戦した時よりも調子を落としている感がある。守備陣は強固だし、クリスティアーノやD・オリヴェイラら前線の破壊力もあるが、その間を繋ぐ中盤の司令塔不在という印象を受けた。

 13時開始なので試合が終わってもまだ15時。ホーム最終戦なのでセレモニーを観る人が多かった故か駐車場からもすんなり出られて帰路に就いた。途中やはり千葉の湾岸沿いや首都高で渋滞にハマったりもしたが、18時過ぎには家の近くに到着。まさか3年連続鹿島に行く事になるとは思わなかったが、楽しいドライブだった。

ACL決勝第2戦 浦和×アル・ヒラル(埼スタ)


 友人がチケを取ってくれてこの試合に行く事になった。埼スタに行く時は目黒線南北線埼玉高速鉄道の直通を使えばそのまま浦和美園まで運んでくれるが、目黒から1時間以上地下に潜っているのはどうも退屈なので最近は王子まで京浜東北を使ったりしている。今日は上野東京ラインを使って更に北にある赤羽まで行き、そこから赤羽岩淵駅まで10分弱歩くルートにした。これだと地下鉄は20分程だし、赤羽は大きな駅なので飲料、食料等調達するのにも便利。

 現地に着いたのは18時頃だったが、雰囲気は04年のCSを思い起こさせた。あの試合から今日までに埼スタの浦和戦は(主にマリノス戦で)何度も行っているが、やはりタイトルの掛かった緊張感はそれだけで空気を変えるものだな。(10年前のACL決勝も行っているのだが、あの時は着いたのが前半15分頃だったので試合前の様子は分からず。)
 第1戦はハイライトを視た程度だが、5分程度の編集で相手の決定機が何度も続いていたのを考えると、アウェイでゴールを奪っての引き分けは上出来以上の結果。ただ相手がかなりのレベルにあるのも事実なので、第2戦はどちらが先制するかで勝負が決まると思っていた。浦和が先制すればそのまま逃げ切りそうだし、アルヒラルが先制したら2点目も奪って一気に逆転もあるなと。そうして試合が始まったのだが、やはりアルヒラルは個々のレベルが高い上にボールを繋いで来るチームだったが、浦和も前から複数人でボールに寄せて奪いカウンターを伺い、最終ラインもよく耐えて相手にゴール近くまで侵入されても決定機は作らせない。阿部は上背は無いが読みと安定したフィードで浦和の最終ラインに安定感をもたらしていたが、槙野はトラップが大きくなって相手に奪われたり相手FWハルビン(シリア代表)にハイボールで競り負けるシーンも散見された。代表ではCBのレギュラーに近付きつつあるようだが、やっぱこの点が不安なんだよなぁ。相手に今日みたいな大きなFWがいる場合、W杯では必ず(吉田では無く)槙野に当ててくるだろうが、その時耐え切れるかっていう。お互いチャンスは1、2度あり、0-0で前半終了。
 後半は開始からアルヒラルが1点を獲りに押し込んできた。浦和はクリアしてもすぐ拾われるので波状攻撃を食らう形になったが、20分程経つと徐々にカウンターでアルヒラルゴール前に近付くシーンが見られる様になった。ミシャ時代ならここまでで失点していただろうが、堀氏になってから耐えるべき時に耐えられるのが大きな違いかと思う。ただカウンターと言っても散発的で相手GKが仕事をするようなシーンは無かったが、一度エリアすぐ外からのFKを頭で合わせたがこれはアルヒラルGKがセービングし、こぼれを強く押し込んでも1点物だったのだがミートせずGKがキャッチというシーンがあった。これを決めきれないと逆に相手に決定機が生まれたりするんだよなと思っていたのだが、どうやらアルヒラルは終盤になるにつれて集中力を切らし始めたようでこの辺りから無用なファールが増え始め、残り15分を切る頃に中盤の選手が2枚目の警告で退場。この時間帯はアルヒラルへの警告が続いたのだがどれもアフターで妥当な判定。今日の主審はあのイルマトフだったが、そこはさすがだった。
 相手が自滅し始めたのでこのまま0-0で逃げ切るのも手だなと思っていたのだが、後半40分過ぎに縦パスに上手く身体を入れて相手をかわして抜け出したR・シルバが強烈な一発を決めて浦和が先制した。あの場面、グラウンダーで左右の隅を狙うかと思っていたら、ゴール上隅とは。少しでも力んだりミートがずれたら枠上に飛んで行くシュートだったが、あの場面でああいうのを撃つ(撃てる)のがストライカーなのだろう。この選手は最初は左サイドに位置していて(興梠が中央)、ゴールから遠い位置では折角の得点感覚が勿体無いなと思っていたのだが、後半途中から中央に入ったのが奏功した形。その数分前には左SBの宇賀神に替えてマウリシオを入れ、槙野を左SBにしたが、これらの配置変更は堀氏の采配の上手さだったと思う。槙野も中央でハイボール勝負だと厳しいがサイドでならその守備力が活きる。アディショナルタイムにはアルヒラルベンチ前で浦和の選手がファールを受けたのをきっかけに両チーム揉み合うシーンもあったが、アルヒラルは完全に集中が切れた状態だった。そして試合が終わり、浦和が優勝と。

 準決勝を見た時に思ったが(そう言えば準決勝、決勝共に第1戦アウェイで1-1、第2戦ホームで1-0だった)、これほど手堅い浦和はそれこそ10年前にACL優勝したチーム以来ではないかと思う。またスタンドの雰囲気も04年CSを想起させると書いたが、コレオのレベルやゴール裏の声量だけでなく、バクスタの声量や、優勝を決めた試合後に再びコレオを掲げる機転等、浦和サポのサッカーに対する感度の高さもまた実感した。
 思えば10年前の決勝も今日と同じ友人からチケがあるとの連絡が来て行ったのだった。10年経ってまたこうした機会をくれた事に感謝。

J1第32節 横浜M×C大阪(日産)


 早いものでもうホーム最終戦の日となった。今日は雨予報だったので屋根下を確保したのだが、そう言えば最近日産のマリノス戦は屋根下が多いなと思って振り返ると9/16柏戦、10/14大宮戦、10/21鹿島戦と直近3戦全てそうだった。今日も含め、それだけ週末雨に降られる事、そしてそこにマリノスのホーム戦が被ってしまう事が多い証と言えるだろうか。
 座席と言えば先日来季からの大幅な席割の変更が発表され、いつも座っているバクスタは大半が指定化されることになった。写真は今日座った位置からの眺めだが、ここも来季は指定のSC席となる。屋根下でもそうでなくても、いつもゴールラインの延長線上にあるこの位置から試合を観ていたが、おそらく来季は別の場所で観る事になるだろう。指定は年チケ価格の問題もあるがそれ以上にたまにくる友人との観戦が難しくなる故に手を出せない。こちらから誘う事もあるが、そうでなくても友人達は日産/三ツ沢に行けば私(+いつもの観戦仲間)がいると確信しているので(笑)、当日に向こうから連絡をくれたりもする。指定ではそういう事が出来なくなるんだな。自由席がゴール裏と隅になるならば1階からは試合が今以上に観難くなるので2階への移動も視野に入れてよく検討したい。

 試合についてだが、前半半ばまでのマリノスは何度か攻撃の形を作り、良い内容だった。前半13分のバブンスキーのゴールはゴラッソだったが、この選手は高水準のテクニックがあるからついゲームメーカー、司令塔タイプかと思ってしまうが、実際はMFではなくセカンドトップと言った方が適切かと思う。ボールをキープして試合のリズムを作るとかは苦手で相手ゴールから遠ざかるほど試合から消えてしまうのだが、開幕の浦和戦や今日然りでゴールエリアすぐ外ぐらいならミドルが高確率で枠内に飛ぶので、第2のFWとしてもっと相手ゴールに近い位置でプレーすればより恐さが増すのでは無いかと思う。書いててふと思ったが香川に近いタイプかな。前半半ば以降からは徐々にセレッソがボールを支配して攻め込むようになった。サイド起点に何度かチャンスを作るが決めきれず1-0マリノスリードで前半終了。
 後半もセレッソがボールを支配して攻め込んでいたのだが、セレッソの選手はボールを止めて蹴る基本的な動作の水準が高く、トラップした時に既にパスを出す体勢になっているのでパスがとてもスムーズでマリノスはなかなかボールを奪えなかった。セレッソのシュートチャンスは中澤らが身体を張って防いでいたのだが、このまま無失点は考えにくいなと思った後半半ばに清武のシュートが決まって同点。反対サイドで決まったゴールなので最初誰が決めたかよく分からなかったが、左足で逆サイドネットに正確に蹴れるのは清武か柿谷くらいだろうと思ったらやはり清武のゴールだった。そしてその数分後には今度は清武のヒールパスから水沼が決めてセレッソが逆転し、更にその数分後にはCKから杉本が決めて3-1。ここまで僅か6~7分。これで試合は事実上決まった。2-1の時点ではまだ鹿島戦の様にカウンターからワンチャンで同点、もしかしたら再逆転もあるかなと思っていたが、さすがに2点差は厳しい。
 その後は、というかその後もセレッソがボールを支配し、たまにマリノスがボールを奪ってカウンターを仕掛けようにもマルティノスや遠藤が単独突破する以外攻め手が無く、セレッソの選手数人に囲まれてボールを奪われ逆にカウンターを食らってゴール前まで侵入されるシーンの繰り返し。等々力での川崎戦の様に相手の攻勢に圧倒されて混乱状態に陥り組織の体を成さなくなった感があった。こういう時にチームを鼓舞するような選手がピッチ上にいなかったのも大きかったと思うが。
 終盤にはCKからヨニッチが決めて4-1。また後半半ば以降に扇原、マルティノスが警告を食らい、累積で扇原は次節、マルティノスは残り2試合の出場停止が確定した。こうして試合終了。

 セレッソルヴァン杯優勝でワンランク高みに達したようにも。ここまでボールを支配されるとは思わなかったが、個々の技術もさることながら優勝で自信を付けてチーム全体にプレーの迷いが減った面もあるのかなと思う。天皇杯も準決勝に勝ち残っているし、カップ戦2冠を達成してもおかしくない。

 試合後はホームゲーム最終戦後恒例のセレモニーがあり、監督、主将が挨拶をした。負傷からの回復途上にある身ながらピッチの上で自分の言葉で挨拶した齋藤は立派だった。この光景を見て去年までの主将が何故これを出来なかったのかという事も考えさせられるし、また現主将が背負う(背負わされる)ものの大きさにもある種の同情を禁じ得ない。現トップチームにアカデミー出身者は何人もいるが、何故この10番の負荷を軽くすべく責任を分担出来る選手が他にいないのかと。

 ホーム最終てことで一区切りとして試合後は渋谷に移動し、観戦仲間と飲んで帰宅。

J3第31節 FC東京U23×藤枝(夢の島)


 前の観戦から3週が過ぎたがJ1再開は来週というタイミングで、今週はJ2の昇格争いでも観れればと思っていたが、自動昇格を争っているのが長崎、名古屋、福岡と西のチームばかりで、今日のJ2は全て東海地方以西の開催という(苦笑)J3を含めても首都圏開催は2試合のみだったが、YSCC×G大阪U23はどちらも観たことのあるチームで会場もお馴染みの三ツ沢だったので、行ったことの無い夢の島競技場まで。FC東京U23×藤枝というカードだが、藤枝は初見のチーム。
 漠然と夢の島は遠いイメージがあり、駅からバス利用だと思い込んでいたのだが、実は新木場駅から徒歩10分弱という距離にある。新木場駅自体、りんかい線で大崎、大井町から一本でもあるので意外と近い。ちなみに同じ時間帯に友人某氏は大学サッカー観戦で江戸川陸上競技場に行っていたらしいが、江戸陸と夢の島は荒川を挟んで隣同士という位置。
 着いたのは前半5分頃だったが、競技場正面入り口前に着くと大歓声が上がってホームチームのゴールのアナウンスが。例によってゴールを見逃した。当日券を買って中に入るとメインスタンドは7~8割は埋まっていたので比較的席が空いていたアウェイ寄りに席を取った。競技場自体は典型的な陸上競技場でメインスタンド以外は低層の芝生席で囲まれている。自分の座った席から眺めると、バックスタンドの先にタワマン群や建設現場のクレーンが並び、強風と併せていかにも「開発途上の臨海部」といった風情だった。長閑な住宅街にある味スタや西が丘とは対照的だが、周囲を物流のトラックが行き交うのも含めてここもまた東京の1つの顔なのだろう。曇に覆われた空から光が射し込むような天候だったのもあってか妙な近未来感があった(笑)

 試合内容はこれまで観たU23チームの試合とそう変わらず、チームとしての連動性はあまり感じられなかったが、試合毎にメンバーが変わり、また本来の目的は育成にある事を鑑みれば仕方ない面もある。ただその主旨に沿うならば小川や橋本がこのチームで出るのはどうかな。この2人のようにトップチームで一定の経験のある選手が補強で入ってきた中堅、ベテランに押し出される形で、また監督がシーズン途中で代わった為に割を食ってU23へというのは不健全だし、肝心のトップチームの成績が振るわないのも含めてどうもこのクラブはフィッカデンティと契約を更新しなかった辺りから方向性を見失っているようにも。今の状況だとJ1残り2試合で久保のトップチームデビューとかやりかねない雰囲気がある。
 試合は後半半ばに東京が追加点。エリア内で平川が切り返して相手の守備をかわして左足で決めた。この選手は同じくスタメンだった久保と共に先月U17W杯を戦い、数日前には2人揃ってプロ契約が発表されたばかり。確か去年このチームを西が丘で初めて観た試合がJ3デビュー戦だったはずだが、なかなか捕らえ所の無い選手という印象がある。基本は中盤下がり目に位置しているのでボランチなのだろうが、今日のゴールのように前に出るシーンもあり、時にはトップ下、2列目の選手の様に前線でアイデアや足技を見せる時もある。選手で言えば柴崎岳に近いかな。中盤が3センターならハマると思う。
 藤枝はGKがマリノスからレンタル中の田口だった。マリノスはアカデミーからのGK昇格事例こそ多いが、1つしか無いこのポジションの宿命で昇格から数年後にレンタルというパターンが多い。ただ現トップチーム正GKの飯倉もJFL時代の熊本で1年正GKとしてプレーした後に復帰して(その後紆余曲折を経たものの)今ではポジションを確保しているので、田口も是非マリノスでポジションを狙う(狙える)選手になって欲しい。

 正直2-0となった後半の半ば過ぎからは試合よりもJ2の動向が気になって、スマホで福岡×松本を視ていたりもした(苦笑)試合終了後は新木場駅前のカレーうどん屋で暖を取って帰路へ。

J1第30節 横浜M×鹿島(日産)


 ここ最近晴天というものを見ていない。今日も雨、しかも最後の大トリというかラスボス的に台風まで接近中という中での試合。しかもそういう日に限って横浜線が人身事故で遅れるなど大分スケジュールを狂わされた。この試合は新横浜パフォーマンスという新横浜エリアのイベントも同時開催され、東ゲートには普段よりもスタグルが並ぶのだが、今日は小机経由で行ったので行けず仕舞だった。ただこういう天候でも利点はあって、雲が厚いのでスタジアムから出る照明が雲に反射して光が一層際立つようになる。

 マリノスは久々に伊藤がスタメンで下平が右SBという珍しい布陣だったが、これは負傷者の多さに加えて来週水曜の天皇杯を見据えたのだろうな。監督が開幕前に掲げた「ACL出場、カップ戦タイトル獲得」の為には現時点でリーグ3位、天皇杯優勝が具体的な目標となるが、この2連戦は、3位以下が団子で同じくACLを狙うC大阪とはホームでの直接対決を残しているリーグ戦よりも、一発勝負のカップ戦に注力という判断だったのだろう。対する鹿島はベストメンバー。スタメンも勿論だがベンチに永木、小笠原、遠藤、土居、鈴木(優)がいる層の厚さが目を引いた。
 で、試合は前半15分でマリノスが2-0という予想外の展開になった。まず開始3分でCKから伊藤がゴール、そしてその10分後に植田のミスから天野がボールをカットしてシュートという。鹿島は普段とはかなり異なるマリノスの布陣にどう対応するか様子見のつもりがいきなり失点して浮き足立ったのだろうか。ただ2点を先行された後はさすがだった。普通早々に2点も取られたらまず1点取り返そうと普段よりも前掛かりになって、その分カウンターで更に失点するリスクも高まるのだが、鹿島は慌てずいつも通りのリズムでボールを支配しながら押し込んで行く。急がば回れというが、普段通りのサッカーを続ける事がまず1点、その先の同点、逆転への近道だと分かっているのだろう。この状況でそれを実践出来るチームはそう無い。ただ、最後の一線でマリノス守備陣は身体を張ってシュートをブロックし、またエリア内でマリノスがミスをしてもそれを鹿島が活かせず終わるシーンもあり、今日は運が向いているかなとは思った。
 だが、あれはもう少しで前半45分に差し掛かろうかという時間だったが、天野が痛んで倒れたが主審の笛は鳴らず、鹿島はそのままプレーを続けたシーンがあった。笛が鳴っていない以上何も問題は無いのだが、スタンドからはブーイングは収まらず、これによりスタンドやピッチ上のマリノスの選手達は「ボールを外に出さない鹿島」に意識が行って、目の前の鹿島の攻撃(への対処)には100%集中出来ていない瞬間が生まれた。そういう中でボールは外に出たのだが、これがまた絶妙で、ゴールライン際でマリノスの選手にボールが当たって出た、つまり鹿島のCKに。そしてそのCKから山本が決めて2-1。前半に1点返した為、これでまた試合は分からなくなったが、状況的に鹿島にしっかり対処してクリアでもしておけば防げたCKだけにブーイングを含め不要な失点だった。
 後半が始まると鹿島は一気に同点を狙って押し込んで行く。2-0とした時は鹿島の攻撃をクリアするだけで大歓声だったスタンドも後半10分を過ぎる頃になるとその勢いは失われ、あまりに一方的な展開に不安感というか同点への恐怖が勝り始めたように思う。そして後半20分、鹿島のCK時にバブンスキーに替えて扇原を投入し、喜田、中町と3センターにでもするのかと思っていたらそのCKから植田が合わせて2-2。前半のミスを挽回する形だったが、家に帰ってからリプレイを見たら中澤に競り勝ってのゴールだった。

 これで試合はまた振り出しに戻った訳だが、内容、展開共に3点目が生まれるならそれは鹿島だと理性では判断していても、負けるイメージはあまりなかった。前節のエントリーで今季のマリノスは先制されたら圧倒的に戦績が悪い旨を書いたが、一方で先制すれば無敗でもあり、途中追い付かれても前々節のガンバ戦の様に突き放して勝点3を得たりする。あとこれは余談だが新横浜パフォーマンスの日の試合は勝率が良いらしい(笑)だからこのまま2-2、あるいはワンチャンで3-2かなと思っていたのだが、後半30分頃にエリア内でパスを受けた遠藤が決めて3-2と。この選手はガンバ戦、そして今日と何故かポジションとは違う場所に出没してゴールを陥れる。正直与えられたチャンスの多さの割に伸びていない印象があり、それは足の速さがゴールにどう繋がるのか見えないというのが大きいが、これまで決めた2点の様に「サイドアタッカーだがトップ下の選手の様にエリア内に走り込んで点を決める」という自分の“形”を確立出来れば成長は加速するのではないかと思う。結局の所、攻撃のポジションで良い選手というのは得点に絡める回数、頻度で決まる訳だし。ただ試合後のインタビューでのキョドり具合を見ると大丈夫かいなと不安感が勝るのだが(苦笑)

 その後は鹿島が同点狙いで攻勢に出て、レオ・シルバ(今日も見事なゲームメイクを見せてくれた)のミドルを飯倉がセーブというシーンもあったが凌いで試合終了。これでマリノスは3位浮上で、モンバエルツとしては賭けに勝った形かな。ただそれは来週水曜に勝ってこそ、ではあるが。鹿島はこれで2位と勝点2差になったが、最終的には優勝するだろうと思う。川崎は浦和のACL決勝進出で33節浦和戦が11/29(水)になり、最終節は中2日で戦わないといけなくなったのは痛い。ただ鹿島は今日の敗戦でリーグ8敗目(マリノスは7敗)というのは意外であると同時に、今日や28節鳥栖戦の様にアウェイで負ける事が多いのを踏まえると、最終節はアウェイ磐田戦なので何かが起きるかもしれない。例えば2013年のように。

 間違いなく今季ベスト3に入る試合。珍しく同世代男3人での観戦だったが、何気ない会話からも色々得るものはあって楽しい時間だった。