年間表彰2011(前編)

 少し遅くなってしまったが、2011年も残り僅かとなり、当blog選定年間各賞を表彰する時期がやってきた。今年は去年と発表順序を変え、年間MVPから先に発表しようかと思う。今年も周囲の有識者に選んで貰い、選考者は自分を含め合計40名。さすがにこの人数になると全員から集めるのが大変だったのでこの辺が限界かな。まぁ中には連絡して20分後に送ってくれた人もいたが、何でそんなに早く決まるんだよ(笑)そうそう選考者の中には『今年はあまり(サッカーを)詳しくみてないから・・』と謙遜する人も幾人かいたが、TV、新聞の印象度だけ、という選考もそれはそれで1つの基準なんで全く問題無い。1人1人は独自の選考なのに、それを総合すると何故か納得せざるを得ない妥当な結果になる、というのがこの投票の面白いところなので。
 選考者及び選考方法は下記の通り。

【選考者】
Y氏、SWT、Yチケン、katoken、ハラD、ONI、Shoto、T内、tor、SONE、woyama、Dちゃん、Sぶ、I田、nemo、yuta、Sんぺー、PAPA、gommy、Tヨシ、S野、Mグ、arz、SIO、Chuna、H田、Nンバ、K太、K太郎、Mル、Hヤト、Mさん、J子、M野、Sトゥー、Rっく、K輔、Hルキ氏、N川氏、barcaw
【選考方法】
 各者2011年に活躍した日本人選手(国内組・海外組問わず)上位5名を選び、それを1位:5pt〜5位:1ptでポイント化、そしてその総合計値で選出。

 では結果をば。

第5位
長谷部誠ヴォルフスブルク):31pt
一昨年の受賞者が今年は5位。「どのポジションでもマガトが重用するサッカーIQの高さ」もそうだがやはり「日本代表をまとめあげる名キャプテン」、「キャプテンシーの高さ」と代表キャプテンとしての存在が印象強かった。9月の北朝鮮とか、本当にこの人が主将で良かったと思ったし、年長者だからとか最多キャップ数だからとかでない本当の意味でのキャプテンがいるからこその南ア以降の好結果かと思う。その統率力に比例してか、「ミリオンセラーや破局THE END OF LOVEなど」「ピッチ外での存在感が抜群」だったという側面も付記しておく。ちなみに例の著書は未だ読んでいない。

第4位
カズ(横浜FC):34pt
リーグ戦はNOゴールだったけど」、「今年は残念ながらリーグ戦でゴールならず、チームも散々だった」にも拘わらず4位入賞。去年も結構票は集まったけど、ここまで伸びたのは、やはり3月のあの試合か。「日本中を勇気付ける価値あるゴール」、「あのゴールは勇気を与えてくれました。」というチャリティーマッチでのゴールのインパクトはそれだけ特大だった。まさしくあの試合でのこの人は「求められてもののを全てを体現していた」のだった。加えて昨年同様「いまだに現役」、「あなたいくつですか?」と44歳ながら未だに現役で走り続ける姿へのオマージュ票もあった。誰しもいつかは引退の時期が来るのは承知の上で「これからもずっとサッカーを続けて欲しい」と思える選手。今回の上位5人の中で一番驚いた結果だったんだが、“偉大な”という日本語にすると少々大袈裟になってしまう形容詞が最も似合う選手、と言えるだろうか。

第3位
清武弘嗣C大阪):51pt
今年最大のブレイク」であり「ロンドン→ブラジルへの注目株」かつ「今後が楽しみな若手No1」が3位。「A、U22の両代表と過密日程のチームの全てにおいて必要な人材」とあるようにJに加えてW杯予選、五輪予選、ACLとフル稼働して結果を残した。その他「一戦一戦上手くなっていくので観ていて楽しい」という若い選手ならではのコメントもあった。代表に関しては選んだザッケローニの慧眼に感服だわ。日本に“小柄だけどテクニックがあってすばしっこい選手”というのはそれこそ大勢いる訳で、自分はこの選手もその中の1人くらいにしか思って無かった。それがこの活躍。今や「これで力強さが加わればトッティのような選手になれる」程で特に「香川と組んだ時の神がかり的な動き!」は今後代表でプレーする上で大きなアドバンテージになるのではないかと。アウェーのタジキスタン戦の4点目はそれがよく出ていた。その一方で「未だに“ヒロシ”か“コウジ”か覚えられない」という声も記載しておく。

第2位
長友佑都インテル・ミラノ):73pt
日本人でインテルのレギュラー」「インテルで試合に出ているというのはすごいこと」「インテルでのレギュラーが普通に思える」「なんだかんだ言って。インテルで試合に出られてる彼はすごい!!」―――2011年は1月にアジアカップに優勝し、その直後にインテル移籍、そこから怪我で離脱した期間もあったが、他の欧州組に比べて安定感は一番だったかと思う。しかもインテルで。香川、本田は怪我に見舞われたし、内田も今季はレギュラー落ちで長谷部もクラブでは堅実以上のプレーでは無かった。その他この選手は「コミュニケーション能力もワールドクラス」「スナイデルと仲良しになる日本人が出てくるなんて」というそのキャラも大きな武器。「大学の後輩!」という声もあったが、こういうプロ選手てあくまで学校が同じだけで縁遠い存在な中で、本当に後輩っぽいキャラではある(笑)余談だが、雑誌その他のメディア情報を総合するとスナイデルは相当プライドの高い高慢な男で特に男から嫌われそうなタイプと思うのだが(V・ペルシとは犬猿の仲らしい。)、そんな男と仲良くなるだけで凄いわ。
にしても本当に「着々と世界最高のサイドバックへの階段を上がっているようにみえる」。来年は是非ミラノ・ダービーに出て欲しい。

2011年日本最優秀選手
澤穂希(INAC神戸):118pt
W杯優勝の立役者」、「別格」、「世界一のチームのキャプテン」「伝説のプレーヤー」と40人中19人の1位票を集め、女子サッカー界の大エースが2011年の年間MVPをゲットした。選考委員各氏に依頼する時に今年はもしかしたらこのような結果になる可能性もあるのかなと思ったのだが、まさかここまで票が集まるとは思わなかった。毎年5位をなでしこ枠にしていた某氏でさえも「今年の偉業は後進への貢献も含めMVPといっていいはず」とまで。去年の長友みたく人気が上がるとサッカー以外の面にも言及されるのだが、この人も御多分に洩れず「人気があるうちにCM出演料など、たくさん稼いで欲しいもの」、「あのトラガスと鼻ピが気になる」という意見が。
中盤なのにW杯で得点王というのもキャプ翼めいているけど、この人の凄い所は日本の女子サッカーの歩みを全て経験している事かと思う。企業スポーツとして有る程度盛り上がっていた時期、企業が撤退して代表も低迷したどん底の時期、“なでしこ”の名が付けられ五輪出場を果たすなど上昇のきっかけを掴んだ時期、そして五輪ベスト4、W杯優勝の現在、と。アテネ五輪予選の頃はこの人を紹介するのに「女中田」などと言われてたのだが、隔世の感。バロンドールも男女別なのだから本章もそうすべきか迷う所もあったのだが、今まで割とそういう所は緩くやってきたんで、このような結果も有りだな。この人が「今年最も活躍した日本人で間違いない」のだし。

以下6位以下全投票結果

6位:27pt
香川(ドルトムント
7位:26pt
松田(前松本山雅
8位:21pt
李(広島)
9位:20pt
酒井(柏)
10位:18pt
ハーフナー(甲府フィテッセ)、本田(CSKAモスクワ)、菅野(柏)
13位:15pt
遠藤(G大阪)
14位:14pt
吉田(VVVフェンロ
15位:12pt
北嶋(柏)
16位:8pt
豊田(鳥栖)、田中(柏)
18位:7pt
岡崎(シュツットガルト)、川澄(INAC神戸)
20位:6pt
宮間(岡山湯郷)
21位:5pt
飯倉(横浜M)、今野(FC東京)、川島(リールセ)
24位:4pt
原口(浦和)、波戸(横浜M)
26位:3pt
鮫島モンペリエ)、鎌田(柏)、中澤(横浜M)、赤嶺(仙台)、内田(シャルケ
31位:2pt
玉田、闘莉王(名古屋)、播戸、扇原(C大阪)、大谷(柏)、田代(鹿島)、大黒(横浜M)、河合(札幌)、小島(品川CC)
41位:1pt
角田(仙台)、宮本(神戸)、藤田(鳥栖)、指宿(セビージャ・アトレチコ)、三浦(泰)(北九州)、早川(新潟ユース)、落合(buencambio)

・昨年の受賞者である本田は10位に。ここ数カ月は怪我で離脱していたし、アジアカップMVPといっても1年近く前で、クラブではあまり情報の無いロシアという面がハンデになったかな。それでも「不在になって、逆に存在感が増した。」という声も。そろそろエアーでない本当の移籍を果たして欲しい。

・優勝した柏から6人が得票、まぁ最高に輝いたのはR・ドミンゲスなので、票が割れた側面はあるのだが、それでも酒井、菅野、北嶋の印象度は強かった。菅野に対しては「横浜FCからの出世頭では?」、酒井には「あのクロス!」、北嶋「チームの精神的支柱であり、大黒柱」等等。

・松田に対して9人から計26ptが。途中集計ではベスト5入りするのかと思うほど。正直“MVP”投票に相応しいのかという問いは残っていて、それは選考委員各氏も同様だったようで「選出するならば松本をJ1に上げた時であって、今年ではなかったはず。」、「松本山雅にもたらしたものは半端なくデカイ」、「とても語り尽くせない」、「特別な扱いということでランクには入れない」と様々な意見が。それを踏まえた上での7位と言う事で、この結果を尊重したい。

・前述の、告知直後に返答してくれた某氏はU17代表の早川を5位に。まぁ確かにベスト8入りしたチームの主力だったけど、他にもユースで目立った選手はいた中で何故早川を(笑)是非その心を聞いてみたいものだ。

・先日の不祥事で謹慎中の原口には「同僚の肩に蹴りを入れて脱臼させたというわんぱく坊やに悪意の一票」が投じられた。常に仕掛ける姿勢は良いけど、それは浦和が攻撃の大半をこの選手のセンスに負っていた面が大きい訳で、緩急を付けたりパスとのバランスを考えないと壁に突き当たる予感がする。

・このblogを見ている人ならば私が玉田をあまり評価していないのはよくご存じと思うが(苦笑)、ここ最近の得点力向上は素直に凄いと思う。今までは年間10点行くか行かないかだったのに、点の取り方を覚えたというか。「優勝を逃した最終戦後のインタビューでのふてくされかたは、まさしくFWの鑑(笑)

・なでしこ勢からは澤以外にも宮間、鮫島、川澄が得票。にしても2年前に鮫島に投票した某氏の慧眼にはただ驚くばかりだ。彼なら「鮫ちゃん」て呼んでも許せる(笑)

・過去本表彰では審判界、指導者、ユースなどサッカー界の様々なカテゴリから得票者を出して来たのだが、今年はブラインドサッカー界から誕生。「ニュースZEROを通じてブラインドサッカーを世に広める役割を担った。」。なでしこもそうだが、このサッカーがTVで取り上げられるまでになったのも関係者の継続的な努力の賜物だし、継続は力なりという事を改めて認識させられる。それは自分の周りでこのカテゴリに関わって来た全ての人も含めて。


と言う感じでまだ数多くの意見が寄せられたのだが、さすがに全てを載せる事は出来ないのでこの辺で。協力してくれた人々にはこの場を借りて感謝したい。このリスト全体を見渡すと、2011年の日本サッカーが見えて来るように思うがどうだろうか。数年経って2011年を振り返った時に、“そういえばこの年は・・・”と記憶が蘇るような、そんな感じで。続ければ続ける程この賞の権威も増すので(笑)来年もまた開催したい。