■J1第19節 横浜M×横浜FC(日産)


■Prologue
 前回の対戦から感じているのだが、(一部の)マリノスサポが何故ここまで相手を嫌うのかいまいち掴みかねている、正確には相手の存在すら認めないという徹底振りが。それ程嫌っているなら相手がJ2にいた時点でこうなっているはずなのだが、今年昇格してから急に、なのでどうも不自然さが消えない。直接対決云々を語るならば、J2にいる時も天皇杯で当たる可能性はあった訳だし。そういう状況なので、クラブ成立の背景云々と言われても無理して嫌おうとしている感が見えてしまう。別にミラノやグラスゴーの様に同じ街のクラブが常に勢力均衡している訳ではない。ロッテルダムフェイエノールトとスパルタ、とかビッククラブと小クラブという図式なんて世界中にあるし、現在の横浜もそれに近い状況なんだろうと思う。それだけに、マリノス側からの煽りは結局自分らの余裕の無さを出してしまっている。今でも観客動員が伸び悩んでいる中でこれ以上自分らのパイを侵食されたくないっていう現実的な危機感、というべきか。三ツ沢の3〜4割を瓦斯に占められたり、埼スタで周りが赤一色という状況を味わってきた中で、勝てそうな相手が見付かって喜んでいる――「粗にして野だが、卑ならず。」という言葉があるが、今のこのクラブのサポーター(の一部)は粗でも野でもないが、卑に成り下がってしまった。前回は負けたんだから、シンプルに「次は勝つ!」となるべきなのに、そこに侮蔑や嘲笑が混じるからおかしくなってくる。そういう侮蔑の対象に3月は負けたのだと少しでも気付けば、そんな行動には走らないと思うのだが・・・。


 「最後のダービー」というポスターも街中でよく見るが、サポの有志が作るならまだしも、クラブが公式に作ってしまうのはどうなのか。これはクラブとして公式に横浜FCに対するスタンスを明確にしたという事だが、これもサポ同士が対立するなら分かるが、クラブとしてここまでの行動に走らせる背景というのが今一つ見えにくいので、不自然さを感じてしまう。今までサポと全く違うベクトル向いて来た反動で、逆に擦り寄り過ぎてる気もする。
 多分マリノスに関わる人は絶対に認めないだろうが、今回これだけ人が集まったのは“ダービー”だったからだし、平均観客動員を増やしたいのであれば『最後』でない方が良い。まぁ少なくとも来年の対戦は無さそうだが。日産スタジアムが埋まるのは、基本的に浦和が来た時と優勝が掛かった大一番に限られる。03〜04年に連覇していた時でさえ、優勝争いの“過程”ではそれ程集まらなかったのに、この試合で決まる、となると急に増えた。遠地のチームが来たりすると、アウェーサポの数に比例してホームの観客も減って2万を切る事もある。その中で今回はダービーという付加価値によって6万にも届くまでになった。来年、この付加価値が無くなれば、優勝争いでもしない限り5万を越えるのは浦和戦だけという状況に変化はない気がする。実際、次のホーム・広島戦はまだ2万にも届いていない。


 もう名門だからって他クラブに対する上から目線は止めるべき。地元住民への招待券配布とか、スタジアム周辺のアミューズメントパーク化とか、(多分今日行われるはずの)コレオグラフィーとか、試み自体は有意義だけど全て他クラブがやってきた事だし、イメージ程大きい存在ではないという現実がある。他にも言いたい事はあるが、クラブが再生するとしたらまずそこから。

■試合
 前半のあの菅野のキャッチミスで流れがホーム側に傾き、後半開始早々の山瀬兄のゴールで(おそらく)アウェー側の糸は切れた。山瀬弟のミドルや、大島のゴール前ドフリーボレーなどは綺麗な形だったが、少しでも緊迫した展開ならば絶対に撃たせていない、フリーにしていないはずの位置からだ。今まで観戦してきたあらゆる試合を含めて、8点以上入った試合は初めて。今日のこの結果で横浜FCの降格は事実上決まってしまったかな、というのが率直な感想。それでも試合前までの雰囲気は本当に良かった(含アウェー側)だけに、願わくば数年後に再びこのカードが復活して欲しいと思う。


 ファンサカの更新をすっかり忘れていて、結果が恐ろしい今日この頃。