J1第1節


不思議なもので、開幕と時を同じくして季節も春に移り変わるように感じる。実際汗ばむ程の日差しだったんだが、まぁいずれにせよまた素晴らしき観戦生活の始まり始まり。


■横浜M×広島(日産)
 これを書いているのは等々力でもう1試合観た後なんだが、今日観た4チームの内最も洗練されたサッカーを披露したのは広島で、最も攻守が中途半端で甘かったのが横浜Mだった。
 今年からマリノスはいきなり「育成クラブ」を標榜し始めたが、その安易な方針転換の是非はともかくとして、それ以前(07年頃)から若い選手は積極的に起用されており、今日スタメンで出た選手達も渡辺以外は右も左も分からない新人では無く、年齢は若くともそれなりに実戦経験を積んだ者達ばかりだったのだ。
 だが、眼前に繰り広げられたのは広島に手も足も出ず右往左往する姿。対面のミキッチに完敗した田中、少し激しくチェックされると簡単にボールを奪われていた狩野、主審のジョージにはバレなかったが倒れ込んでいた広島の選手を足で小突いた栗原(しかもキャプテン!)、いるのかいないのか分からなかった兵藤etc広島の柏木、槇野(87年生まれ)、森脇、高柳(86年生まれ)が攻守に良いプレーを見せていただけに余計にその“ケツの青さ”が露わになった。しかも今挙げた広島の選手達は全員ユース上がり。広島からしたら金が無いからって軽々しく育成など口にするなという感じだろう。
 柏木といい槇野といい、チームの中心としての責任感が自信に繋がって、それがプレーによく表れてる。佐藤(寿)を含め、そのプレーの質と量には試合中ずっと感嘆させられていたのだが、特に試合終盤、ボールを持った柏木が自陣から左サイドタッチライン際を駆け上がって止めに来た松田を振り切り、直後の松田の捨て身のアフタータックルすらステップでかわしてゴール前に侵入したプレーには背筋がゾクっときた。途切れない運動量、確かな技術、あのプレーに全てが凝縮されていた。


■川崎×柏(等々力)
 ダブルヘッダーで日産→等々力へ。ホーム側は満席だろうからアウェー側を買ったのだが、実際行ってみるとアウェーの方が人口密度が高かったという誤算。
 予想通り川崎が攻め込み、柏がカウンターで数少ないチャンスを窺う展開だったが、激しい肉弾戦(特にチョン・テセ)といい、特に柏の守備の集中力といい、緊張感のある密度の濃い試合内容だった。こういうお互いに相手の良さを消し、同時に持ち味を出そうと死力を尽くす試合は観ていて退屈しない。観る限り川崎は去年の課題―――攻撃の最後の一押し―――は依然として解決されていないようで、ペナルティエリアまでは攻め込むんだが、そこからあと1本のパスが繋がらず。早い時間に先制したら大量得点も可能だろうが、今日みたいな粘り強い相手には今年も苦労しそうだ。柏は監督が代わっても全員が汗を掻き、そこにフランサのファンタジーを+するサッカーは変わらず。今日は特に菅野の当たり日だった。