出来るだけ冷徹に

 ・日本がボールをキープし、韓国は主にサイドからカウンター
 ・90分の中でお互いの時間帯が交互に訪れる
 ・交互、と書いたが最初は韓国がパワーに任せて攻勢を仕掛け、後半になると日本が優勢になる


 日韓戦は大体いつもこんな内容で勝っても負けても1点差で終わるものだが、それだけに1−2からさらにもう1点追加されたのは深刻だ。ただ、これを以って決定力不足だと言うだけではあまりに単純過ぎて本質を突いているとは思えないし、何かしらの解決に繋がるとも思えないので、少し見方を変え、では一体どういう方法で点を取ろうとしていたのかという視点から考えたい。


 試合を通して相手ゴール前で仕掛けようとしていたプレー(ゴールに近付いたプレー)は覚えている限り、
1.相手DFラインの裏のスペースに浮き玉の長・中距離パス
2.楔のパスを入れ、そこからグラウンダーでダイレクトのパス交換を行い中央突破
3.サイドを深く突破してからのクロスorサイドバック自らシュート
4.アーリークロス
5.セットプレー


 と5点挙げてみたがこれらがシュートに繋がった場面は殆ど無かった。
1.このパスは中村(憲)がよく使う。まぁ川崎でジュニーニョ相手に磨いたプレーなんだろうけど、予選のウズベク戦で点に繋がったように精度は高い。ただ昨日は前との息が合っておらず、成功率低し。
2.3〜4回連続でパスが通ってればフリーで突破出来ただろうが、実際は2〜3人目で相手DFにカット。
3.ライン際まで突破したシーンは何回かあったが、ゴール前の人数が少ないのとその少ない人数が相手に囲まれてるので撥ね返される。
4.そもそもこのプレー自体高さも人数も揃ってる昨日の相手に対してはあまり有効でない。
5.結果的にPKを一つ取れたのでまずまずと言った所だが、普段ほど有効ではなかった感もある。


 1や2は1試合に1度成功すれば御の字といったプレーなのだが、問題なのは&特に視ててじれったいのは3だ。あそこまで崩して点が入らないなら他に点を取る方法はあるのか?香港戦でも、いやその前から感じている事だがあれがなかなか決まらないのは、あれだけ深くエグッたら、近付いたら後は何とかなると(考えているかは分からないが)ゴール前の動きの質も量も足りないからだと思う。↑でも書いたが大体相手ゴール前にいる人数が少ないし、2列目から飛び込む選手も少ない。人が少ないなら動きを工夫して(例えば誰かが囮になって相手を引き付けるとか)コンマ1秒でもフリーになる瞬間を作るのは出来なくもないのに、そういうのも無い。よく監督は攻撃に関して「最後の精度(が足りなかった)」という表現を使うけども、例えば2トップの動き方とか細かいとこまで突き詰めてるのだろうか?オシムの時は崩しパターンが多様だったのに、今それが消えてしまったのは普段の練習に原因があるのでは?まぁ練習まで見てる訳では無いからこれ以上何とも言えないけども。


 そう考えると、今後改善・向上が期待できる要素は
・シーズン開幕によるコンディションUP→全体的なパス精度・速さの向上
・中村(俊)合流でセットプレー(左)精度UP
・長谷部合流で2列目からの飛び出し頻度UP
・森本の合流(召集されれば)でFWの動きの質UP


 森本はさすがに玉田よりかは「FWの動き」が出来るはず、トーゴ戦で岡崎とのコンビネーションは悪くなかった、の2点で挙げたんだが、いきなり指導法が変わるはずも無い以上、あと3ヶ月で伸びる要素があるとすればこういう個人レベルに帰するしかない。


 個人レベルで思い出したが、今になって稲本、小笠原とか79年組がまた軸になりつつあるのもある種の閉塞感が。もしJが始まって小野が清水で活躍したら即召集しそうだし。まぁこれも若い世代の停滞の裏返しではあるんだけど、昨日の香川の不遇を視てるとそう言いたくもなるわ。才能はあるんだから、ああいう緊急事態の中で代表での覚醒に賭けるのも、(近)未来を考えれば決して無駄では無かったと思うんだが。


 以上。首都圏開催で観戦しなかった代表戦は初めて観た01年秋以降、03年のパラグアイ戦(キリンカップ埼スタ)のみ。だから、国立の代表戦をTVで視るというのは日産のマリノスの試合をTV観戦するのと同じ様な違和感があった。日韓戦と言えば安貞桓にやられた03年も普段の負けより荒んだ感じだったが、(帰りに渋谷まで歩いてたら、信号で停まった一般車の助手席男が後ろの代表バスを煽るシーンに遭遇。)あの時はまだ試合後に、当時金髪だったS○Tにお前(三○主)が戦犯だとか半ば冗談で突っ込んで証拠写真を撮る位の心の余裕はあった。昨日はあの時より酷かったのではないかと想像する。もし観に行って、しかも土曜だったらそのまま渋谷辺りで飲んだくれていただろう。