邂逅

 まぁ詰まる所日韓戦にも関わらず国立に行けなかったのは、西川史子よろしくこの日に式を挙げた親戚のお陰なんだけど、なかなかサッカー的には面白い経験だった。
 これまで親類連中の中でサッカー好きというのはあまりおらず、そんな話をする機会も少なかったんだが、今オランダにいる従姉妹が何時の間にかオランダサッカーフリークになってたのには正直驚いた。ファン・ペルシが一番のお気に入りという事だったが、スナイデルとかロッベンとかの単語が現地風の発音(蘭語では「スナイダー」に近いらしい。)で流れるように出てくるのに軽い嫉妬を覚えた事を告白したい。VOETBAL MAGAZINEという現地のサッカー誌を土産にくれたんだが、それもわざわざ俺の為に買ったんではなく自分が読み終えたお古だったってのも何だか悔しい。(アルゼンチン特集で、「マラドーナって凄かったんだねー」と呑気に言われた時はかなり脱力したが。)若かりし頃はかなりガチなBUCK-TICKの追っかけだったらしいから、ハマったらのめり込むタイプなのかもしれない。
 アムステルダム在住なんでアヤックスの試合とか観に行ってるのかと思ったが、向こうでは会員にならないとチケが買えず、日本みたく気が向いた時にフラッとスタジアムへ、という感じでは無いらしい。その代わり代表戦はそういう縛りが無いので、大概買えると。あとオランダでも南ア行きは費用・治安面から躊躇する人が多く、現地観戦者は少ないだろうと言っていたが、そういう雑誌/ネットではなかなか分からない生の情報を聴けたのは貴重だった。聞いててまたヨーロッパに行きたくなった。
 もう1人、これはどっちかというと野球好きで、台湾野球とか観に行ってしまうような男がいるんだが、その男が広州でサッカーの中国超級リーグを観戦したと言ってきた時の衝撃はさっきのオランダ従姉妹以上。平日の昼2時か3時に2〜3万の観客でスタジアムが埋まってたとか、東アジアにも出てた古参の曲波の話をしていたような記憶は有るが、片耳で話を聞きながら南ア産白ワインを手に眼前の現実を受け入れる時間の方が長かった気がする。
 最後。晴れて親戚の伴侶となった新婦が「趣味:サッカー観戦」と紹介された時にもおや?と思ったものだが、ベガルタだかモンテディオだかのGK(桜井なんとか)からの祝電が紹介された時は思わずフカひれスープの皿に伸ばした手を止めた。一体この新婦は何者か?その桜井何某かの追っかけ?あるいは山形or仙台サポか?式も終わり、そんな渦巻く疑念と共に会場を出ると、扉の外で新郎からサッカー好きの親戚だといきなり紹介され、
「こ、今度は是非、え、NDソフトスタジアムで!」などと動揺を露わに思わず心にも無い事を言ってしまった。だがまぁ今年はともかくまた来年以降春〜秋なら行くのも悪くないと思ってる。