年間表彰2010(後編)

 今日は最優秀選手部門を。
 去年投票制を導入したら選考委員の皆が期待に応えてくれて妥当性&意外性が共存する絶妙な結果になったので、今年も継続する事にした。どうしても自分が選ぶとガチになってしまい、例えば「5位:原博美」みたいな発想が出てこない。選考者は去年より10名増の30名。観戦好き、現役選手、少年サッカー指導者、代表サポ、クラブサポetc様々な立場から、あるいは首都圏を越えて東海、関西、果ては東南アジアから回答してくれた皆に感謝したい。

※過去の受賞者
2005年:中村(俊)
2006年:中村(俊)
2007年:中村(俊)
2008年:遠藤
2009年:長谷部

【選考者】
Y氏、SWT、Yチケン、katoken、ハラD、ONI、Shoto、T内、tor、SONE、woyama、Dちゃん、Sぶ、I田、nemo、yuta、Sんぺー、PAPA、gommy、Tヨシ、S野、Mグ、arz、SIO、Chuna、H田、Nンバ、K太、K太郎、barcaw
【選考方法】
 各者2010年に活躍した日本人選手(国内組・海外組問わず)上位5名を選び、それを1位:5pt〜5位:1ptでポイント化、そしてその総合計値で選出。


では早速結果を。


第5位
前田遼一(磐田):29pt
W杯に出てないとはいえ」、「Jにおける日本人の誇りを守った」2年連続の得点王、そして「ナビスコ決勝は神だった。」、「ナビスコ決勝でも存在感を見せた。」というナビスコ杯決勝での圧倒的な存在感により、W杯組を押しのけて5位に。
 「Jの得点王は外せない」のコメントもあったが、2年連続は凄い事だ。足でも頭でも点が取れて、並のFW以上のテクニックも備え、そして「大事な試合では必ず得点する」万能選手。この選手に言及する時の、あの何とも言えない思いは「理由?言わせんな、恥ずかしいw」に集約されているかと思う。年齢的に今がキャリアのピークなのかもしれないが、「今後もぜひスタメン&90分のプレーを見てみたい。」「来シーズンは代表チームでの活躍を期待」「もっと代表でも活躍してほしい」と代表での活躍を期待する声も多数寄せられた。あのクローゼだって32歳で南アW杯を迎えたのだし、まだまだやれる。


第4位
田中マルクス闘莉王(名古屋):35pt
名古屋を変えた」、「優勝請負人」、「名古屋も優勝したし」、「名古屋に足りなかった最後の1ピースを埋めてくれた」というクラブでの結果と、「鬼気迫る形相で相手の攻撃を跳ね返し続けたプレー」、「メンタルの強さが目立った」、「奴の闘争心と得点力は今の日本に欠かせない」というW杯でのプレーで4位に。この手の投票で上位に来るDFて大概攻撃面も優れているが、この人も御他聞に漏れず「忘れてはならないのは最高のフォワードでもある」(笑)W杯後はその反動からか怪我がちだったけど、それすらも「W杯の代償としてむしろ評価」する声があったほど。気持ちでプレーするタイプなので代表では来年以降どうなるのか不透明な面があるが、「しっかり怪我をなおしてほしい」。ロンドン五輪のOA枠なんてモチベーションとしても最高だと思うのだが。


第3位
長友佑都チェゼーナ):40pt
今年一番成長した選手かも」しれない。「一家に一台欲しい選手」、「体幹がサッカーでどれだけ大切か教えてくれた」、「W杯における運動量豊富なプレーには本当に勇気づけられた」、「後半の後半でもオーバーラップ出来るパワフルゴリラ」と、どんな相手にも怯まずに挑んでいくプレースタイル、そして少しでもプレーを向上させる為なら走るフォームすら専門家の助言を仰いで改良する姿勢など、今年の代表を象徴する選手であったと思う。個人的にもパラグアイ戦で観た時の圧倒的なスピードとクロス精度が印象深い。ただ一部で「今の雰囲気は嫌い」、「AKBがテレホンショッキングに出たときデカデカと花おくってやがった!」為に「株が急落した」という辛辣な声があった事実も記しておかなければならない。人気が上がるのも大変だ。



第2位
香川真司ボルシア・ドルトムント):80pt
W杯中断後の活躍は一番」、「下半期はこの人がサッカー界の話題の中心」、「W杯イヤーでなかったら文句ナシの一位」、「活躍はハンパナイ」と直近の活躍のインパクトから満遍なく票を集め、2位ゲット。あまりの活躍に「どういう女と結婚するのか想像がつかない」と私生活を心配するコメントまで。ついでに言うと女だけでなく男にも気を付けた方が良いと思うがそれは思い過ごしだろうか?W杯以降の印象が強いけど、「移籍前もセレッソで充分な活躍を見せており」W杯中断前までにJで7点取ってる。今まで日本に巧いMF、アシストするMFは何人もいたけれども、「ブンデスの首位クラブで)当たり前のようにゴールを決める」MFはいなかった。しかもまだ21歳。「まだ発展途上」、「これからに期待」という声の通り、現時点が完成形という訳でなく、このまま伸びれば恐ろしい選手になってくれるはず。個人的にはドリブルで相手を抜き去って決めるゴールが見てみたい。そういや「以前は柿谷の方が将来を嘱望されてたけど完全に立場入れ替わった」と言うコメントもあったが、柿谷もセレッソなんだよな。乾、清武、家長とこのクラブは小柄なテクニシャンが伸びる土壌があるのか。



2010年日本最優秀選手
本田圭佑CSKAモスクワ):113pt

 30人中17人の1位票を獲得するなど、圧倒的な得票で2010年日本最優秀選手はこの人に決定。満票に対する得票率で言うと、去年の長谷部が48%だったのに対して75%といかに票を集めたかが分かる。「まぁ文句なし」、「W杯で日本を熱狂に導いた立役者」、「この男のおかげで(W杯に)どんだけ熱狂できたことか」、「カメルーン戦のゴールが)日本のW杯での運命を決めた」、「デンマーク戦のFKはたぶん一生忘れない」とやはりW杯の活躍を評価する声が多数。それ以外にも「体を張った前線からのボールキープ」、「急造1トップや日韓戦で見せたガタイの強さ」など従来の日本人選手の枠を越えるその力強いプレースタイルや「有限実行ストイックは個人的にもLOVE」とその姿勢に対する評価も。
 ただクラブではどうだったかと言うとCSKAでも(ポジションは引き気味という事情はあったにせよ)それ程ゴールを決めてた訳では無く、「シーズンを通してどうだったかと問われると正直1位に値するかは微妙」、「(下半期は)香川で完全に霞んだ」という声もあった。ただやはりCLセビージャ戦やW杯での要所のインパクトがそれを上回ったのが今回の結果ではなかろうか。まぁ絵になる男、「持ってる男」というか、つまりは「なんだかんだ△」という事なのだ。


以下6位以下総投票結果

6位
長谷部(ヴォルフスブルク):22pt
7位
楢崎(名古屋):19pt
8位
遠藤(G大阪):13pt
9位
川島(リールセ):11pt
10位
カズ(横浜FC):10pt
11位
川口(磐田):8pt
12位
槇野(広島):6pt
13位
木村(コロラド・ラピッズ)、岡田(前代表監督):5pt
15位
藤ヶ谷、宇佐美(共にG大阪)、中澤、松田、中村(俊)(共に横浜M)、三浦(淳)(横浜FC):4pt
21位
増田(山形)、永井(福岡大→名古屋)、丹羽(福岡)、安藤(川崎)、清武(C大阪):3pt
26位
松井(トムスク)、ハーフナー・マイク甲府)、米山(栃木)、菅野(柏):2pt
30位
上尾野辺(新潟レディース)、中村(憲)(川崎)、原(JFA=技術委員長)、家長(C大阪マジョルカ)、小野(清水)
岡崎(清水)、西川(広島)、駒野(磐田):1pt

【寸評】
・昨年受賞の長谷部は6位。クラブでのインパクトに欠けたが故だろうが、代表キャプテンになったのは、年功序列的にではなく真の意味でリーダーシップをもった人間がキャプテンマークを巻くという意味でとても健全で、「彼のキャプテンシーと献身的なプレーがなければ日本の躍進はなかった」と言っても過言ではない。W杯での陰の功労者だと思う。パラグアイ戦後の例の発言に対しても「コメントがGOOD!」、「顔だけじゃなく心もイケメンだった」と絶賛の嵐。イケメンで思い出したが本田○子と別れてからクラブでパッとしないと言うことはやっぱ“上げ”だったのかな。来季以降が心配だ。


・MLS所属の木村が4人から得票し、5pt獲得。現在アメリカでプレーする日本人の中で「一人トップリーグで活躍中」でありリーグ優勝決定戦でMVPまで獲ってるので「そろそろ注目されてもいいはず。」もし代表がアメリカ遠征などしたら注目されるかな。
 実はこの人の兄と学生時代に所属団体で少し関わった事があり、本人とも今は無き日吉のフットサル場で会った記憶がある。その時はフロンタユース所属だったか。月日は流れ、少し前にNYレッドブルズ戦の動画を視ていたら、右SBの彼は左サイドのアンリとマッチアップしていて、何だか胸が熱くなった。


・今年も女子サッカー界から得票者が誕生。正直女子サッカーはそこまで詳しく無く、失礼ながら「あげおのべ」選手だと思ってました。正しくは「かみおのべ」選手。どうやら選考委員某氏の中で「5位はなでしこ枠に」なったらしい。同氏によると「オールスターで見たけど一人別格だった」そうなので、注目したい。来年は女子W杯もあるし。


・指導者枠として現技術委員長が「よくぞニ連勝で繋いだ!」と得票。最初は9月の試合で誰が指揮を執るか決まらず、関塚氏も代行を拒否して、ダチョウの「なら俺がやる」⇒「どうぞどうぞ」的な展開で笑えたけど、完璧な引継ぎだった。


・最優秀若手選手に選んだ宇佐美は4ptゲット。今年は「プロの壁を一つ乗り越えた飛躍の一年」であり、「ベテラン偏重の西野からスタメンをもぎとった時点で既にレジェンド」という声すらあった。この選手に関しては年齢とか関係無しに普通にプレーしてるのが恐ろしい。「期待を持たせてくれる選手はそれだけでも貴重」だし、「日本サッカー界において一番バロンドールに近い」という声まであったが、移籍先を間違えなければあながち夢ではないかも、とそう思わせてしまう。


・カズに対しては「日本の生きたレジェンド」、「年齢の壁を取っ払い現役で魅了してくれる」など、生ける伝説に対するオマージュ票が意外とあって二桁得票。この人こそ人間国宝を名乗るのに相応しい。AB蔵なんかよりも(苦笑)


・今年は去年に比べてGK票が伸びた。楢崎に対しては「(名古屋が)楢崎のセーブに救われて一点差で勝った試合が幾つもある」、「優勝の立役者」「MVPですから!」とリーグ制覇&MVPを評価する声、そしてW杯では「個人的にはW杯で楢崎の代表としての最後を飾ってほしかった」ものの控えとして「W杯期間中のチームを川口と支えた」、「代表、お疲れ様の気持ちも込めて」という功労賞的な意味合い込みでの得票だった。川口はW杯での「貢献度は素晴らしかった。」川島は「能活・楢崎時代に引導を渡す活躍」を見せながらクラブでは「とにかくかわいそう。」と同情の声多数。


・今年はやはりW杯組に票が集まったけど、意外にもレギュラーの中で阿部のみが無得票。アンカーという役回りや現在イングランド2部て地味な印象故、だろうか。後、玉田にも1票位入るかと思ったけどこちらも無得票。名古屋優勝票が闘莉王と楢崎に流れた面はあったけど。


 と、いう感じで表彰を終えたい。本田の得票を圧倒的と書いたけど、1位票はもっと集中するかと思っていた中で17人だったのは、なかなか絶妙だった。13人は別の人に入れた訳で、そういうバランス感こそ、この投票をやる意義ではないかなと。書くのに結構時間が掛かってしまったが、一番説得力のある表彰と自負してるんで(笑)来年以降も継続したい。