J1第4節 横浜M×鹿島(日産)


 この試合は20周年記念試合の1つと言う事で、試合前には過去の鹿島戦映像やマリノスがタイトルを決めた試合が流され、選手入場後は激励にビスコンティも登場。とても懐かしかったが、ほんの一瞬で終わってしまったので、せっかく来てくれたのだから現役当時のプレー集を流すとか映像だけでも良いからメッセージやインタビューを流すとかはして欲しかった。
 
 鹿島はリーグ戦3戦全敗無得点という事で、ガンバみたく去年迄のサッカーが全く消え失せたのかと思っていたが、そういう訳でも無かった。相手のサイド深くでフリーの味方を作る動きだとか、曽ヶ端がフィードした瞬間に全員が前に走りだすカウンター、一方のサイドから攻めると見せて一気にサイドチェンジする攻撃etcどれも今迄観た覚えのある動き。守備でも“ここで突破されたら危ない”箇所で一気にプレスを掛けて相手の攻撃を遮断する激しさは健在だった。中でもマリノスの齋藤に対して、(マリノスの)カウンター時に中盤でボールを持った瞬間に2〜3人の選手が寄せて動きを止めた守備は観てて鳥肌が立つものだった。この選手は数メートル走ればすぐにトップスピードになり、そうなると組織で守っても個人能力で突破される危険がある訳だが、ならば走りだす前に止めてしまえとばかりにドリブルさせる間もなく囲い込んでボールを奪うというのは口で言うのは簡単だが実行するとなると難しいはず。このように少なくとも一部においては相変わらずの機能美が見られたので、少なくともジョルジーニョ(及びスタッフ)はビジョンをある程度までは実現出来る力は有るんだろうな。その点は前任者のサッカーを見事に消し去ったガンバとの違い。
 では何故結果が出ないのかというと、やっぱ最後の10mの精度がそれまでに比べて一気に下がる感はある。サイド深くまで攻め込んでも、その先のラストパスの段階でワンテンポ遅く、その間にマリノスのDFに寄せられてCKやGKにされるか、エリア外から強引に打つしか無くなるという場面が何度かあった。正直今のサッカーは組織としては完成されていてこれ以上の伸びシロは無さそうなんで、解決策は2年前のマルキーニョスのように、前線or二列目の得点力を上げるしか無い。それは大迫や興絽の覚醒というよりかはより決定力のある選手(主に外国人)を獲るのが近道だが、ドゥトラ(元京都の方)を獲ったのはまさにそれが理由か。

 とここまで鹿島について長々と感想を書いて来た訳だが、ではマリノスはと言うと、↑のように語れる要素が無いんだよな(苦笑)セットプレーやエリア内で倒されてPKでもおかしく無かった場面以外は意図して作ったチャンスは観る限り無かった。後半は前にボールを進められた時間帯はあったものの、多分に勢いの要素が強い代物だった。PKを獲って貰えていたらもしかしたら勝っていたかもしれないが、勢いや偶発性に頼るサッカーでは長い目で見たら相応の結果(順位)に落ち着くとも思う。別にサッカーに限らないが、まず綿密な作戦、戦術、トレーニングが前提にあって、その上で気合とか精神力とかが勝敗を分ける要素として来るもので、最初から精神論が前面に来るようでは先が見える。
 個々の選手は年代別を含めた代表経験者が多いが、どうも各自の特徴が上手く組み合わされてないというか単に個々がそれぞれの技能を披露しているだけの印象がある。例えば中澤は相変わらず空中戦に強い、齋藤は日本屈指のスピードスター、中村の技術は言わずもがな、でそれはそれで見応えがあるのだが、反面中澤は足元の繋ぎに難が有り、相手も縦パスが無いのを見越して横パス狙いで積極的にボールを追い掛けてボールを奪う、齋藤は↑の通り、中村もボールに触りたい余りポジションを下げてしまうので、相手にとって一番嫌なゴール前での仕事が少なくなる(それでも今日は大宮戦より前で動いていたが。)、てな感じで。その辺りを指導するのが監督の役割とすれば、今の監督はまぁ先は短いかなというのが正直な所。後任西野説はまだ取り下げないが、OB好きなこのクラブの体質を鑑みると長谷川健太も有り得るな。これでコーチにまた呂比須(この人も実は日産OB)が来たら笑えるが。

 という感じで妙に納得の行くスコアレス試合だった。予報では夕方に雨は止むと言う話だったが、試合途中からまた暴風雨になる始末。しかし寒かったわ。本来なら真冬並みの防寒で行くべきだったが、昼間それ程気温が下がって無かったので油断した。
 そういや今日は試合前に久々に緑スポセンでトレーニングしたのだが、ランニングマシンで隣で走っていた男がまさに93年頃の鹿島のアウェイユニを着ていて驚いた。この人も日産に行ったのだろうか。