スーパー杯 広島×横浜M(国立)


 まだ2月ではあるが、この大会の時期になると長い冬の終わり、春の訪れを感じてしまう。今日は2月にしては良いお日頃&過去2週の土曜が雪だった落差故尚更に。
 試合はキックオフからパスを繋いだ広島がいきなり決定機を迎えて始まり、6分に早くも先制。マリノスは全体的に動きが重かったが、特にドゥトラの裏を狙われ続け、この広島の先制点も石原がドゥトラをかわしてサイドでフリーになった時点で勝負あった。マリノスはコンディションの悪さもあったが、1トップの端戸が元日の天皇杯と違ってスペースを与えて貰えず、ボールを受けた瞬間に広島守備陣に激しく寄せられてポストプレーがままならず、ボールを前に運べない。前半半ば過ぎからようやくパスを回せる様になって、一度藤本がゴール前でフリーになるシーンがあったのだが、左からのクロスを利き足の左で合わせたシュートは枠を外れた。
 後半も流れは依然広島のままで、何度も決定機を迎えたのだが、GK榎本の好セーブ、広島のシュートミス、オフサイドで追加点は成らず。しかし後半半ばに佐藤に代わって入った浅野が裏に抜け出して野津田のパスをシュート、これで試合はほぼ決した。その後は少し引いた広島にマリノスが押し込むようになるが決定機は作れず、逆に流れる様なカウンターで広島に決定機を作られるシーンばかり。このまま2−0で試合終了。

 両チームのコンディションに大きな差がある試合だった。マリノスは2週連続の大雪で練習時間が減った面はあるにせよ、ACL(2/26に緒戦)を戦うチームにしてはあまりに低い調整度合いだったと思う。ACLや欧州ならCLの予選を戦うチームは、早目に仕上げるものなのだが、そもそもそういう意識が無いようにも。昨年は“ACLを捨ててリーグ重視だった”と言われる広島でさえ、今日の様にきっちり仕上げているのだが。
 思うに監督樋口氏は一昨年半ばから固定メンバーで連携を深めてきたように、メンバーを固定して時間を掛けてじっくりチームを作る術には長けているとは思うが、こういう過密日程でそれは通じない。ある程度選手をやり繰りしつつ、新戦力もすぐに馴染ませる事が必要なのだが、そういうタイプでは無いんだよな。今日の試合で言うなら、2列目は斎藤ー中村ー藤本だったが、今まで長短気の利いたパスの出せる中村、豊富な運動量でピッチを幅広くカバーする兵藤、自分で仕掛けられる斎藤、というコンビの連携を磨いてきた中で、兵藤とは全くタイプの違う藤本が入っただけで機能性が一気に低下してしまう。同じ事はFWにも言えて、現状では端戸、矢島、伊藤は同じ位レギュラーのチャンスはあるが、監督の指導特性を考えると誰か1人レギュラーを固めて連携を深めていかないといけない。4日後にはすぐACLの緒戦が控えている中でのこの内容を見る限り、ちょっと厳しいかなと言うのが正直なところ。
 広島の中では野津田は素晴らしかった。“左利きの中田ヒデ”て言われてるらしいが、確かに当たり負けしない強さと縦への推進力、シュート力はあの人を思い起こさせる。今日は1ゴール1アシスト。その他ポスト直撃シュートや絶好機を外したりもしているのだが、同い年の浅野といい、若い選手をチームの中で機能させる広島はさすがだ。これぞ真の育成という感じ。2人ともリオ五輪世代なので代表でも是非活躍を。
 後はDF塩谷が斎藤とマッチアップしても冷静に対応していたのが印象的。広島は3バックで現代表のシステムとは異なるので即代表入りは微妙だが、ブラジル後なら十分有り得る。


 今日は観衆4万越え。ゼロックス杯というとせいぜい3万前後かなと思っていたので意外だったが、“最後の国立”効果は確実にあっただろうな。千駄ヶ谷門下にJ各クラブのスタジアムフードを集めたエリアがあったのだが、その傍に秩父宮記念スポーツ博物館という施設が国立の内部にあり、折角なので行ってみた。それほど広くなかったが、国立競技場、そして日本のスポーツ界に関連する展示物があり、なかなか面白かった。フラッシュや接写以外は写真OKだったので何枚か。