J1第14節 川崎×横浜M(等々力)


 今日のマリノスはまず引いて、攻めてくる川崎の選手に複数で囲んでボールを奪う、奪ったら速攻、遠目からでもシュートを狙う、という事の繰り返し。ここ最近序盤に攻め込まれて先制を許し、シュート数も少ない事への対処とフロンタ対策を兼ねたプランだったと思う。特に中村(憲)へのマークはかなり厳しかった。
 で、前半終了間際にCKから栗原のヘッドで先制、後半にカウンターから齋藤のドリブルが引っ掛かってこぼれた所に伊藤が押し込み、最後はまたCKから中澤がエリア外からのダイレクトボレーというレアなゴールで3−0。

 展開が2年前の埼スタ浦和戦を思い起こさせる内容だった。あの時もチーム状況が良くない中で、攻めてくるホーム浦和に対してまず守備から入り、セットプレーから2点取って勝利。チームを立て直すという意味でまず守りから整備するというのは定石だし、現状出来る事を最大限やった結果だと思う。

 だがしかし、だ。こういうサッカーが成り立つのもまず守備陣に人材がいる事と、後は数少ない攻撃のチャンスをものに出来る攻撃の選手がいてこそ。もっと言えば相変わらず中村(の左足)の存在が大前提なんだよな。もうすぐ36歳になる選手に頼り切る体質は変わらず、目の前の勝点を拾うという大義名分の為に、この改善はまたも先送り、と。
 守備を基本にする事自体は現状理に適っていると思うが、もう少しカウンター時の動きの約束事が欲しい。例えば去年の最終節で川崎が決めたゴールは本当に流れるような展開で、ボールを受けた選手はパスでもドリブルでもシュートでも動きに迷いが無かった。マリノスは2−0になってより前がかりになった川崎の裏を突くチャンスが何度もありながら、その場その場で選手のアドリブ任せに終わり、ボールキープこそすれ縦への推進力には欠けていた。まともな形があればカウンターでもう1点取れていただろう。
 守備主体でも攻撃に形が有ればリーガで優勝したA・マドリーやチェルシーのようにある種の様式美を感じさせるものなのだが、今のマリノスは攻撃は特定の個人の才能に負う所が大きすぎる。『ひたすら守って攻撃はファンタジスタの閃き次第』など大昔のイタリアサッカーかと。更に言えばこういう選手任せのサッカーが若い選手が伸びない一因とも実は思ってるのだが、まぁ今日はこのくらいで。

 という感じで3−0とは言え・・・という様な試合で(中澤のゴールは素晴らしかったが。)、Jがもうワンランクレベルを上げるには、こういうチームを崩しきる組織を持ったチームが必要だという認識を強くした。