J1前期第8節 横浜M×広島(日産)


 広島戦は昨年のスーパー杯では敗れたがそれ以外の試合ではここ数年負けていない。リーグ戦で最後に負けたのは何時かと調べたら2011年5月(第11節アウェイ)で、ホームとなると何と2009年の開幕戦以来負けていなかった。特にここ2年ほどはマリノスが広島のサッカーを上手く抑え込んで少ないチャンスをものにして勝つというパターンが多い。今日も開始早々にいきなり先制したのでそうなると思った。点を決めたのは伊藤だがこれで3点目。まだFWとしての狡猾さ(スペースを突く動きなど)は物足りないのだが、8節で3点と言うのはまぁまぁいいペースだな。どんな足元が不器用でも相手を止められるDF、シュートを止めるGKが素晴らしいのと同じで、FWも点を取ってこそ。(勿論器用で点も取れたら理想的だが。)昨季が8点だから二桁以上は取ってほしいものだ。

 話を試合に戻すが開始から10〜15分程はマリノスが攻勢だったのだが徐々に広島が押し込んできた。広島がボールを支配するのは昨季までと変わらないが、昨季と違うのは、要所を抑えられずほぼ広島の思い通りにパスを回された点だな。言わば昨季はボールを回させて、今日は回されたという感覚。マリノスゴール前で喜田がボールを奪われてそのままGK榎本と1対1を作られるシーンまであったが、これは榎本がセーブ。だがその少し後にミキッチのグラウンダーのクロスをドゥグラスが上手くトラップしてフリーで冷静に流し込んで同点に追い付いた。ちなみにミキッチは序盤1対1で下平に負けたシーンを観て観戦仲間に「さすがに歳だし段々1対1の勝率も低くなってきてるんだろうな。」と言った傍からの同点アシストという(苦笑)今日のミキッチは後半終わり頃に退いたが、それまで何度も右サイドをダッシュして下平をブチ抜いており、下平がスピードに難があるのを差し引いても全盛期の動きだった。

 後半は広島のボール支配率が更に高まり、マリノスのチャンスはあまり無かった。後半半ばに広島が勝ち越した後は引いて来たので広島ゴールまで到達するシーンは多かったのだが、GK林がセービングしたシーンは果たして・・・という。後半途中から中村、ラフィーニャを入れ、アデミウソン、伊藤、齋藤は残したので今のマリノスで考え得る最も優れたアタッカーを並べたのだが、前線が混雑しすぎてあまり効果的では無かった。逆に広島がカウンターで浅野がスピードに乗り、あるいはマリノスのチェックに慌てずGKからパスを繋いであっという間にマリノスゴール前に迫ったりするシーンも多く。ほぼ広島のコントロール下で試合は進み、そして終わった。

 今季はここ数年勝てなかった柏に勝ったものの、逆に去年まで万全の対策で勝率が良かったミシャサッカー(広島、浦和)や風間フロンタに完敗。前回モンバエルツを常識人と書いたが、相手の弱点を徹底的に突いて苦しめるというより自分たちの良さを出す方を優先してお互い正々堂々と戦うタイプだな。それはそれで立派な態度だと思うが相手も良さを出すので開幕戦や今日の様な試合もあるという。やってるサッカー自体は去年までの固定メンバーの連携頼みと違って本当の意味で組織立ったサッカーなんで個人的には面白いのだが、主力に長期離脱者が殆どいなかった幸運もあって勝ち点を重ねた2013年みたいな展開は無いかと思う。

 今日は試合前に照明が暗転し、ゴール裏のサポが各自スマホをかざして明かりを灯す演出が見事だった。欲を言えば2階も埋まっていれば全体に灯りが点いてより綺麗だったと思うが。