J1前期第16節 横浜M×鹿島(日産)


 鹿島との試合は通算でも分が悪いが、今日の負けで13年後半からリーグ戦4連敗。結果もそうだが負ける時はサッカーとは何かを教わる様な、圧倒的な違いを見せ付けられる試合が多いように思う。鹿島もこの試合前まで9位だったようにJの中で突出している訳では無く、相手の攻撃に対して複数でプレスを掛けてしっかり押さえる、攻撃時はボールを持つ味方の近くに常にサポートに行く、と言った基本を踏襲しているに過ぎないのだが、そういった基本に忠実であればあるほど、実はマリノスはそういった基本が出来ておらず、攻守共に特定の個人のセンスに依存しているのが露わになってしまう―――そんな試合展開。鹿島も決して組織一辺倒で個を殺している訳ではなく、カイオ、金崎が優れた個人技で前線をかき回すなど、組織がしっかりすれば個人もまた輝くという事実にもまた気付かされた。試合は前半で2点を奪われ、後半もマリノスの攻撃をいなされつつ終盤にパスカットされたのを繋がれて3点目を奪われ、終了。3点目は鹿島のパスカット後、パスとフリーランニングが組み合わさった流れるような展開だった。マリノスDF陣が目の前の選手に対応しようと懸命な中で、鹿島は常に二手三手先を見越したプレーで悠々と点を取った、そんなゴール。

 今日のスタメンはアデミウソンと伊藤の前線だったのだが、最初は伊藤がトップでアデミウソンがその周りを動く形なのかと思っていたら逆だった。伊藤は来た球を押し込むFWとしての動きは徐々に磨かれているとは言え、トップ下で気の効いたパスを出したり周りを生かすようなタイプでは無い。案の定ピッチ上を彷徨ったまま60分後に交代となった。友人とも話していたのだが、トップ下ならアデミウソン、藤本、兵藤、三門など他に候補者は何人もいる中で何故敢えて今まで試みた事の無い布陣にしたのか未だに謎だ。前期は優勝が無くなったので(ナビスコがそうだったように)実験の場にしたのかもしれないが、年間王者になる為のプレーオフは前後期の各王者+年間順位の3位までとなる以上、残された道は後期で優勝するか年間3位以内に入る他無く、年間勝点を考えると現時点でも勝点を落とせない。
 3点目を奪われ、ほぼ結果が決まった後、天野純が入った。控え選手の“登用試験”だったナビスコ杯で良い動きを見せていてここ数試合リーグ戦でもベンチ入りするようになったので、この場面でどうプレーするか少し期待していたのだが、結果はボールを持つ度に鹿島の(終盤でも衰えない)プレスに掛かってボールを奪われることの繰り返し。厳しい言い方をすればちょっと場違いな、あの場に相応しく無い存在だった。この選手は91年生まれで大卒2年目だが、鹿島にはスタメンに92年生まれの柴崎、土居、昌子、94年生まれのカイオ、植田がいて、途中出場から3点目を決めた赤崎は天野と同い年で同じ大卒2年目。このように、鹿島戦では結果もさることながら、育成などクラブ運営全般に対しても考えさせられる事が多い。

 試合前に別で観に来ていた友人某氏に会いに行ったのだが、2階ゴール裏という視点はなかなか無いので新鮮だった。試合後は溝ノ口まで移動してホルモン屋に行ったら店に等々力で試合のあった山雅サポがいた。ユニを着ていた友人にフレンドリーに話しかけてきて何故か記念撮影に(笑)先月の松本行を思い出すようなシーンだった。マリノスとは後期最終節にまた対戦するので、その時もまた結構な人数が横浜に来るのだろう。