U22代表雑感(7/1)

 今回の試合は新戦力を試す要素が強いようで、J2やJ1でも出場機会の少ない選手も結構選ばれていた。こういう所も益々アテネ世代に似ているな。あの当時は今以上に試合を組んで少しでも目に付く選手がいればクラブでそれほど出番が無かったり、また大学生であっても色々試し、最終予選前にようやくクラブで試合経験を積んで頭角を現した選手(那須)、03年ワールドユースを経験した選手(今野、徳永)の合流でどうにかチームの骨格が出来て、予選突破後に帰化した闘莉王と飛び級の平山が加わってようやく本大会を戦う面子が揃った。今回もロンドン世代の様に早い段階からJ1レギュラー格の中からメンバーを選ぶような贅沢は出来ず、J1J2に限らず少しでも試合に出てる選手はとにかく試しつつ目の前の試合に臨むしかない。

ポジション別にこのチームの現況を見てみる。
■GK
櫛引がJ1で唯一試合に出ている以上正GKなのだろうが、やはり危なっかし過ぎる。体格とキック力はあるのだが、それに頼り過ぎていてどうも落ち着きが無い。前に出る/止まる、スローイングする/しない等の各場面で思い切りの良さがなく迷いながらプレーしているようにも見える。磐田で出番が無くU22選抜が主戦場の牲川(アジア大会の正GK)の方がその点ではまだ安定感があるな。
体格なら歴代五輪代表GKの中で西川<権田<櫛引の一方で、GKとしての総合力が西川>権田>櫛引になっているのは何とも。

■CB
植田、岩波は高さ、強さ、フィード力全て揃った歴代五輪代表でも屈指のコンビになると思う。一方で3番手以降は今回選ばれた奈良は東京で出番が無く、ガンバの西野も負傷中につきやや不安だが。札幌でレギュラーの櫛引、清水で少しづつ出番を増やしてる三浦などはどうだろうか。

■SB
クラブでの試合経験を考えると左は亀川、右は川口がファーストチョイスになるか。今回右でスタメンだった伊東も良かったが、まず鹿島で西の壁を越えなければ。その他アジア大会や先日のU23選手権予選で出ていた山中は柏で出番が無く、松原は同じU22世代の川口にポジションを奪われているので一歩後退か。現在ユニバーシアード出場中の室屋(明大)は左右どちらも対応可能なのでポジション争いに加わるだろう。

ボランチ
ここは大島、遠藤、喜田、原川、井手口など層が厚い。層が厚いというか、日本が技術、強さ、視野の広さ等を平均的に備えたこういうボランチタイプばかり育ててきた結果という気もするが。井手口はガンバで試合に出れていないので、この試合はいいプレーだったが今後この状態が続くようだと厳しい。余談だが、大島を見ているとドイツのギュンドアンを想起させる。どちらも小柄でゴール数は少ないもののチームに不可欠な機動力のある司令塔。

■2列目
今回招集の野津田、中島、前田、小屋松、矢島、他に石毛などタレントはいるが前回の清武、東、原口、宇佐美らと比較するとやはり少し小粒感がある。中島はこのチームでは中心だがクラブではリーグ戦ここまで僅か2試合63分のみの出場。武藤の移籍後に出番を増やせれば良いのだが。前田はヴェルディ育ちで技術はあるし、山雅でポジションを確保してこんなゴラッソも決めたレフティなのでちょっと期待している。後は鳥栖でポジションを取りつつある鎌田、そして海外組の南野、久保を最終予選に呼べるか(間に合うか)どうか。

■CF
今回は浅野が1トップだったが、この選手は2トップでも2列目でも機能するので是非チームに置いておきたい選手。あの速さは前回の永井とは違ったキレ味が感じられて見ていて面白い。そして2点目を取った金森もFWらしい積極性があった。一方これまでレギュラーだった鈴木武蔵はまずクラブで結果を出さない事には厳しい。以前も述べたが、FWに限らず五輪代表で最終的に生き残るのはクラブで試合に出ているか、結果を残した選手。FWで言うならアテネ世代は最初ナニワのゴン中山悟志がレギュラーだったが、ガンバでレギュラーを取れず、最後に選ばれたのは高松だった。次の北京でも最後は伸び悩んだ平山では無くJ2ながらレギュラーを取って結果を出していた豊田が選ばれた。現状だと鈴木は中山、平山コースになりそうなのだが・・・。

■その他
 鹿島のカイオは94年生まれで闘莉王と同様に高校時代から日本に在住しており、もしこのチームに加われば貴重な攻撃のタレントとしてかなりの戦力UPになると思うのだが、まだ本人の意志は分からず、そして同じ五輪代表でももしかしたら母国の方に選ばれる可能性が。根拠は2つあって、まず近年のブラジルは特に攻撃陣のタレント不足で今までより代表に入るハードルは低そうなのが1点。前回はネイマール、ルーカス、オスカルとかがいたが、リオ世代でそこまでのタレントの名は聞かない。欧州で活躍してるのもラツィオにいるフェリペ・アンデルソンぐらいか?次に挙げられるのはアデミウソンの存在で、本物の五輪代表候補であるこの選手の動向は当然向こうでもチェックくらいされていると思うが、Jリーグをチェックしてみたら実は違うチームに同い年でアデミウソンより点を取ってるブラジル人選手がいる、というのがバレるのではないかなと。ちなみにこの2人はサンパウロの下部組織で一緒だった事もあるらしく、アデミウソンinstagramにもオフの日を共に過ごしている写真が投稿されていた。という訳でもし帰化すれば物凄い戦力になると思うが、あまりそれは期待しないでおく。
 またアテネで平山、北京で香川がそうだったように飛び級(97年生以降)抜擢の可能性もある。例えば三好(川崎)、堂安(G大阪)と言った選手が今季、もしくは(予選を突破したとして)来季の五輪本大会までにクラブでインパクトを残せば、試合に出られない年上の世代よりも代表に近い存在となるだろう。

 今日の会場だったユアスタは規模的に丁度良かった。首都圏なら等々力、NACK5フクアリ位の規模のスタジアム。特に等々力は新スタンドが完成して収容が26000程度に増えたので、年代別代表の重要な試合やなでしこの試合を行うには丁度良いと思うのだが。