【続】移民とEURO

 前回書いた後、このような記事を見つけた。
もはやアルバニア代表じゃない?フランス化が進むアルバニアの現状」/Qoly
 ここで言う“フランス化”とはチーム内での移民の子弟の多さを指しているが、これを読んで前回は国内への移民の子弟をチームに取り込んだ例だったのに対し、その逆、つまり国外に移民した選手を取り込むパターンもある事に気付いた。アルバニア以外でそれに該当する国と言えばまずトルコが思い浮かぶ。他にもクロアチアなどもラキティッチ(スイス移民2世)の事例はあるが数はそれほど多く無い。という事で今回はこの2ヶ国を調べてみる。

アルバニア
コソボアルバニア人:12人 
この内
 スイス移民:6人(ヴェセリ、バシャ、ガシ、ジャカ、アリジ、アブラシ)
 ドイツ移民:2人(マヴライ、アジェティ)
 コソボで育つ:4人(ベリシャ、レニャニ、カナ、クケリ)

 チームの過半数コソボアルバニア人だった。国外移民の選手は年齢も比較的若く、今回初めてメジャー大会に出場した背景にはこういった選手のリクルートもあったのが伺える。上の記事中では“スイスB代表”という表現がされていたが、スイス、ドイツに移民した中でより優秀な選手はシャキリ、ムスタフィの様にそこの代表を選択し、そこまでには達していない選手を上手く取り込んだという事か。その意味ではアルジェリアと似ているな。ここもフランス生まれでフランスの年代別代表経験はあってもA代表歴の無いような選手達を代表に呼んでからW杯に連続出場している。
 記事にもある様に、最近コソボがUEFAに加盟したので今後はこうした選手は皆コソボ代表を選択する事が予想され、アルバニアは移民した先の代表にもコソボ代表にも選ばれないレベルの選手しか招集出来ず、次のメジャー大会出場は当分先になるかもしれない。

■トルコ
国外生まれ:8人
この内
 ドイツ:6人:(ハカン・バルタ、ヌリ・シャヒン、ハカン・チャルハノール、チェンク・トスン、オルジャイ・シャハン、ユヌス・マリ)
 オランダ:1人(オウサン・オズヤクプ)
 デンマーク:1人(エムレ・モル)

 チームの1/3がトルコ国外出身だった。トルコの場合は日韓W杯の時から移民の子弟を代表に取り込んでいるなど、そうしたリクルート体制も確立されている印象で、母国の代表に選ばれてもおかしくないレベルの選手がトルコ代表を選んでいる。やはりドイツが多いが、今回出身地(都市)にも着目して見ると、ベルリンやルール地方はトルコ移民が多いと聞くのでその傾向があるかと思ったが6人全員違う街の出身だった。それだけドイツ(正確には旧西ドイツ)国内にはトルコ人コミュニティが広がっているという事なんだろうな。

 既に大会は始まっているが、やっぱメジャー大会の緊張感は視てて面白いな。スタンドの雰囲気や各選手の100%のプレーだけで十分。ドイツはスコアこそ2−0だがウクライナに決定機を3〜4作られてそれをノイアー、ボアテンクが防いだ結果なので、後ろがやや不安。この2人が怪我無く過ごしてくれるのを願うばかりだ。