J1第15節 川崎×広島(等々力)


 たった1週空くだけで久々の観戦に思えてしまうのが不思議だが、今週は友人と等々力へ。ここは武蔵小杉からバスで行くと、降りてからスタジアムまでにフードコートがある導線になっていて自然と店を物色してしまう。18時過ぎに着いたので軽く何か腹に入れたいなとうどん入りの塩ちゃんこを食べたのだが、このメニューも完全に等々力の定番になってるよなぁ。このクラブはとかくイベントの企画力に注目が集まるが、それだけでなく好評を得たイベントを維持、発展させる力もまた強みでは無いかと思う。何事も継続させるのは立ち上げるのと同等以上に力の要る仕事。

 試合について。前半の川崎の内容は2週前のマリノス戦と似たようなものだった。引いた相手に対して狭いフィールドでのパス回しが続いて攻めあぐねる展開。ポゼッションは高いが広島GK林を脅かすシーンは無く、というかシュートそのものが少なかった。一方の広島は14節時点で16位、しかも塩谷が移籍という中での試合だったが、前半の決定機の数は川崎を上回る出来。今季のこのチームを生で観るのは初めてだったが、最終ラインからサイドへスムーズな展開はこれまでと変わらぬクオリティで、青山のパスも相変わらず正確だったし、ミキッチ、柏(前半途中に大島のシュートが直撃して途中交代)、清水らサイドアタッカー陣の突破力も変わりなかった。やはり“そこから先”か。フェリペ・シウバの個人技は面白かったが、1トップ+2シャドーがどうも連携しているようには見えなかった。このサッカーに合う1トップの選手は佐藤寿人や興梠といったポストプレーと裏抜けを兼ね備えるタイプなんだろうな。またスタメンをよく見ると林、千葉、水本、ミキッチ、青山、柴崎と過去タイトル獲得に貢献した選手達は軒並み30代になっており、後を継ぐはずだった塩谷、浅野といった中堅、若手達が移籍したのも(違約金収入による経済的メリットはあったが)戦力的には痛手。
 後半はオープンになって、互いに攻め合う展開が続いたのだが、そんな中で後半は中央から左サイドにシフトした阿部が低い弾道のミドルを決めて川崎が先制。この選手はエリア外からのミドルが上手いイメージがある。その後は広島も巻き返して、特に右サイドのミキッチは何度もフリーでクロスを上げたのだがゴールまであと一歩といったところ。丁度アウェイ寄りで観ていたので後半は広島がこちら側に攻めてくる構図だったのだが、誰もが危険と分かっているミキッチをあれだけフリーにさせる川崎守備陣はちょっとマズい。結果的に広島はノーゴールだったが、あわやというシーンは何度かあった。試合のラスト15分くらいは広島が押し込む展開で、シュートまで持ち込むシーンも幾つかあったのだが、それは川崎のGK鄭成龍がよく防いでゴールならず。一度皆川?のヘッドがバーを直撃し、その跳ね返りを広島の選手が押し込もうとした寸前で登里がダイビングヘッドでクリアしたシーンがあったが、この試合の隠れたファインプレーだった。登里はSBとして特に突出した武器は無いのだが、こういうプレーがあるからこそ起用されるんだろうな。SB版岡崎慎司のような存在。そのまま試合終了。

 広島は内容は決して悪くなかったが勝点は0。課題は分かっているが、その解決策が簡単で無い(佐藤寿人のようなFWはそう簡単に見付からない)以上、今いるメンバーでやりくりしつつ、フェリペ・シウバの爆発に賭けるしかないような気もする。しかし今日一緒に観た友人が言っていたが、このサッカーは最終ラインからではなくまずトップの選手の選定が重要なのだな。