ベルギー戦

試合直後でなかなか言葉が出てこないが、将来の為に今この瞬間の所感を記しておく。
・追い付かれた辺りから何故か逆に胸を締め付けられるような緊張感が薄らいできた。W杯であんな展開になったら普通視ている方も重圧で押し潰されそうな感覚になるのだが。少し経ってから西野ガンバもよくこんな試合をしていたのを思い出した。W杯でこそ過去に無い展開だったが、自分が過去に色々な試合で観てきたサッカーを思い出して、サッカーにはこういう展開も起こり得るという覚悟というか安心感?みたいなものがあったかもしれない。

・最後本田のFKは少し南アのデンマーク戦を思い出した。コースは良かったが落ちる高さがクルトワにとってセーブしやすい高さだったな。もう少しゴール前で高く、低く飛んでいれば入っていたかも。

・最後のカウンターは簡単にGKにキャッチされてしまったのと、強いて言えば山口が中央をドリブルするデ・ブルイネに対して寄せるかコースを切るか曖昧だったのが痛恨。山口は年齢的にこれから数年間長谷部のようにベテランとして代表を引っ張っていかないといけない世代だが、今大会は最後まで波に乗れないまま終わってしまった。

・この山口に限らず全体的に手持ちのカードが少な過ぎたのが今回の結果に繋がったとも言える。実際の戦力は今日のスタメン+本田、後は強いて言えば岡崎の計13人。ポーランド戦はこの戦力を少しでも温存する為の試合であって宇佐美や武藤、酒井高徳がレギュラー組と遜色ないから出したのでは無かった。ここが準備期間の短さの影響を受けた点で、ひとまず戦える11人+αは準備出来たが、それ以上は時間的に厳しかった。やはり今回の様な監督交代はこれを最後に止めるべきで、新監督は4年ないしは2年の準備期間を用意するべき。まぁアジアはW杯の翌年にすぐアジアカップ(しかも年明けすぐに)があるので、W杯の中間年にEUROが開催される欧州みたく単純に2年区切り出来ないのが難点だが。そう考えるとカタールW杯は気候の関係で(2022年)11月開幕と通常より約半年遅いので、少し影響しそう。

・最終的に勝ったのはコロンビア戦だけだが、それでもベスト16に行けるレギュレーションである以上それを最大限活かしたというしかない。同じベスト16のポルトガル、スペイン、アルゼンチン、デンマークも結局1勝しかしていないし、理論上一度も勝たなくても(PK戦は記録上引き分け扱い)優勝出来るレギュレーション。

・これで98年フランス大会からGLとベスト16を交互に続ける形。この間ずっとベスト16入りして(そしてベスト8の壁に跳ね返されている)メキシコには及ばないが、それに準ずる水準と言えるか。もちろん次回は今大会以上の成績が目標になるかと思うが、一歩一歩着実に歩みを進めるなら、次回もまずはGLを突破して、“交互のジンクス”を打破するところから始まるとは思う。ついでに言えば日本にとってのベスト8入りの壁はベルギーにとってベスト4入りの壁。ブラジルW杯→EURO2016と連続で準々決勝で敗退している。今回も次はブラジルで、これを越えたら一気に決勝進出も見えてくるが、最後はブラジルの手堅さと強かさが勝るように思う。

 やるだけやった上でのこの結果。追い付かれたのも、リードした時の試合運び云々というより、相手が長所(高さ)を前面に押し出してきた側面が大きい。それを防げなかったのも含めての現在の力だし、現行の戦えるメンバーで全てを出し尽くしてのこの結果なので、展開ほどの脱力感は無い。色々思うところを書いたが、何を書くにせよ代表選手や現場のスタッフへの敬意は忘れずにいたい。今大会は図らずもそれが有る人無い人の差が顕著に出た大会だった。おそらく何人かの選手にとってはこれが代表ラストゲームになると思うが、今後の展望はまた大会後にでも。