年間表彰2018(前編)

 さて今年も残すところ1週間を切った、ということは毎年恒例の当blog日本サッカー年間表彰。年末の慌ただしさと1年の疲れが押し寄せる中で、なかなか落ち着いて振り返ったり文章を書く時間が取れないが、やはりこれは外せない。例年同様にまずはMVP以外の各賞をば。
 
■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

2005年:バーレーン戦(○1-0/2005.6.3/ドイツW杯予選@マナマ)
2006年:サウジアラビア戦(○3-1/2006.11.15/アジアカップ予選@札幌)
2007年:豪州戦(△1-1(4PK2)/2007.7.21/アジアカップハノイ
2008年:カタール戦(○3-0/2008.11.19/南アW杯予選@ドーハ)
2009年:ベルギー戦(○4-0/2009.5.31/キリンカップ@東京)
2010年:デンマーク戦(○3-1/2010.6.24/南アW杯@ルステンブルク
2011年:韓国戦(○3-0/2011.8.10/親善試合@札幌)
2012年:オマーン戦(○3-0/2012.6.3/ブラジルW杯予選@さいたま)
2013年:ベルギー戦(○3-2/2013.11.19/親善試合@ブリュッセル
2014年:豪州戦(○2-1/2014.11.18/親善試合@大阪)
2015年:パレスチナ戦(○4-0/2015.1.14/アジアカップニューキャッスル
2016年:サウジアラビア戦(○2-1/2016.11.15/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:豪州戦(○2-0/2017.8.31/ロシアW杯最終予選@さいたま)

1位:セネガル戦(△2-2/2018.6.24/ロシアW杯GL@エカテリンブルク
2位:ウルグアイ戦(○4-3/2018.10.23/親善試合@さいたま)
3位:コスタリカ戦(○3-0/2018.9.11/親善試合@吹田)
※特別賞:ベルギー戦の後半7分まで(後半7分時点○2-0/2018.7.2/ロシアW杯決勝T1回戦@ロストフ・ナ・ドヌ
 今年のA代表は14戦6勝3分5敗。W杯でベスト16に進出しただけに普通はこの大会からとなるが、コロンビア戦は勝ったとは言え相手が殆どの時間で1人少ない状況だったし、むしろ二度先行されながら追い付いたセネガル戦を評価したい。結果的にポーランド戦は時間を消費する試合になったが、主力の一部を休ませることが出来た訳で、それはセネガル戦で勝点1を得たからこそ。ポーランド戦もそれまでと同じ面子で臨んでいたら、GLは突破出来てもかなり消耗し、同じ敗北にしてもベルギー戦ではリードすら出来なかったかもしれない。ゴールを決めた2人、原口はポーランド戦出てなかったし、乾も後半20分過ぎからの出場だった。
2位はスアレス以外ほぼベストメンバーだったウルグアイとの打ち合いを制した10月の親善試合で、3位は新監督の初戦、かつ新しいメンバーが躍動して快勝したコスタリカ戦。そして特別賞としてベルギー戦の乾のゴールが決まった時間までを。やはりこの試合も後世に伝えないと。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

2008年:バーレーン戦(●0-1/2008.3.26/南アフリカW杯予選@マナマ)
2009年:バーレーン戦(●0-1/2009.1.28/アジアカップ予選@マナマ)
2010年:韓国戦(●0-2/2010.5.24/親善試合@さいたま)
2011年:北朝鮮戦(●0-1/2011.11.15/南アW杯予選@平壌
2012年:ウズベキスタン戦(●0-1/2012.2.29/ブラジルW杯予選@豊田)
2013年:ブルガリア戦(●0-2/2013.05.30/親善試合@豊田)
2014年:ブラジル戦(●0-4/2014.10.14/親善試合@シンガポール
2015年:北朝鮮戦(●1-2/2015.8.2/東アジアカップ武漢
2016年:UAE戦(●1-2/2016.9.2/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:韓国戦(●1-4/2017.12.16/EAFF E-1選手権@調布)

1位:ウクライナ戦(●1-2/2018.3.27/親善試合@リエージュ
特別賞:ベルギー戦の後半24分から試合終了まで(最終結果●2-3/2018.7.2/ロシアW杯決勝T1回戦@ロストフ・ナ・ドヌ
 ポーランド戦がワーストだという人もいるかもしれないが、個人的に最後のあのボール回しはルール上有り得ることなのでGL突破という結果を手にした以上特に言うことは無い。今季のJは川崎が敗れつつも他会場の結果でリーグ優勝が決まったが、多少バツは悪いが最終的に望むものを手にしたという意味であれと似たようなもの。その他今年の敗戦を振り返ると、ベルギー戦は後述するが別枠で記録するとして、ガーナ戦、スイス戦は監督が代わった直後でまぁこんなものだろうなという印象だった。その中で結果的にハリルの最終戦となったウクライナ戦は内容的に酷かったので挙げておきたい。相手の組織的な動きに付いていけず殆どチャンスも作れなかった。ハリル解任の背景には色々な動きがあったのだろうとは思うが、あの内容が“最後の一押し”になってしまった感はある。
 ベストマッチと同様にベルギー戦の最初の失点から試合終了までを特別賞として。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

2005年:中村(俊)(ブラジル戦(コンフェデ杯)同点ミドル)
2006年:玉田(ブラジル戦(ドイツW杯)先制点)
2007年:山瀬(カメルーン戦(親善試合)決勝ミドル)
2008年:玉田(カタール戦(南アW杯予選)ミドル)
2009年:中村(俊)(バーレーン戦(南アW杯予選)FK)
2010年:本田(デンマーク戦(南アW杯GL)FK)
2011年:李 (豪州戦(アジアカップ決勝)決勝ゴール)
2012年:本田(オマーン戦(ブラジルW杯予選)先制ゴール)
2013年:本田(オランダ戦(親善試合))
2014年:岡崎(豪州戦(親善試合)バックヒールゴール)
2015年:柴崎(UAE戦(アジアカップ準々決勝)同点ミドル)
2016年:山口(イラク戦(ロシアW杯予選)決勝ミドル)
2017年:井手口(豪州戦(ロシアW杯予選)2点目のミドル)

1位:原口(ベルギー戦先制点)※動画6秒から
2位:(ベルギー戦2点目)※動画23秒から
3位:南野ウルグアイ戦先制点)※動画12秒から
4位:山中キルギス戦先制点)※動画30秒頃から
5位:本田セネガル戦同点弾)
 今年は14戦で27ゴール。最多得点者は乾と南野(4点)で、大迫(3点)、香川、原口、伊東、中島(2点)、槙野、本田、川又、堂安、酒井宏樹、山中(1点)と続く(その他OGが2点)。
 やはり試合の価値、相手の強さ、その中でのゴールの価値(先制、逆転等)が大きいほど評価は高くなる中で、1位はベルギー戦のどちらにするかで迷ったが、原口のゴールで。予選のアウェイ豪州戦でも同じように裏に抜け出して決めたゴールがあったが、これまで代表ではエリア内で点で合わせるパターンが多かった。ドリブラーなのにそれがゴールやアシストに反映し切れてないのが勿体ないなと思っていた中での、このゴール。また柴崎の縦パスも素晴らしかったのでそれと合わせてのベスト。
 で、2位は乾のゴールなのだが、今年のゴールを見返していて、W杯直前のパラグアイ戦でも同じ様なミドルを決めていたのを思い出した。試合後のインタビューで西野氏が「(乾が)やっとボールと足がフィットしてきた」てなことを言っていたが、あの試合から何かが変わったな。3位は南野のウルグアイ戦の先制点で、ボールを受ける瞬間のターンとかこの選手のセンスが詰まったゴール。4位は山中の開始直後のミドルで、あの位置から逆サイドに低いミドルを打てる選手はなかなかいない。ベイル化(SBからアタッカーにコンバート)の可能性をここでも言っておく(笑)5位も同じセネガル戦の乾のゴールと迷ったが、終盤に追い付いたゴールの価値、W杯3大会連続、アフリカ勢にも3大会連続で点を決める本田の大舞台での勝負強さ、ゴール前に体を投げ出して相手GKを惑わす岡崎とか、色々な要素が詰まっていたのでこちらを。

■年間最優秀若手選手(U-20)
※対象は1998/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

2006年:本田(2位:西川)
2007年:安田(2位:香川、3位:内田)
2008年:金崎(2位:内田、3位:香川)
2009年:米本(2位:香川、3位:権田)
2010年:宇佐美(2位:酒井(高)、3位:小野)
2011年:久保(2位:指宿、3位:扇原)
2012年:柴崎(2位:石毛、3位:小野)
2013年:南野(2位:久保、3位:大島)
2014年:植田(2位:岩波、3位:室屋)
2015年:南野(2位:関根、3位:中村)
2016年:井手口(2位:鈴木(優)、3位:中山)
2017年:堂安(2位:中山、3位:前田)

1位:堂安(フローニンゲン
2位:冨安(シント・トロイデン)
3位:杉岡(湘南)
 2017ー18シーズン後半からのゴール量産とW杯後の代表デビュー&初ゴールを考えたらこの選手だな。2年連続受賞。2位はベルギーでレギュラーを掴み代表デビューも果たした冨安。日本のCBは
生まれ年:氏名(代表記録)
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1956年:加藤久(代表61試合6ゴール)
1967年:井原正巳(代表122試合5ゴール)
1978年:中澤佑二(代表110試合17ゴール)
1988年:吉田麻也(代表89試合10ゴール)
と約10年間隔で長く代表を引っ張る中心選手が現れるが、1998年生まれのこの選手はまさに10年に一人の逸材。
今年は橋岡(浦和)、安部(鹿島)、郷家(神戸)など1999年世代もJ1でレギュラー、準レギュラーを掴む選手が多かったが、ここはルヴァン決勝MVPの杉岡で。来年のA代表入りに期待。

■最優秀監督
※過去の受賞者

2009年:手倉森(2位:城福、3位:小林)
2010年:岡田(2位:小林、3位:関塚)
2011年:佐々木(2位:手倉森、3位:吉武)
2012年:森保(2位:手倉森、3位:吉武)
2013年:森保(2位:吉武、3位:小林、4位:高木、5位:風間)
2014年:長谷川(2位:城福、3位:反町、4位:石崎、5位:柱谷)
2015年:森保(2位:佐々木、3位:井原、4位:長谷川、5位:石井)
2016年:石井(2位:渋谷、3位:風間、4位:小林、5位:森山)
2017年:鬼木(2位:高木、3位:名波、4位:下平、5位:渡邊)

1位:大岩(鹿島)
2位:森保(代表/U21)
3位:鬼木(川崎)
4位:相馬(町田)
5位:片野坂(大分)
 今年は迷ったな。J1、J2、代表関連で候補者が多く。
 まずJ1から見ていくと、城福氏(広島)、長谷川氏(FC東京)はどちらも新任で、昨季不振だったチームの順位を大幅に上げたのは事実なのだが、終盤の大失速の印象が強くベスト5にランクするのは抵抗がある。J1ならタイトルを獲った鬼木氏(川崎)や大岩氏(鹿島)を入れるべきだし、途中就任して降格圏のチームを9連勝させて最終9位に上げた宮本氏も候補に入る。
 次にJ2だが、2年前J3だったチームを自動昇格させた片野坂氏、そして優勝の反町氏、そして予算規模やJ1ライセンスが無い中でモチベーションを落とさず4位に導いた相馬氏が候補。
 ここまでで既に6名だが、代表関連の人も名を挙げておきたい。西野氏はチームの責任者(最終決断者)としての功績は大きかったとは思うが、ここではW杯はコーチとして監督を支え、監督に昇格した後は5戦4勝1分と結果を残し、同時にU21でアジア大会準優勝の森保氏の功績は大きい。また森山氏も異例の途中就任(通常はU15から継続して同じ世代を見る中でU16から就任)ながらU16代表でアジア制覇。
 以上の候補からベスト5を選ぶ訳だが本当に悩ましかった。悩んだ結果、大岩氏は過密日程とは言え国内タイトルは良いところまで行きながら無冠だったのがややマイナスだが、リーグ終盤に控え中心でベストメンバーのセレッソレイソルを破るなど最終3位に滑り込んだチーム力はさすが鹿島と思わせるものがあったし、ACL制覇の偉業を称える意味で1位に。2位は森保氏、3位に鬼木氏、そして4位はチームの予算規模(約7億)を考えたら相馬氏で、5位に同じく経営規模(約10億)がJ2でも中位で、何より2年前はJ3にいたチームをJ1に上げた功績から片野坂氏で。ただ反町氏は正直マンネリというか2年前にPOで敗退した時にチームとしての伸びシロはもう無さそうに見えて、実際昨季は8位に落ちた訳だが、その翌年に優勝させたのはさすがだと思う。

 と色々な監督の名を挙げていてふと思ったが、広島系統の人(片野坂、森保、森山)と鹿島系統の人(大岩、鬼木、相馬)が多い。広島系統の人は以前も書いたが当たり負けない強さやメンタル面を強調し、独特の戦術を持っていてもそれにこだわらず手持ちの選手に合わせて、また相手をよく分析する人が多い。3バック+2シャドーの使い手ながら代表では4バックを継続し結果を出している森保氏が典型的。他に高木氏(長崎)、上野氏(甲府)など。風間氏も現役時代広島にいたのでこの系統と言えなくも無いが、この人のサッカー観は地元静岡がベースにあると思うのでちょっと違うかな。鹿島系統の人はやはり勝負にこだわる姿勢が強い。他に手倉森氏(代表コーチ→長崎)、関塚氏(現技術委員長)、石井氏(大宮)など。さすがと言うべきか殆どの人が過去指導したクラブや世代別代表でタイトルを獲っている。身体とメンタルの強さを植え付けて、戦術的な柔軟性、勝負へのこだわりも持つ・・・これが出来る指導者はやはり優秀てことなんだろうな。

 メインの最優秀選手は明日発表(したい)。