高校選手権 準々決勝 帝京長岡×仙台育英(等々力)


 等々力の準々決勝は第1試合が青森山田と先日駒場で観た昌平という好カードだったが、敢えて第2試合へ。
■試合前
 ここ数年、等々力へは新丸子から歩くのが殆どなのだが、中原街道の工事が進んで片側に歩道が整備されていた。

 ここも、それこそこのblogを始めた時より前からずっと工事しているがようやくここまで来た。もう片方の歩道整備も予算さえ付けばすぐに終わると思うが、肝心の直線化工事(写真の位置より少し奥にある、江戸時代からの直角路を直線化する)に関しては用地買収が終わっていないのか、まだ道路予定地に家屋が数軒建っているので、当分終わる事はなさそう。
 その直角路のすぐ脇には西明寺という寺があるのだが、折角なので参拝。

 以前朝ランした時に寄ったことはあるが、それ以来か。江戸時代以前からここにあるらしい。御朱印も拝領。

■試合
 等々力に着くと丁度第1試合が終わった後で大量の客がスタジアムから出てきた中を入場。それでもメイン、バックは8割方埋まっていたな。公式記録を見たらこの第2試合は16,399人。先日は埼玉での客の多さに驚いたが、あまり地域関係無く全体的に客が増えてるのだろうか。駒場も等々力も住宅街の中にあるので、正月休み中にちょっと出掛けるには丁度良い立地、というのはあるかもしれない。
 先日は青森山田と昌平が事実上の決勝かと書いたが、帝京長岡もなかなかタレントが多い。U18代表FWの晴山(町田内定)など世代別代表経験者やプロ内定者が複数おり、プリンスリーグ北信越で優勝(プレミア参入戦ではマリノスユースに敗れ昇格ならず)。色々記事を読んだら多くの選手が高校と同じグラウンドを利用するジュニアユースチームで共にプレーしていたようで、高体連チームも中高一貫だったり提携チームによる一貫指導が浸透しているのを実感した。
 試合は開始1分も経たない内に左サイドライン際からの低いクロスを中央で合わせて帝京長岡が先制。このクロスを蹴った時にラインを完全に割っていたかどうか微妙なところで、後で中継映像を確認してもJの様にライン判定用の映像が無く、実際どうだったかは分からず。いきなり試合が動いたが、前半は帝京長岡が押し気味に進めたが、さすがタレント揃い、かつ中学から共にプレーしているだけあってパスワークや相手ゴール前での連携は洗練されていた。晴山はあまり上背は無いが体幹はがっちりしていてドリブルでボールを運べる俊敏なアタッカー。ここ数年の高体連出身のトップストライカーはこういうタイプが多い印象がある。岩崎(京都橘→今季から湘南)や去年のU17W杯で高体連から唯一選ばれた若月(桐生第一→湘南内定)など。
 仙台育英は試合前の選手紹介で監督の名が城福とあったのが目を引いたのだが、やはり城福浩氏の兄にあたる人だった。サイドに大きく展開する攻撃やセットプレーで何度か帝京長岡ゴールに迫るものの最後の一押しが足りず。序盤の得点からそのまま試合は進んで後半も半ばを過ぎると連戦でさすがに両チームとも動きが落ちてきたのだが、そういう中ではより技術のある帝京長岡が上手くボールをキープして強かったな。そのまま1-0で帝京長岡の勝利。
 この結果ベスト4は

青森山田(プレミアイースト優勝→ファイナル優勝)
矢板中央プリンスリーグ関東10位)
帝京長岡プリンスリーグ北信越優勝)
静岡学園プリンスリーグ東海2位)

波乱と言えるのは矢板中央のゾーンで市船(プレミアイースト5位)が緒戦PK負けしたことくらいか。準々決勝で静学が尚志(プレミアイースト10位)に4-0で大勝したのも所属リーグを考えればそうかもしれないが、尚志はエース染野不在なのは大きかっただろうし。さすが選手権でベスト4に勝ち上がるのはプリンスやプレミア所属クラスになるよなぁと。

 今日で正月休みも終わり。今年は例年に無く観戦が続いた年末年始だった。9日間で4試合。次の観戦は2月のゼロックス杯かな。

高校選手権2回戦 昌平×興國(駒場)


 大晦日と元日に予定外の観戦が入り、3日連続となってしまったが、前から予定していたのはこの試合。駒場は一度行ったことがあるだけで改めて行ってみたかったのと、興國高校はここ数年毎年のようにプロ入りする選手を輩出するのでその名を何度か耳にしてはいたが、今回が初出場と聞いて興味があった。
barcaw.hatenablog.com
※前回の駒場行は実に12年前。何故駒場で大宮戦?と思ったが、大宮公園サッカー場(現NACK5スタジアム)が改修工事中だったんだな。アウェイゴール裏に行って試合を観てすぐ帰っただけなので、今回はスタジアム内を色々見て回りたかった。

 11時過ぎに浦和駅に着くと駅前のバスロータリーで長蛇の列があったので嫌な予感がしたらやはり駒場行きのバス待ち列だった。臨時バスが出る訳でも無く、このまま約2km、20分程かけて歩こうか迷ったが、別路線のバスに乗り、途中下車して1kmほど歩くことにした。
 高校サッカーを観る時は何処のスタジアムでもメインスタンドでのんびり、という感じなのだが、スタジアムに着くと既にメインは満席でバクスタの入場待機列が続いている状態。結局座れたのは試合開始3分ほど経ってからだった。バクスタ2階もほぼ満席。

 後で公式記録を見たら入場者数は14,741人。地元埼玉勢の試合とは言え神奈川、東京の高校が三ツ沢、等々力、駒沢等で試合をしてもここまでは埋まらないだろうし(世代別代表の有名選手がいたら違うかもしれないが、例えば今大会は予選で敗退した桐光の西川など。)、埼玉のサッカー熱の高さを感じる。

 興國を観に来た訳だが、試合は終始昌平ペースだった。興國はGKからのビルドアップが丁寧で最終ラインの前辺りまではボールを繋げるが、そこで昌平に上手く対応されて、サイドに大きく蹴り出すしか無い状態。逆に昌平が上手くサイドを使って相手ゴール前に近付くシーンが目立った。昌平は小柄なドリブラーが多かったものの、ドリブル一辺倒でもなくパスも組み合わさったバランスの良い攻撃だったが、興國が守備では人数を掛けて守り前半は0-0。大晦日の試合然り、後半に大きく流れが変わることも考えられ、まだ勝負は分からなかった。
 だが後半も流れは変わらず、早々に昌平が先制、その約5分後にはGKからのボールを受けたCBからボールを奪ってそのままゴールに流し込んで2-0。1点ならどうにかなったかもしれないが、2点となると興國にとって厳しかったな。因みに2点目を決めた鎌田大夢は鎌田大地(フランクフルト)の弟とのこと。兄はガンバジュニアユースから京都の東山高校という経歴で弟は埼玉の高校てのは珍しいなと思ったが、中学時代はJFAアカデミー福島らしい。長身のパサーである兄と違い、小柄なアタッカータイプの選手。
 その後昌平は引き気味になり興國が押す展開となったが、昌平に上手くコントロールされて決定機までは作り出せずそのまま終了。元々興國を観に行った中で、昌平の素晴らしいサッカーが目立つ試合だった。
 これを書いているのは1/3の3回戦後なのだが、この試合も終了間際のゴールで國學院久我山に勝利して準々決勝進出。次の相手は青森山田だが、ここでこのカードは勿体無いよなぁ。この試合が事実上の決勝になるかな。

 今日はスタジアムを色々見て回るつもりが結局バクスタ1階を少し見て回る程度になってしまった。レッズも平日の天皇杯くらいでしか使わないだろうし、行くとすればまた来年の選手権か。

天皇杯決勝 神戸×鹿島(国立)


■初詣など
 2020年の幕開け。毎年初詣は特定の社に決めている訳では無く、今年は鶴岡八幡宮にしようかとも考えたが、天皇杯決勝をTVで視るために、10時に家を出て14:30頃までに帰って来れそうな場所はとなると去年と同じ伊勢山皇大神宮となる。着いたのは11:00頃だったが去年(15:30頃)よりも参拝列はさほどでもなくすんなり参拝出来た。意外と昼前は穴場?御朱印も拝領したが、去年は直書きしてくれた中で今年は150周年記念の御朱印があったものの書き置きのみ。

 伊勢山皇大神宮桜木町から徒歩10分程度なので、みなとみらいや横浜にすぐ行けるのがいい。そのまま桜木町駅を越えてランドマークタワーに上ってみた。

 このような素晴らしい横浜の眺めを楽しんでいると、友人某氏から電話が入り、決勝のチケが1枚余ってしまったとの連絡が。こうしてまさかの新国立行きが決まった。

■観戦記
 みなとみらいから新国立までは実は電車で1本。みなとみらい線東横線副都心線と来て北参道駅から徒歩15分程度。しかもみなとみらい駅に着くと東横線内急行で副都心線内各駅停車というベストな電車がタイミング良く来て、13時にランドマークタワー69階で電話を受け、国立の千駄ヶ谷門に着いたのは14:20頃だった。入場して上層階まで階段を上って席に着いた直後に選手入場。
 新国立のスタジアムそのものについて詳細はまた別途書くとして、自分が座ったのはメインの3階席だったが、傾斜があり(故に前に手摺りが付いている)、意外と観やすかった。ただし案内表示が小さく見落としやすかったり、階段が狭い、分かりにくいという点もあった。

<両ゴール裏>

日本に3層のスタンド持つサッカー場陸上競技場は今まで無かった(はず)ので神戸のコレオはフランスのスタッド・ドゥ・フランスみたいで目に新鮮だった。一方でアウェイ側は五輪用?の仮設舞台やど真ん中にゲートがあったりして少し残念だったな。
 
 こうした試合では協会会長やVIPが整列する選手達に激励するのが恒例だが、今回は両チーム社長、神戸三木谷氏、鹿島小泉氏もいたのはちょっと驚いた。これが親会社からの天下り社長ならば起こり得なかっただろう。2人とも若くして事業を興し、成功を収めた実業家であり、そうした新興経済人がJクラブを買収して強化する最近の流れをある意味象徴するような光景。オーナーのリーダーシップと国際性が今後の各クラブにおける発展のキーワードになると考えているが、(良くも悪くも)その2つを備える両クラブが決勝で対戦というのも象徴的ではある。

 試合について。始まる前は戦力的には神戸だが(しかもリーグ終盤にアウェイで鹿島を破ってもいる)、鹿島の強かさは侮れないと思っていたが、開始から神戸がボールを繋ぎつつ、奪われてもすぐ奪い返す切り替えの早さも見せて試合を支配した。イニエスタが前を向いて鹿島陣内でボールを持てるシーンが幾度もあったが、それだけ選手の配置やボールを前に運ぶプロセスが整理されてるんだろうな。世間的には“バルサ化”というワードが前面に出ているが、ドイツらしいシンプルな美しさをベースにイニエスタで彩るといった感じのサッカー。中でも酒井高徳は攻守に素晴らしく、この選手の加入で、左でも右の西と同じ動きが出来るようになった。
 で、前半の内に神戸が2点取るのだが、どちらもサイドからというのは共通しているが、観ていて鹿島の方に目が入ってしまった。1点目は自陣右サイド深くで一度ボールを奪いながら再度奪われてエリア内に侵入され、2点目は低いクロスをクリアミス。カップ戦決勝進出回数で言えば神戸はこれが初めてで鹿島は数え切れないほど経験しているが、試合の入りやプレー内容はまるで逆で、鹿島の方が浮き足立っているようにすら見えた。まぁ選手個人で比較すると、神戸にイニエスタポドルスキヴェルメーレン、山口、酒井、そして鹿島でタイトルを獲り尽くした西などCL、W杯の大舞台やタイトル獲得経験を持つ選手達が揃う中で、鹿島はその点で分が悪かった。ACLを制したのはつい1年前だが、当時のスタメンから昌子、安部、鈴木、西が移籍し、それを犬飼、白崎、名古といった選手達で埋めるのはキツいよなぁ、と。

 後半は鹿島が少し攻勢に出たが神戸が無理せず試合をコントロールしていた面も大きかった。終盤は神戸がカウンターで何度か鹿島ゴールに迫るが決め切れず。ベンチだったビジャは残り10分位で出るかと思っていたらATからの出場で、慎重過ぎるとも思ったが、実は負傷からの回復途中という状況だったらしい。そういう状況を踏まえた上で、引退する選手への花道を、というギリギリの判断が終了直前からだった、ということか。このまま2-0で神戸が勝って初タイトル。途中で気付いたが、実は(神戸での)イニエスタポドルスキのプレーを生で観るのは初だった笑。2人ともなかなか日産スタジアムとは縁遠いが、今年は是非横浜へ。

 折角なので表彰式も観て帰ったのだが、3階のコンコースからは新宿のビル群がよく見えた。

 旧国立時代はバクスタからこのビル群がよく見えて、↑の様にカップ戦決勝後は陽が傾き、試合の余韻に浸るにはいい雰囲気だったのだが、マリノス天皇杯優勝した14年元日以来6年振りにこの光景を目にすることが出来た。スタジアムを出た後はホープ軒でラーメンを食って、そのまま表参道~原宿と歩いて帰宅。

高校選手権1回戦 矢板中央×大分(ゼットエーオリプリ)


■年末ドライブ
 ここ数年、年末は車で近場に出かけているのだが、まだ行った事のない場所が多いのもあって、去年に続いて房総に行く事にした。九十九里など候補はあったが、たまたま知った九十九谷の展望台、養老渓谷、そして城下町大多喜を巡ろうかなと。
 まずは九十九谷の展望台に向かったのだが、ここは星空がよく見えて日の出前後は雲海が出ることもあるらしく、朝4時半に家を出てアクアラインを渡って向かったのだが、雲が多く星は見えず、現地に着く頃には白み始める始末。既に何人か一眼レフを構えていたが、気温が上がりすぎたのが良くなかったのか、雲海も見ることは出来なかった。ただまぁ山肌から湧き上がるような霧(雲?)といい見事な眺めではあったな。

近くには神野寺という聖徳太子が建てた関東最古の寺もあって参拝したが、時間が早すぎて年末年始の準備をする作業員しかおらず御朱印は貰えなかった。参拝後は養老渓谷へ。

で、行ってみたのだが、時間が早すぎて駐車場も殆ど空いておらず、数km歩くことになってしまい、結局駐車場近くの立国寺という寺を参拝するだけで終了。ここは源頼朝に縁があり、出世観音なる像が祀られている。9時過ぎだったが住職が既にいて御朱印も拝領。

この寺は山を少し登った先にあるのだが、先日の台風の影響か石段が一部崩壊して仮設の階段での対応だった。

ここに限らず道を走っていても特に山道では土砂崩れの復旧途上にある箇所が多く、被害の大きさを痛感。

予定ではこの後大多喜に行く予定だったが、雲海も見れず渓谷の景観も見れずでどうも今回はいまいちだなと思いつつマップを眺めると帰り道に今はゼットエーオリプリスタジアムと呼ばれている市原臨海があるのが分かり、ここには行った事がないのを思い出して予定変更。途中の道の駅で昼飯を食って土産も買って11:30と丁度良い時間に現地到着。
と思ったらスタジアム傍の駐車場は既に満車で少し離れた駐車場に飛ばされた。駅から徒歩30分以上で地元チームも来ないし余裕だろうと思っていたが甘かった。駐車場には袖ヶ浦ナンバーが多かったから近隣の人で観に行く人は一定数いるんだろうな。時間帯も、観終わって大晦日の買い物して帰宅、という流れには丁度良いし。

■観戦記
 例によって観るのは1試合のみで、カードは栃木の矢板中央高と大分の大分高校。両チームを見比べると矢板中央の方が長身かつ体格の良い選手が多かったが、開始からその矢板がロングボール中心に攻め込んで早々に先制。ミドルをGKが弾いたところに詰めた形だったが、そこまで強烈でも無いシュートをGKが前に大きく弾いてしまったのは少し勿体無かった。
 ただこのGKはそれ以外では2~3度ナイスセーブがあり、それ以上に攻撃の起点としてのキック精度、飛距離が素晴らしかった。大分は序盤こそ矢板のロングボール攻撃に付き合って前に蹴り出すシーンが多かったが、徐々に7番の司令塔を中心にボールを展開して決定機を作り出していく。九州のチームはどちらかと言うと矢板の様なサッカーをするイメージがある中でこういうテクニックや連携をベースに展開するサッカーは新鮮な驚きが。ただ良いところまではボールを運ぶものの決め手に欠けて1-0で前半終了。
 後半は矢板がPKを得て2-0とし、このまま終わるかなと思っていたら選手交代で流れを変え、途中で入った選手が点を決めて追い付いた。知らなかったが選手権の交代枠は5人になったんだな。1回戦は延長は無いのでPKへ。
 PKは両チーム最初の5人全員が決めたが、矢板は主にGKの取れないコースに強烈なキック、大分はGKのタイミングを外し逆を突くキックとそれぞれの特長が出ていて面白かった。先攻の大分の6人目がポストに当てて、矢板が決めれば勝ち抜けという状況となったが、蹴り出すまで長い時間を取ったキックはクロスバーを越えて7人目へ。そして大分の7人目のキックはコースが甘くGKにキャッチ、矢板は今度はきっちり隅に決めて試合は終わった。

 帰りは湾岸沿いのルート。東関道に乗ると丁度西日が正面に来て、しかも結構な強風でなかなか神経を使う運転だった。まぁ何はともあれ今年の観戦もこれで終了。これで今年は38試合。

観戦表彰2019

 今年の観戦の振り返り。大晦日高校サッカーに行くかもしれないが、ここまで37試合を観戦。ここ数年は概ね40試合弱で推移しているがマリノス戦メインに空いた週に面白そうなカード、旅行先で未踏スタジアム制覇となったらまぁそのくらいの数に落ち着く。マリノス戦はJ1+ルヴァン杯で22試合。アウェイはガンバ、磐田、浦和、FC東京と4試合行けたが、観戦を考えていた瑞穂の名古屋戦、等々力の川崎戦、アルウィンの松本戦がチケ完売で行けなかったりもした。これらのスタジアムの収容は20,000前後。これくらいのキャパだとチケを早めに取らないと行けなくなってきているのを改めて実感している。来季は柏がJ1に戻ってくるが同じ様に早目のチケ取りが必要だろうし、横浜FCが前回のJ1時のようにダービーを三ツ沢開催にするならばかなりの争奪戦となるだろう。

■ベストゲーム

1位:横浜M2-2川崎(2019/3/10 J1第3節@日産)
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2位:FC東京4-2横浜M(2019/6/29 J1第17節@味スタ)
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3位:横浜M4-2札幌(2019/11/9 J1第31節@三ツ沢)
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4位:磐田0-2横浜M(2019/10/5 J1第28節@ヤマハ
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5位:G大阪0ー2法政大(2019/8/14 天皇杯3回戦@西が丘)
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 ここで言うところの「ベスト」とは概ね両チームが高いレベルで持ち味を出し合う試合であり、一方的に相手をボコるような試合は該当しない。従って最終節や川崎が味スタでFC東京に3-0で破ったような試合はここでの評価は低くなる。
 と言う中で面白かったのは3節の川崎戦。最後の最後にCKからマリノスが追い付いたが、全体的には川崎がやや押していたがマリノスも決して防戦一方ではなく持ち味を出して対抗していた好試合。因みにこの試合ではL・ダミアンが2ゴールだったのだが、昨日の表彰で評価の高かったチアゴはどうも同じブラジル人の(年齢、経験が)格上のFWには分が悪い印象がある。セレソン経験者と強豪クラブの控えCBというブラジル国内での立場の差が露わになってしまうと言うか。ダミアンには等々力でも点を取られたし、名古屋のジョーにも2戦2ゴール。
 2位は味スタでの試合。東京がカウンターから一挙に4点取り、マリノスもボールを支配して最後の15分は完全に押し込んでいた。この時期が東京のチームとしてのピークだったな。3位は終盤の三ツ沢での試合だが、敗れた札幌も福森の左足が特にセットプレーで常に脅威となり、点差ほどの差は無い試合、4位は磐田がこれまでのイメージ(パスを綺麗に繋ごうとし過ぎて怖さが無い)を覆す縦への推進力のあるサッカーが新鮮だったのと、その中でマリノスがデザインされた攻撃で強かに点を取って勝った試合。
 ここまでマリノス絡みの試合なので最後はそれ以外から。天皇杯で法政がガンバを倒した試合は、内容的に決して奇跡と形容されるものでは無く、至極妥当だった。

■ベストゴール

1位:三好のミドル(2019/2/23 J1第1節 横浜M3-2G大阪@パナスタ)
2位:仲川のドリブルゴール(2019/11/9 J1第31節 横浜M4-2札幌@三ツ沢)
3位:ティーラトンのミドル(2019/8/31 J1第25節 横浜M3-0G大阪@三ツ沢)
4位:ファブリシオのミドル(2019/10/2 ACL準決勝第1戦 浦和2-0広州恒大埼スタ
5位:阿部のミドル(2019/7/14 J1第19節 FC東京0ー3川崎@味スタ)

 ベストは開幕節の三好のゴールで決まり。ゴールそのものだけでなくその前のパス交換や天野のライン際のドリブルなど一連の流れ全てが1つの美しい作品。2位は仲川のゴールで、この選手はエリア内右45度から両足で放つゴールがまず思い浮かび、湘南戦の左足で巻くミドル、磐田戦の右足で低い弾道のシュートも印象深いが、札幌戦のセンターサークル付近からドリブルで中央突破してそのままGKもかわして流し込んだゴールは素晴らしかった。去年の仙台戦のゴールにも似ていたな。
 3位はティーラトンのミドル。これがJ初ゴールだったが、この辺りから開幕当初の(特に守備での)不安定さが無くなり、偽SBの動きをマスターして左SBのポジションを不動のものとした。このゴールの後は最終節の先制弾など同じパターンから更に2点を決めている。
 4位はACLでのファブリシオのミドル。同じ試合の関根のミドルも素晴らしかったが、先制点という価値からこのゴールを挙げたい。こんなミドルも打てる選手だとは知らなかった。最後もミドルで、エリアのすぐ外から左足で正確に決めた阿部のゴール。この選手は本当にミドルが上手い。

■ベスト遠征

1位:横浜M3-2G大阪(2019/2/23 J1第1節 @パナスタ)
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次点:岩手2-1YSCC(2019/5/4 J3第8節@いわぎん)
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 ここで言う遠征とは首都圏(一都三県)以外での観戦で、マリノス戦に限らず旅行先で観戦した試合も含む。今年はまぁ開幕戦かな。大阪の試合、特にガンバ戦は京都に近いので、午前中京都で途中下車して観光→午後に試合→夕方飛行機で帰宅というのが完全にパッケージ化されている。次点としてはGWの岩手の試合。帰省中の友人家族と一緒に観戦し、夜は美味いホルモンをご馳走になった。天気にも恵まれ、スタジアムはバクスタの向こうに新幹線が走り、後方には岩手山がそびえる雄大さが印象深い。

 来年はついに国外、ACLアウェイ戦観戦を計画中。シドニーFC戦が5/5とGWなのでかなり狙い目。まぁ時期的に高そうだが・・。国内未踏スタジアム制覇という観点ではまず京都の新スタジアムは行ってみたいし、東京五輪女子サッカーのチケが当選したので日韓W杯日本会場で唯一未踏だった宮城スタジアムもようやく制覇出来る予定。そう言えば代表戦もここ数年は行ったり行かなかったりであまり観に行ってないので、東京五輪世代の試合は1試合くらい行ってみたい。

年間表彰2019(後)

 今日は表彰の後編ということでMVPの発表をば。毎年仕事で納会した後に書いて公開という流れなのでこの最終週は慌ただし過ぎてふと我に返るとこの日になっている、という感覚。今年も多くの友人達に強力して貰った。毎年のことだがこの忙しい年の瀬に、時には強引な依頼に応えてくれて感謝に堪えない。投票者をキリ良く40名にするため、最後はサッカーを始めてるという友人の息子にも協力して貰った。まぁ幅広い年齢層からってことで(笑)選考に際してコメントを書いてくれた場合、少なくとも一度は引用させて貰いました。

【選考方法】
各投票者にはベスト5を選んで貰い、1位:5pt〜5位:1ptでポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。なおこのルールはベスト5のみ適用し、6位以下でポイントが同じ場合は全て同順位と扱う。
【過去の受賞者】

それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で表記。なお所属は2019年に在籍したクラブ
第5位
喜田 拓也(横浜M):31pt
 5位はマリノスの中盤を支えた「我らのきーぼー」喜田。今季のマリノスは喜田、天野、扇原の共同キャプテン制で始まったが、「最後のスピーチ、本当に素晴らしかった」し、もう来年は誰が腕章を巻くに相応しいかはっきりしたと思う。あのスピーチ一つ取っても育ちの良さを感じさせるな。「25歳にして人格者故にクラブ全体を背負うことになりそうだが、周囲の適切なサポートを願うばかり」。まだ若いのでこれから代表入りの可能性もあるとは思うが、個人的には柏の大谷(ユースからの生え抜きで代表歴はないもののクラブのバンディエラとして長らく活躍)のような存在になるのではないかと思う。因みにだが、この投票でA代表歴の無い選手がベスト5入りしたのは初めて。
 またキャプテンシーだけでなくプレー面でも、「ディフェンスからの前を向く技術は美しさを感じ」、「攻撃への橋渡しにも成長の跡」と。「DFラインからのパスを引き出すポジショニングと、そこから勇気を持って前を向く姿勢が素晴らしい」。去年までは攻撃にも絡もうと縦パス通そうとしたり無理をして空回ってた印象だが、出来ない事はせず、中盤で守り味方にボールを預けるシンプルなプレーになって存在感が増した。

第4位
冨安 健洋(STVV→ボローニャ):55pt
徐々にステップアップできていて、成長を感じ」、「サイドバックもできるかなりのユーティリティ」を持つ冨安が4位。「セリエAディフェンダーって長友以来」で、「デカくて早くて上手いという、とうとう現れた次世代ハイブリッド型CB」。最初の半年くらいは見習い期間で徐々に試合に出るのかなと思っていたらあっという間にボローニャに欠かせない戦力になった。「吉田麻也以来の安心して任せられるCB人材」であり、「この先10年は代表の最終ラインを任せられる逸材」。そして「中澤→麻也と続く長身DFの後継ということを、20歳で認めさせたという事実」。中澤が代表レギュラーになったのは20代半ばだったし、麻也も23歳位だったのを考えるとその凄さが分かる。今後はこの2人や闘莉王の様にセットプレーでもっと点が取れるようになれば言うこと無し。

第3位
久保 建英(FC東京[→R・マドリー]→マジョルカ):76pt
3位は「日本では一番話題になったし、成長率が高かった」「日本版スーパーワンダーボーイ」久保。昨日の最優秀若手選手(U-20)にも選んだが、18歳(高校3年次)で今年の前半はFC東京で攻撃の柱として優勝争いに貢献、夏以降はリーガで試合に出続けるということ自体が日本サッカー界では前人未踏の域であり、この投票で10代でのベスト5入りも初めて。まぁその「夏移籍がFマリノス優勝の一因にも笑」というコメントもあったが(笑)結果的に東京での最後の試合となったJ1大分戦を偶々観に行ったのだが、そこで2点決めてこりゃ移籍するわと思ったな。「期待値が高すぎるだけに現状には満足できない」、「結果が少し物足りない」というコメントもあったようにここまでまだ1ゴールではあるが、少しづつ持ち味を出し始めてるので年明けからに期待。

第2位
南野 拓実(ザルツブルクリバプール):95pt
先日リバプール入りが決まった「クロップに認められた男」南野が2位。95ポイントというのは2位では過去最高記録。代表では5戦連続ゴールなど「なんとかいまの日本代表を支えているひとり」であり、クラブではCLでリバプール相手にゴールして加入まで決めてしまうという「クラブ、代表いずれも活躍」する安定感。「セレッソ時代から代表に推し続けてきた俺の勝利(笑)」という喜びのコメントもあった(笑)確かザッケローニがブラジルに連れて行くか最後まで悩んだ若手というのが南野だったかな。そこから5年でここまでステップアップ。冨安もそうだが、欧州の中堅国で鍛えられてからプレミア、リーガ、ブンデスセリエAへ、というのが主流になっていくのだろう。オーストリアでの5年間は欧州への適応期間であり、リバプールも日本人だからとかではなく、欧州で実績のある若い選手を獲ったという感覚なのだろうな。忘れがちだが「守備がすごい」選手でもあるので、この点もハードワークするリバプールに評価されたポイントか。「やっぱりイケメン」て声もあったが、セレッソ時代の映像を見るとまだ幼さがあっていつの間にこんなに雰囲気変わったのかと。まぁまずは「リバプールでの活躍に期待」ってことで。

2019年日本最優秀選手
仲川 輝人(横浜M):106pt

ということで今年の当blog選定日本の年間最優秀選手はマリノスの仲川。40名中28名がその名前を挙げ、1位票に限ると2位の久保(7名)に大差を付ける13名からの得票。選考者にマリノスサポが多いという事情は無きにしも非ずだが(笑)
マリノスの攻撃の要となり、優勝に貢献」した「マリノス優勝の中心人物!」。とにかく「シーズンのほとんど誰も止められなかった」し去年からこの選手の覚醒は凄まじいが、「スピードスピード言われているけど、そこじゃないんだよね」と。「何よりも左足のシュートを身につけたことで、縦もカットインもどちらも選択肢として持てるようになり」、ボールを持てば何かを起こす選手になった。得点パターンも多彩で、右45度から左足で巻くシュート、右足で低い強烈なシュート、そしてドリブル。「32節松本山雅戦のドリブルゴールは圧巻だった。」過去のMVPがいずれも代表の主力経験者だった中で、12月に代表デビューしたばかりの選手がここまで得票したのはそれだけクラブでインパクトのある活躍だったということなのだろう。
そんなこの選手も少し前までは「変な髪型の奴としか思わなかった」程度の認識で、「怪我あり、手術あり、レンタルありと困難続きも、ポステコのサッカーに巡り会えたのもまた運命」。今のマリノスのサッカーと自分の特長が完璧にハマったよなぁ。その他「PK無しの得点王は誇って良い」、「PKでの得点がない中での得点王は評価に値する」などリーグでの15点全て流れの中から決めた点を評価する声も複数寄せられた。まぁ「あれだけの活躍をすれば文句なし」だが「本当の勝負は来年」でもある。ACLでどこまでやれるか、代表に定着できるか、だな。「2020年の更なる飛躍に期待」。

全順位は以下の画像を参照。
名前の青は選手以外、チーム名の赤は海外クラブ緑はJ2橙は大学青はその他カテゴリ

以下雑感を箇条書きに。
・根強いカズ人気は変わらず今年は何と6位。「来シーズンJ1でカズが観られるのは嬉しい」のは事実だが、プレーはそろそろ・・て感じで「昇格決めた試合でのスライディングをメディアはこぞって放送してたけど、あれは公開処刑みたいで切なかった」。ただやっぱこの人は「大舞台が似合う。」役者ではあるな。「新国立のピッチに初めて足を踏み入れた姿を見て、改めて今も現役で活躍している偉大さを感じました。」この新国立で着たユニは93年と97年の代表ユニのハイブリッドで格好良かった。

・最年少得票者は久保、ではなくレアルの中井君。「まだ存在感は出せていないものの、レアルとプロ契約という実績は日本サッカーの中でもかなり大きな実績。」2003年生まれという“アフター日韓W杯”世代。あのクラブの下部組織からトップに上がって定着するのは、特に中盤は至難の業なので、リーガ1部の他のチームで試合に出るようになれば大成功。

・代表主力組だと酒井は去年ロシアW杯の主力で唯一の0票だったが、今年もマルセイユと代表で安定した活躍は変わらず、ポイントも9ゲット。
 「地味でも安定して海外でプレーする選手は評価したい。
 「DFは数値化が難しく、地味な印象になりがちで、今シーズンはフル出場も多く、チームの好成績=彼の成績と考えて
 「名門で不動のポジションはもっと評価されていい
 「代表で酒井が入ったときのサイドの安心感は唯一無二

・引退選手への惜別票が今年も幾つか。また今年は逆にピッチに戻ってきた選手への票も入った。
栗原(マリノス
なかなかリーグ戦には絡めず、ルヴァンも敗退、出番がなかなかなく、シーズン半ばには昨年の中澤の様に引退か他のクラブかと覚悟はしていた。引退セレモニーでも相変わらず人の良さ、素朴さが滲み出ていた。観戦仲間とは、もう少し良くも悪くも、個性であり、アピールが足りなかったかなと。あれだけのスケール、フィジカルがありながら、もう少し足下を磨く努力とケアが出来ていれば、中澤と吉田麻也の間に入れたはず。ま、そのあたりも(松田直樹同様)彼らしいとは思う。
代表20試合はマリノスユース出身者では最多。↑にもあるように83年生まれのこの選手は丁度中澤(78年生まれ)と吉田麻也(88年生まれ)の中間の世代なので、もし若い時に岡田さんだけでなく他にもいい指導者に巡り会っていたら10年か14年どちらかのW杯には行っていたかな。

那須(神戸)
「この人、今年1番サッカーを身近に感じさせてくれた選手」
Jリーグプロスポーツでファンを喜ばしてナンボ。と言う観点から申し上げると今年1番面白い動画を数多く挙げてくれたのが、那須YouTube、特にビジャやイニエスタな登場した会や歴代のベストFW、DFなど回が特に面白い。ビギナーでもオールドファンでも楽しく、選手を身近に感じさせてくれる人という意味では、選手の鏡とも言える。また同年齢として、今年引退を迎えたのが惜しまれる。感謝の意味を込めて。

元々DFだったのがマリノスボランチ起用されて一気に伸びてアテネ五輪代表の主力に成長していったのは今でも覚えている。81年生まれ世代がまた一人ピッチを去る、か。

早川(新潟)
「この人、今年1番劇的なカムバックをして感動した選手」
きっかけは、1冊の本で知ったのだが、2016年春、突如、急性白血病と診断された早川史哉選手。
移植手術を行い、闘病、リハビリ、トレーニングを続け、2019年10月、ついに3年7カ月ぶりに公式戦のピッチでフル出場を遂げた。
「しびれがきたけど、幸せな痛み。これが戦うことだと思った」
このコメント、こちらがシビれる。これからも無事でピッチに立てることを心から祈る。
詳しくは本を是非とも読んでほしい。

2011年U17W杯に出た選手。このチームは南野、中島 植田、中村航輔鈴木武蔵、室屋などの代表組や喜田、岩波、深井らJ1で活躍する選手などここ10年では一番の豊作世代。この年末年始で本も読もうかな。

・毎年J2からも何人か票が入り、教えてもらうことも多いのだが、今年は特にアタッカーの名が。
小池(東京V
今シーズンはゴール、アシスト共にキャリアハイを残したのでヴェルディの中でMVP
確かに観に行った徳島戦でも敗れたがチーム唯一のゴールを決めたのはこの人だった。
一美(京都)
ガンバから育成型で来ましたが、2桁得点もしてますし当たり年ではと思いました。
確か五輪世代だったかな。ガンバだと来年も出番は限られそうなのでJ1なら他のチームの狙い所だと思うが・・・
呉屋(長崎)
レンタル続き、かつ新チーム1年目で22Gは立派。
この選手もガンバからのレンタルという。一美と同じく結局このポジションは宇佐美、アデミウソンがいるし、一方でガンバは他のポジションが厚い訳でも無い。監督が望む選手と強化部門の思惑が一致してないのが透けて見える。

・今年は選手以外の得票は多くなかったがそれでも何人か名が挙がった。マリノスGM小倉氏は「就任時は、指揮官としてのイメージが芳しくなかった為、不安感だらけだった。しかしCFGの情報に自分のつてを活かした補強(ワダタクヤ、中林、マテウス、泉澤は?だが)はドンピシャ。」。マテウスもまぁ一定の貢献はしたし、和田や中林も最終節はしっかり働いたので本当に期待外れだったのは泉澤くらいか。元々協会で年代別代表を見ていただけあってJ2、J3含む日本人選手のコネクションは広い。監督よりもコーチやこうしたGM業が向いてる人なのだろう。

・この投票は毎年、票を集める意外な選手が出てくるが、今年は札幌の福森に入れた人が4人もいたのには驚いた。この人と言えばやはり「和製ミハイロビッチとも言える左足の精度があまりに強烈」。「深井の同点ヘッドを演出したCK&自身が決めた延長での勝ち越しゴール」のルヴァン杯決勝のインパクトが大きいとは思うが、「今シーズン何度もこの選手のプレスキックからのアシスト&ゴールを見た記憶がある。」という様に、それがたまたまではなく普段通りのプレーだったというのが素晴らしい。太田宏介やかつての三浦アツ、鈴木規郎みたいな「FKが上手いDFってロマンあるよね」と。「桐光ということを知り、勝手に親近感 笑」てコメントもあったが、中村俊輔藤本淳吾に続く左足フリーキッカーの系譜。そう言えば既にセレッソで試合に出てる西川潤も桐光の10番&レフティだがフリーキッカーとしてはどうなのだろうか。

・これも恒例?の品川CCからの得票が今年も。寺村選手は「今シーズンの品川CCを崖っぷちから救ってくれた存在」、鬼武選手は「品川CCのキングカズ!」来年の昇格を祈ってます。

・外国人選手など選考対象外だが入れたい選手として何人か名が挙がり、その殆どがマリノス勢なんだが(笑)特に多かったのがチアゴ。「スピード、対人プレー、ヘディングと全てが対戦相手の選手より上回ってたかなと。」「あの守備力、ビルドアップ能力は日本の子供達にぜひ見てほしい!マリノスがあのサッカーを出来るのはラインを高く保っても後方をカバー出来るチアゴのスピードあればこそ。実際この選手の出場時と欠場時では勝率は大きく異なる。ついでながらチアゴとコンビを組んだ畠中についても。「今後のサッカーの絶対条件となる攻撃の初手としての能力は日本人最高峰」。「今年最もブレイクスルーした若手CB。マリノスに緑の血が入ると優勝する法則が生まれた。

 去年の総評で「来年は早々にアジアカップなので、2019年の投票がアジアカップ関連で埋まるのを願いつつ」と書いたが、準優勝とは言え内容は全体的にいまいちだったし、1月だと記憶も遠くなってしまうので難しかったな。その代わり世代交代がついに本格化。上位5人が全員20代なのは実はこの投票を始めた09年以来10年振りで、全員が初のランクイン。しかも4人は25歳以下なので2010年代が終わりを迎えようとする時に新たな時代を感じさせる結果となった。来年は東京五輪なのでU23世代が数多くランクインするのを願いつつ今年の表彰を終えたい。

年間表彰2019(前)

 さて今年も残すところ1週間を切った、ということは毎年恒例の当blog日本サッカー年間表彰。年末の慌ただしさと1年の疲れが押し寄せる中で、なかなか落ち着いて振り返ったり文章を書く時間が取れないが、やはりこれは外せない。例年同様にまずはMVP以外の各賞をば。
 
■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

2005年:バーレーン戦(○1-0/2005.6.3/ドイツW杯予選@マナマ)
2006年:サウジアラビア戦(○3-1/2006.11.15/アジアカップ予選@札幌)
2007年:豪州戦(△1-1(4PK2)/2007.7.21/アジアカップハノイ
2008年:カタール戦(○3-0/2008.11.19/南アW杯予選@ドーハ)
2009年:ベルギー戦(○4-0/2009.5.31/キリンカップ@東京)
2010年:デンマーク戦(○3-1/2010.6.24/南アW杯@ルステンブルク
2011年:韓国戦(○3-0/2011.8.10/親善試合@札幌)
2012年:オマーン戦(○3-0/2012.6.3/ブラジルW杯予選@さいたま)
2013年:ベルギー戦(○3-2/2013.11.19/親善試合@ブリュッセル
2014年:豪州戦(○2-1/2014.11.18/親善試合@大阪)
2015年:パレスチナ戦(○4-0/2015.1.14/アジアカップニューキャッスル
2016年:サウジアラビア戦(○2-1/2016.11.15/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:豪州戦(○2-0/2017.8.31/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2018年:セネガル戦(△2-2/2018.6.24/ロシアW杯GL@エカテリンブルク

1位:イラン戦(○3-0/2019.1.29/アジアカップ準決勝@アルアイン
2位:ウルグアイ戦(△2-2/2019.6.20/コパ・アメリカGL@ポルトアレグレ
3位:サウジアラビア戦(○1-0/2019.1.21/アジアカップ決勝T1回戦@シャルジャ)
 今年のA代表は23戦15勝3分5敗。もはや遠い記憶だが1~2月にはアジアカップがあった。中でも準決勝イラン戦はそれまで低調な内容が続いていた中でイランに結果、内容共に完勝した試合としてこの大会の日本のベストマッチ。その後の試合も考慮しても試合の格、重要性を考慮すれば今年のベストマッチに相応しい。イランに公式戦でここまで完勝するのはそれこそプロ化以降初めてではないかと思う。南野が転けたのをイランDF陣がセルフジャッジで足を止め、その隙を突いてクロス→大迫ヘッドでの先制点はこの試合のハイライト。
 2位はコパ・アメリカウルグアイに引き分けた試合。去年はホームで勝ったが今年は南米の地で若手主体のメンバーでカバーニスアレス他主力揃い踏みの相手に引き分けたのは大きい。ウルグアイというと堅守で有名だが、日本との試合は去年の4-3、古くは96年に若きレコバが躍動した長居で5-3など何故か打ち合いになることが多い。
 今年はW杯予選も始まったが正直勝って当然という相手に勝利と一定の得点数という最低限の義務は果たしただけという印象が強い。Jリーグ終了後の寄せ集めメンバーで戦ったE1選手権も内容はパッとしなかった。と言う中で消去法となるが、アジアカップの決勝トーナメント1回戦でサウジに勝った試合が3位かな。内容は前述の通りそれほどでも無かったが、トーナメント緒戦でいきなりサウジと当たる中でセットプレー1発(CKから冨安のヘッド)で勝ち切ったのはそれはそれで価値は高い。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

2008年:バーレーン戦(●0-1/2008.3.26/南アフリカW杯予選@マナマ)
2009年:バーレーン戦(●0-1/2009.1.28/アジアカップ予選@マナマ)
2010年:韓国戦(●0-2/2010.5.24/親善試合@さいたま)
2011年:北朝鮮戦(●0-1/2011.11.15/南アW杯予選@平壌
2012年:ウズベキスタン戦(●0-1/2012.2.29/ブラジルW杯予選@豊田)
2013年:ブルガリア戦(●0-2/2013.05.30/親善試合@豊田)
2014年:ブラジル戦(●0-4/2014.10.14/親善試合@シンガポール
2015年:北朝鮮戦(●1-2/2015.8.2/東アジアカップ武漢
2016年:UAE戦(●1-2/2016.9.2/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2017年:韓国戦(●1-4/2017.12.16/EAFF E-1選手権@調布)
2018年:ウクライナ戦(●1-2/2018.3.27/親善試合@リエージュ

1位:カタール戦(●1-3/2019.2.1/アジアカップ決勝@アブダビ
 今年の5敗は他に親善試合コロンビア戦、ベネズエラ戦、コパ・アメリカチリ戦、E1選手権韓国戦。内容はベネズエラ戦、韓国戦はまぁ酷かったし、スコアだけ見ればチリ戦(0-4)が一番悪かったが、一応これらの試合は主力不在だったりU22世代主体だったりした。その中で主力が揃い、難敵サウジ、イランも倒して過去4戦全勝のアジアカップ決勝に臨みながらカタールに完敗した試合をワーストにしたい。E1韓国戦もそうだがポジショナルプレーが浸透した(しつつある)チームに結果、内容共に完敗するというのは今後の最終予選を考えると不穏な予感がする。まだこの戦い方はそこまでアジアに広がっている訳では無いが、カタールの成功例を見て特に中東諸国がそれに追随したらなかなか厄介なことになる。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

2005年:中村(俊)(ブラジル戦(コンフェデ杯)同点ミドル)
2006年:玉田(ブラジル戦(ドイツW杯)先制点)
2007年:山瀬(カメルーン戦(親善試合)決勝ミドル)
2008年:玉田(カタール戦(南アW杯予選)ミドル)
2009年:中村(俊)(バーレーン戦(南アW杯予選)FK)
2010年:本田(デンマーク戦(南アW杯GL)FK)
2011年:李 (豪州戦(アジアカップ決勝)決勝ゴール)
2012年:本田(オマーン戦(ブラジルW杯予選)先制ゴール)
2013年:本田(オランダ戦(親善試合))
2014年:岡崎(豪州戦(親善試合)バックヒールゴール)
2015年:柴崎(UAE戦(アジアカップ準々決勝)同点ミドル)
2016年:山口(イラク戦(ロシアW杯予選)決勝ミドル)
2017年:井手口(豪州戦(ロシアW杯予選)2点目のミドル)
2018年:原口(ベルギー戦先制点)

1位:大迫(イラン戦先制点)
2位:三好ウルグアイ戦1点目)
3位:塩谷ウズベキスタン戦追加点)
4位:南野タジキスタン戦2点目)
5位:大迫トルクメニスタン戦同点弾)
 今年は23戦41ゴール。最多得点者は南野(7点)で、大迫(5点)、中島、原口、永井、小川(3点)と続く。
 やはり試合の価値や相手の強さ、その上でゴールの価値(先制、逆転等)が大きいほど評価は高くなるが、1位は上でも述べたアジアカップ準決勝イラン戦の先制点を。ゴール自体はクロス→ヘッドと普通だが、相手がセルフジャッジして足を止める中で転けてもすぐ立ち上がった南野のプレーと正確なクロス、GKの前に体を入れた大迫の強かさは素晴らしかった。
 2位はウルグアイ相手に右サイドから一人で持ち込んで決めた三好のゴール。この試合では更にもう1点取ったが、この選手はゴール数は多くない中で時々思い出したかのようにゴラッソを決める。3位以下は正直印象に残ってるのは無く動画を見返して決めたのだが、アジアカップでの塩谷のミドルが3位、W杯予選タジキスタン戦で酒井のグラウンダーのクロスを南野がバックヒールで合わせたのが4位、5位はアジアカップ緒戦での大迫の同点ゴール。エリア内で周りに相手が数多くいる中でボールを受けて切り返してシュートを撃つまでの技術の正確さと速さが印象的だった。

■年間最優秀若手選手(U-20)
※対象は1999/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

2006年:本田(2位:西川)
2007年:安田(2位:香川、3位:内田)
2008年:金崎(2位:内田、3位:香川)
2009年:米本(2位:香川、3位:権田)
2010年:宇佐美(2位:酒井(高)、3位:小野)
2011年:久保(2位:指宿、3位:扇原)
2012年:柴崎(2位:石毛、3位:小野)
2013年:南野(2位:久保、3位:大島)
2014年:植田(2位:岩波、3位:室屋)
2015年:南野(2位:関根、3位:中村)
2016年:井手口(2位:鈴木(優)、3位:中山)
2017年:堂安(2位:中山、3位:前田)
2018年:堂安(2位:冨安、3位:杉岡)

1位:久保(FC東京→R・マドリー→マジョルカ
2位:大迫(広島)
3位:中村(トゥエンテ)
 今年は久保だよなぁ。今年の夏までは首位を走るFC東京で攻撃の柱としてリーグ4ゴール、その後はレンタル先のマジョルカで出場機会を得て1ゴール。因みにこの賞は受賞回数に制限は無いので2001年生まれのこの選手は2021年迄賞を独占する可能性もある(笑)
 2位以下は迷ったが、まず大迫を。正直プレー自体は止めて欲しいシュートが入ったりセットプレーの守備も危なっかしい場面があるのだが、この若さで年間を通してJ1レギュラーGKを張ったのはやはり貴重な存在なので。
 最近は若い選手がJ1で試合に出たり海外移籍することも多いが、今回の上位2人以外は意外と年間を通して試合に出たU20世代は少ない。中村敬斗、菅原由勢は現在オランダでレギュラー、準レギュラークラス、安部裕葵もバルサBで点を取り始めてるが、今年の前半は日本でゴール数が少なかったりカップ戦メンバーだったりで。かといって国内組の橋岡(浦和)、齋藤(湘南)、鈴木(湘南)、松岡(鳥栖)らもそこまで試合に出ていなかったり、チームの不振と共にパフォーマンス自体際立っていた訳でも無かったりして決め手に欠ける。(生観戦したJ1参入戦での鈴木は良い動きだったが。)ここはガンバでカップ戦で6点、トゥエンテでは4点取ってる中村かな。19歳でプロで年間10点取ってるのはやはり凄い事。
 その他今年は斉藤光毅(横浜FC)、山本理仁(東京V)などJ2で17~18歳でレギュラー、準レギュラークラスになってる選手が目立った。2000年以降に生まれ、日韓W杯も知らないであろう世代。19~20歳で欧州に行く選手が増えた影響で更に若い世代にチャンスが巡ってくるという事情もあるだろうが、久保世代とでも言うか、この世代はまた少しレベルが違っている感もある。

■最優秀監督
※過去の受賞者

2009年:手倉森(2位:城福、3位:小林)
2010年:岡田(2位:小林、3位:関塚)
2011年:佐々木(2位:手倉森、3位:吉武)
2012年:森保(2位:手倉森、3位:吉武)
2013年:森保(2位:吉武、3位:小林、4位:高木、5位:風間)
2014年:長谷川(2位:城福、3位:反町、4位:石崎、5位:柱谷)
2015年:森保(2位:佐々木、3位:井原、4位:長谷川、5位:石井)
2016年:石井(2位:渋谷、3位:風間、4位:小林、5位:森山)
2017年:鬼木(2位:高木、3位:名波、4位:下平、5位:渡邊)
2018年:大岩(2位:森保、3位:鬼木、4位:相馬、5位:片野坂)

1位:片野坂(大分)
2位:大岩(鹿島)
3位:渡邉(仙台)
4位:下平(横浜FC
5位:木山(山形)
 成績で選べば長谷川(FC東京)、鬼木(川崎)、大岩(鹿島)の各氏がまず入るのだろうがどうも決め手に欠ける。長谷川氏はリーグで最後まで優勝争いしたものの久保、ディエゴ依存の“次の手”が無く最後は失速してしまったし、鬼木氏はスーパ杯とルヴァン杯を制したとは言え分厚い戦力を上手く生かせずリーグ戦では勝ちきれない試合が多かった。大岩氏も天皇杯を獲る可能性はあるがそれ以外はタイトルを逃している。ただ鹿島の場合は夏に鈴木、安西、安部ら主力を抜かれながらリーグ3位に踏み止まり、タイトル獲得の可能性を残したのはさすがだとは思う。
 その中で昇格して8位に入った片野坂氏がベストかな。分析に長けて相手の強みを消すのが得意な日本人監督は数多いが、この人は最終ラインからどのように組み立てて点を獲るかのビジョン、アイデアもあるのが違う。これはミシャの下でのコーチ経験が大きいのではないかと思う。来季も大分と発表されたが、いずれはより大きなクラブ、代表で見てみたい。
 全体的には日本人監督の停滞を感じさせる年だった。もしこの表彰に国籍縛りを無くせば、片野坂氏以外はポステコグルー、ロティーナ、フィンク、ミシャ、ネルシーニョ、R・ロドリゲスでランキングは埋まる。イニエスタを始めとする選手だけで無く、かつてのベンゲルオシムのように指導者でも“大物”がもっと来て日本に無い考え、概念を伝えて欲しい。その意味でポステコグルーがリーグ優勝したのは大きかったと思う。最近の監督は単体ではなく、アシスタントやGK、フィジカル、アナリストといった各専門家をまとめたユニットとして活動するパターンが増えつつあるが、そういった各コーチからも得るものは大きいはず。他に神戸のフィンクにも期待しているし(このクラブの場合、監督が長続きする可能性は低い事情はあるが)、徳島のR・ロドリゲスは何故J1クラブが狙わないのだろうかと思う。
 と言う中での日本人指導者表彰なのだが、仙台の渡邉氏は成績の停滞を理由に退任となってしまったが、毎年主力が抜けたり補強もままならない中で最終節前にJ1残留を決めていることの価値を評価したい。この人は桐蔭出身だけど、1990年前後にここを卒業した元選手(森岡、戸田など)は俯瞰して見ることが上手いというかサッカーを理詰めで考える人が多い印象がある。今の日本の監督の主な“産地”は広島系統か鹿島系統だが、それとは違うアプローチでの指導者集団として期待してるんだけどな。是非またJ1で指揮して欲しい。
 4位、5位はJ2から。横浜FCを自動昇格させた下平氏、最後はJ2で3位の大宮高木氏と迷ったがその高木氏を昇格POで破り、戦力を考えたら6位も上出来すぎる木山氏を評価して。 

 メインの最優秀選手は明日発表。