親善試合 U-24日本×U-24アルゼンチン(味スタ)


 今週は木、金と代表の連戦だが、東京五輪世代の試合は一度も観戦したことが無かったので日程が決まった段階で味スタ行きを狙っていた。まぁ金曜なのも重要な要素ではあったが、「U-24」なんて括りは今後観れないだろうというのもあった。最初の一般販売では取れなかったが、収容人数緩和による追加販売でゲット。

 思えば平日に味スタに行くのも記憶にないが、代表戦もかなり久々。前回観に行ったのは17年10月のA代表のハイチ戦、五輪世代になると丁度8年前、ロンドン五輪予選突破を決めた12年3月のU23バーレーン戦になる。それで気付いたが、アテネ世代以降各世代1試合は見ていた中でリオ世代の試合は結局一度も観に行けなかった訳か。丁度選手紹介している時に入場し、座ってすぐに試合開始。

 この世代はずっと3バックだった印象があるのだが、今日は昨日のA代表と同じ4バック。序盤は左の旗手、三笘の川崎コンビ、右の菅原、三好の連携でサイドを攻略して相手ゴール近くに攻め込んでいたのだが、前半終わり頃になるとアルゼンチンがサイドの守備を厚くして三笘や三好には複数人で対応するようになってゴール前にボールを運ぶ回数が減っていった。そんな中でアルゼンチンが右サイドのクロスからヘッドがGK頭越しにクロスバーを叩いてゴールインし、先制。
 失点の場面はクロスを上げられる前に板倉はしっかり相手の前に体を入れていたにもかかわらずスルッと抜け出されて中に折り返されてしまった。この辺の抜け目無さはさすが南米、アルゼンチンというプレーだったし、板倉もちょっと詰めが甘かったな。オランダで有数のCBに成長しているとのことで、確かに繋ぎの部分やクロスを跳ね返すプレーは安定感があったが、A代表に呼ばれてもなかなか出番が来ないのはこういう部分かなとも感じた。逆に冨安だけ何故この世代で唯一A代表に呼ばれたのかも実感してしまった。言ってしまえば単純な話で守備も繋ぎもあらゆるプレー水準がこのチームのレベルを越えているんだな。

 後半はより堅い試合になり、中盤で潰し合うシーンが増えていった。なかなかボールが縦に入らず、パスに時間が掛かって引いた相手を崩すには至らず。Wボランチは中山と渡辺だったが、激しさやパス精度で少し物足りなかった。逆に昨日の遠藤と守田のコンビの様に、激しい守備と前に進むアグレッシブさを前面に出した方が中途半端に相手をいなしたりバランス取ったりするより良かったかもしれない。その意味で今日はベンチ外?だった田中碧はそのタイプかな。後は負傷で長期離脱してしまったが齊藤未月は遠藤航の後継者と思っているので今後に期待している。ついでに言うと代表キャプテンも麻也の後は遠藤、その次は齊藤なんじゃないかと思ってたりもするのだが。英語も話せるし。
 停滞する流れの中で終盤に出た食野、相馬は何度か見せ場を作ったが点は入らず0-1で終了。負けたけどアルゼンチンは強化試合としては最高の相手だった。ロンドンの準決勝で負けた(そしてそのまま金メダルを取った)メキシコを思わせる上手さと強さと狡猾さを備えたチーム。今日はゴールキック時にGKの横に選手を置いたりビルドアップで色々試していて、戦術面でも変わろうとしているのが覗えた。この相手ともう1試合出来るのは大きい。

 日中はそうでもなかったが夜になると予想以上に冷え込んでもう少し着込んでくれば良かったと後悔したが、久々代表戦は楽しめた。その他の選手についても色々感じる所はあったが長くなりすぎてしまうのでこの辺で。もう少し経ったらまたメンバー予想でもするか(笑)

J1第4節 横浜M×浦和(日産)


 先週の広島戦は行けなかったので今年初日産スタジアム。基本的に日曜開催よりは土曜の方が嬉しいが、今回に限って言うなら日曜で良かった。これが昨日の13時なら荒天の影響をモロに受けていただろうし。今日はすっきり晴れて暑いくらいで春を感じさせた。

 試合はいきなり動いて2分で先制。仲川の右クロスを走り込んだ前田が合わせた形。去年のホーム浦和戦も早々に先制、というか去年のマリノスは開始5分以内に先制する試合が異様に多かったのだが、今年はこれが初。前田は前半半ば過ぎにも仲川の落としを豪快にボレーで決めて2点目、通算5点目となったが、このサッカーは本当にアタッカーのポテンシャルを開花させるよなぁ。去年のジュニサン、一昨年の仲川もそうだが自分の得意な形、“型”を持つことで自信を深め、更にプレーの幅が広がるパターンが多い。そうなる前提として動きが整理されて迷い無くプレー出来るのが大きいのかな。前田もスピード、スタミナはあっても決して器用な選手では無いので、自分で仕掛けて相手をかわして、という形ではなかなか厳しいが、クロスを点で合わせる形なら良さが出る。
 対する浦和は中盤までのボールの運びは去年よりスムーズになった印象があったが、そこからちょっと迫力が無く左から山中、汰木のクロス、仕掛けがメインの攻め。トップ下の小泉は守備面や走力での奮闘が目立ち、まさに柏木の後継というプレースタイルだったが、攻撃面ではあまり違いを作れてなかった。ここにレオナルドがいればまた違ったのかもしれないが。前半は2-0。

 後半もこの流れで、自陣でボールカットしたマリノスがカウンターで浦和ゴール前まで迫るシーン多し。そしてその形で小池が決めて3-0。その後浦和は選手交代するものの、徐々にボールを前に運べなくなって終盤はほぼマリノスワンサイドゲームとなった。オナイウのゴールがオフサイドだったりで追加点は無くそのまま試合終了。

 マリノスとしては特に大きな負傷者もおらずチーム状態は上がってきた感じかな。これまで連戦だったが、来週のガンバ戦が中止となったために中2日の3/17ホーム徳島戦の後は日程が空く(次戦は3/27ルヴァン広島戦、リーグ戦は4/3湘南戦でいずれもホーム)。この間に今日はイマイチな出来だったエウベルの適応に費やせればと。まぁ前田、岩田、後はもしかしたら渡辺、オビはU24に呼ばれるかもしれないが。前述の前田に加えて岩田も中盤で守備だけで無く前にパスを出せるのでこのままポジション定着しそう。仮に試合中チアゴや畠中にアクシデントがあってもそのままスライドで緊急対応出来る点もgood。とはいえ開幕戦は川崎に完敗したのも事実なので、後は名古屋等の上位(候補)にどこまで出来るかと言う所だな。

 試合が終わってもまだ15時だったので帰りはそのまま渋谷に行って色々買い物などしつつ帰宅。

J2第2節 東京V×山形(味スタ)


 今日は日産で広島戦(しかもホーム開幕戦)だったがチケが完売してしまい、友人の誘いで味スタに行くことになった。味スタのヴェルディ戦は何だかんだ年1ぐらいのペースで行ってる気がする。席はこのスタジアムであまり座ったことが無いメインスタンドホーム側を。

 正直両チームとも知ってる選手は半分程度(特にここ2年ぐらいでプロ入りした選手は知らない選手多し)だったので先日買った名鑑を見ながらの観戦となった。ヴェルディは元マリノス佐藤優平、奈良輪がスタメンで頑張ってるのはやはり嬉しい。山形にもマリノスからレンタル中の山田康太がスタメン。
 試合前はヴェルディがボールを支配して山形はカウンターという展開かなと思ったのが、その面はあるにしろ山形のサッカーが想像以上にアグレッシブで驚いた。特にボールを奪われた後の切り替えと寄せの早さ。前半から何度かチャンスを作る中で、CKのこぼれをCFのヴィニシウスが押し込んで先制。ヴェルディはボールを回しつつサイドで人数を掛けて崩そうとするが、最後のクロスが単調でなかなか決定機までには至らなかった。
 後半も同じ様な展開で、カウンターから山形が決定機を迎える場面が増えていった。特にカウンター時にヴェルディCB陣がディレイするので、中央ががら空きとなりそのまま打っても良さ気だったが、左右にパスした結果GKに寄せられてゴールならずというシーンが幾つか。1-0ならまだ分からないなとは思ったが後半半ばに左サイドからのシュートをGKが弾き、それをまたヴィニシウスが押し込んで2-0。展開的にこれで勝負は決まったかな。
 終盤はヴェルディも積極的に攻め込んだが最後のクロスが単調すぎた面はあったな。単純に放り込むだけでは山形守備陣はなかなか崩せない。そのまま試合終了。

 試合中目に付いた選手は山形の左SH松本怜大。30歳のベテランだけど左サイドをゴリゴリ駆け上がっていって、周りと連携して崩しつつ、守備時の切り替えの早さもあって良い選手だなと。この松本を始め、山形の選手は運動量や当たりを苦にしないプレーが印象的で、ヴェルディにとってはやりにくい相手だったろうなと。一方で山田はその中で存在感が希薄というか、アグレッシブさに欠けたところがあって、味方が相手にプレスに行く場面でも近くで見ているシーンが多かった。今日のようなプレーだと来季の復帰は厳しそうというのが正直なところ。前回の観戦記でも書いたが、マリノスユース出身者はここなんだよなぁ。技術的にはチームでも上位(のはず)なのに、それを試合で活かせない。高3時からマリノスで試合に出てU20W杯にも出場した選手なので本当に勿体無い。

 今日の帰りは飛田給から。思ったより冷え込んだが、友人となかなかコアなw話をすることが出来て楽しい時間だった。

ルヴァン杯GL 横浜M×仙台(三ツ沢)


 先週末にリーグは開幕したが、この上限5000人という状況下では等々力の試合は勿論行けず、近隣の試合も同様に完売ということでDAZNを見て終わってしまった。開幕節にどこも観に行かないのは実に2001年以来20年振り。そして今週末の広島戦@日産も完売してしまったので、思い立って今日行くことにした。
 18時開始ということで17時過ぎに退勤して向かったのだがスタジアムに着いたのは結局18時20分頃。着くと例によって試合は動いており、マリノスが先制していた。前半はとにかくマリノスが押し込んでいて、仙台がクリアしてもそれをすぐに回収して次の攻撃に繋げる好調時の動きを見せていた。開幕戦で高評価だった樺山も初めて実際に観たが、前半は左サイドで対峙したDFをフェイントでかわしてクロスを上げたり、後半は連携でエリア内に侵入したりと、技術を試合に活かせるタイプ、相手の嫌なプレーを出せる選手という印象を持った。この辺りがアカデミー出身者には無いポイントだな。去年同じウイングでプレーした松田(今季は大宮にレンタル)がまさにそうだったが、プレーが正直過ぎるというか、綺麗過ぎるんだな。ドリブルでも相手の逆を突くといった強かさが無いので、最初はデータの無い初物ということでそこそこ通用しても、徐々に対策されて消える時間が長くなり、そして出場機会を失ってしまう。まぁ今はエウベルが不在だから出場している面はあるだろうし、このポジションはとにかくゴール、アシストの数字を残さないといけないので、今は少しドリブルで魅せればOKでも徐々に結果を求められるとは思うが、同世代のアカデミー出身者と違って獲得して即レンタルではなくチームに残したのは分かる気がした。

 前半は1-0、後半に追加点取れたら3点目、4点目もあるかなと思っていたが、後半は仙台が押し返して何度かチャンスを作り始めた。そう言えば今年からテグが復帰したのを思い出したが、球際の激しさとサイド中心にシンプルにボールを運ぶサッカーはこれぞ手倉森サッカーという感じで懐かしささえ感じた。ベガルタと言えばこれだよなぁ。開幕戦もアウェイで先制された後1人少なくなりながら最後追い付くのは実にらしい展開だった。後半だけならチャンスの数は仙台の方が多かったと思うが、良い形で崩しても最後のシュートが枠外に飛ぶパターンで決めきれず、終盤はまたマリノスが押し返して仙台陣内でボールキープする時間が長くなってそのまま逃げ切った。

 マリノスはエウベル(負傷中)、レオ・セアラ(未だ入国出来ず)待ちという内容ではあった。オナイウも良い選手とは思うが、リーグで二桁取るアタッカーなら先週の開幕戦で何度かあったチャンスの1つは決めていただろうし、今日も複数ゴールを十分狙える展開だった。2-0、3-0にすれば試合をかなり優位に運べるが、1-0なら今日のように最後まで分からない展開になり、場合によっては勝点を落とすかもしれない。一昨年然り、上位に行く為には前線の爆発が不可欠。
 その意味では選手以上に新ヘッドコーチが未だ入国出来てないのが大きいかも知れない。ポステコグルーはマネージャー型というか、自分のアイデアを実現するために各セクションの専門家を束ねるタイプで、具体的な戦術指導はクラモフスキーの存在が大きかったんだろうなと。去年から3バック等新しいことを色々試してはいるが、昨季は最終的にはエリキとJサントスにボールを集め個でどうにかするサッカーになっていた。エウベルやセアラが同じように独りで何とか出来るタイプならそれなりに勝点は積めそうだが・・。

 と試合中、後で色々考えが巡った。三ツ沢はかなり冷え込んだが、やっぱ観戦はいいなと。特に三ツ沢のような専用スタジアムならば。緊急事態宣言も2週延長らしいが、早くこの状況が過ぎるのを願う他無い。

年間表彰2020(後)

 今日は後編、かつメインである年間MVPの発表を。今年も多くの友人達に強力して貰いました。感謝。

【選考方法】
各投票者にはベスト5を選んで貰い、1位:5pt〜5位:1ptでポイント化してその総合計で選出。仮にポイントが並んだ場合は1位票の多い方が上位、それでも並んだ場合は以下2位→3位・・・5位票の大小で決定。順位票すらも並んだ場合は両者同順位とする。なおこのルールはベスト5のみ適用し、6位以下でポイントが同じ場合は全て同順位と扱う。

【過去の受賞者】
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それでは5位から発表。例年通り選考者コメントを太字で表記。なお所属は2020年に在籍したクラブ
第5位
鎌田 大地(フランクフルト):22pt
 5位は鎌田。「今シーズンフランクフルトの攻撃陣を牽引してると言ってもいい活躍」で、「得点アシスト共に出来る素晴らしいプレーヤー」。日本の2列目にしては長身なのだが、フィジカルを活かしたダイナミックなプレーというよりは小技やボールキープも出来るという今までの日本にあまりいないタイプ。「個人的に懐の深いトラップやドリブルが好み」というコメントもあった。「安定感が出てきて、バランスも良く、これからが楽しみ」な逸材なのは間違いが、性格は変わり者というか、監督から100%の信頼を得て初めて機能するタイプのようにも見えるので今年は代表でも輝くのを期待したい。

第4位
冨安 健洋(ボローニャ):35pt
 去年に続いて4位は冨安。とにかく「安定感抜群。セリエでDFでレギュラー取れるのは凄すぎる」し、そもそも「セリエで出続けるのも大変」、そして「とても22歳とは思えない落ち着きに驚くばかり」。日本は約10年周期で軸となるCBが現れるが、丁度10歳年上の吉田麻也は10年前はエール・ディビジにはいたが、クラブでも代表でもやっとポジションを掴み始めたという時期。その意味で冨安は麻也より1年~1年半ほど早いタイミングでクラブのステップアップや代表でのレギュラー獲りを果たしたと言えるかな。
 去年のコメントで、もっと点が取れるようになれば言うこと無しと書いたのだが、最近はセリエAにも慣れたのか徐々に点にも絡み始め、頭だけで無く右サイドをオーバーラップして決めた「アタランタ戦でのゴールはDFとは思えないセンスを感じた。」果たしてどの領域まで達することが出来るのだろうか。麻也がサウサンプトンに行ったから、それ以上(四大リーグ欧州カップ常連チーム)は行けると思ってるのだが。

第3位
遠藤 航(シュトゥットガルト):55pt
 3位は今やブンデス有数のZweikampf(1対1)強者である遠藤。「一対一の強さが際立ってて安心感がある」、「いつからこんなに対人強い選手になった?」という声と共に「浦和時代はとにかく守備のイメージしかなかったけど、縦のパスや仕掛けなど攻撃の面が凄く上達した」という声もあり、つまりは日本にいた頃とは攻守両面で数段グレードアップしてるということなのだろう。自分の中では浦和時代はどちらかというと守備面より3バックの中央からの正確なフィードが印象に残っている。クラブでの活躍はハイライト動画中心でフルで見る機会はなかなか無い中で、秋の代表戦でアフリカの選手にも対人で引けを取らず、脚を伸ばしてボールを取り切る守備を見たときは衝撃だった。「デュエルできるアンカーがいる安心感て素敵」。まさに長谷部の後継者。代表でもこのポジションはこれまで他に橋本、守田、三竿等が呼ばれてきたが、現時点では頭一つ抜けているかなと。

第2位
中村 憲剛(川崎):86pt
 2位は再び川崎勢ということで。この選手に関しては「フロンターレ一筋で最終年にタイトル2つの有終の美を飾れたのがすごい」とこれに全てが集約されているのだが、「リスペクトしかない。シーズン通して活躍したわけではないけど、大怪我からの復活、インパクトあるゴールなど、理屈ではなく1位にしました。」。実績そのものはリーグ戦13試合2ゴール、カップ戦と合わせても14試合2ゴールという数字だが、その2ゴールは「復帰戦ゴールに引退発表前ゴール、そしてシャーレ奪還。これ以上ない引き際で、持っているにも程がある」。
 この選手はプレー以外、というかそれ以上に「川崎を支え、名門に育ててくれた真の旗頭」という側面がある。J2時代からチームを牽引し、昇格後は代表入りやW杯出場を果たすと共にチームもJ1の強豪となるなど、無名の存在から国内屈指の存在に成長したという意味でこの約15年で急成長した川崎を象徴する選手でもあるんだな。長らくシルバーコレクターに甘んじてきた中で現役最後の5年間でリーグ(3回)、天皇杯ルヴァン杯、スーパー杯と国内タイトルを全て制覇しての引退はこれ以上無い完璧な幕引き。今後は指導者を目指すというが、言語化能力というかサッカーを言葉にする点においても屈指の存在なので「サッカー以外でもきっと活躍できる。セカンドキャリアに期待しています」。
 最後に惜別のコメントを。「長い間フロンターレ生活お疲れ様でした!素敵なプレーをありがとう!」、「あの大怪我から復活しただけでも凄い。お疲れさまでした。」「自分のサッカーにおける14はクライフではなく、中村憲剛」、「引退さみしいです」、「お疲れ様のメッセージも込めて...この年代がどんどん引退はやはりさみしい...

2020年日本最優秀選手
三笘 薫(川崎):87pt

 今年の当blog選定、日本の年間最優秀選手は川崎の三笘となりました。それにしても1pt差とは。1位票の数は中村憲剛の11票に対して8票と下回ったのだが、票を投じた人の数は40名中25名と最多で、憲剛の23名を上回った。去年の仲川に続いてA代表未経験の選手が受賞。
 受賞理由は「大卒でのあのパフォーマンスはすごい。2桁得点2桁アシスト!すごい」もうこれに尽きるんだが(笑)、「からしたらこんなに嫌な選手はいない。後半疲れてきたときに出てくるとか最悪」かつ「ドリブルが得意なウイングにありがちな独りよがりのプレーは少なく、アシストも多い視野の広さとオフザボールの動きもいい」。また「彼の“ヌルヌルドリブル”はサッカー少年たちに与えた影響は大きい」と様々な立場からの分析、コメントが寄せられた。あのボールを保持するフロンターレで完璧に機能するドリブラーというだけでこの選手の価値が分かる。個人的にはやや得点ペースが落ちたシーズン終盤のプレーが印象深い。ドリブルで1人、2人抜くのはもう当たり前で、相手は「それでも最後の一線は死守」とゴール前で人数掛けてどうにか凌ぐ状態であり、逆に相手にとってどれほど脅威なのかが露わになっていたなと。
 天皇杯でも決勝ゴールを決めたし、次は「海外でどのくらい通じるか、代表でも見てみたい!」となるのは必然だし、新シーズンもこの勢いならば確実に代表入りするだろう。「どう成長していくのか楽しみ。

全順位は以下の画像を参照。(クリック/タップして拡大)

以下雑感を箇条書きに。
・6位は5位と1pt差で家長。「テクニックあってフィジカルモンスター」、「この人がボールを持ったときの怖さは計り知れない。」「憎たらしい位にボールキープに余裕があって、ボールを失わない。」、「家長がタメるからこそのフロンターレの攻撃サッカー」という圧倒的なボールキープからの攻撃センスで優勝に貢献。18年にリーグMVP獲った後去年はリーグでノーゴールとさすがに年齢的な衰えが出始めたのかな、と思いきや34歳となる20年シーズンはリーグで二桁ゴール。某氏からは「言っておくが家長復活のきっかけを作ったのはセレッソ。家長乾清武のセットは強烈だった」というコメントもあったが笑、川崎で憲剛や大島らとプレーしているのを見ても、周りのレベルが高いと更に上手さが引き立つ選手ではあるな。
・・・と6位なのにやたらコメント引用が多いのは最後の最後まで投票5位をキープしてたのでそれを見越して書いていたからです(笑)ちなみに川崎勢は合計10名が得票。これにダミアン、鄭成龍ら外国人選手もいる訳だからまぁ層の厚さを実感する。

・この投票の常連であるカズは7位。「J1最年長出場記録を53歳6ヶ月28日はすごい」、「最年長出場記録!出来ればゴール欲しかった」ここまで来ると、完璧に節制したら人は何歳までアスリートとして動けるのかという究極の実験と言えなくもない。

・これも恒例?の鬼武(品川CC)への票「感謝も込めて」、「品川のキングもよく走った!!よくゴール決めた!!あのメンバーの中でよく戦った!!」ふと思ったが左サイドから仕掛けて点に絡むプレーは三笘っぽいような・・(笑)

・投票者に割とマリノスサポ多めということもあり(笑)、毎年一定の票が入るのだが、昨季は無冠が影響してか票は少なめ。その中で最多は水沼だった。「試合数が大きく本調子じゃない選手がいる中でもバランス良かったと思う」。突破力がある訳では無いので、開幕前は正直チームにフィットするか疑問だったが、相手の対策もあって前年ほどサイドを深くエグれない中で、周囲と連携して右サイドやや浅い位置からのクロスマシン、アシスト役として貴重な存在だった。

・今年は例年にも増して引退選手への票が多かった。憲剛以外にも
内田篤人(鹿島)
静岡県民、同世代、地元の誇りです!長い間お疲れ様でした!
増嶋竜也(千葉)
85世代のスター!!引退なんて寂しすぎます
徳永悠平(長崎)
まだ現役を続けていたのですね。お疲れ様でした。
他に佐藤寿人など年齢的にアテネ世代が引退していくのは分かるとして、北京世代もそういう歳かとしみじみと。やはり同世代が引退すると色々感じるものはあるのだな。

・J2最多票かつ最年少得票はヴェルディ藤田譲瑠チマ(東京Vの9pt。「昨年のシーズン途中から2種登録でデビューし、今シーズン開幕戦からスタメン抜擢。成長曲線があったなら、この選手の上がり幅は計り知れないくらいの上がり幅。シーズン終盤にはパス捌きの判断の早さ、縦パスの入れ方など全てにおいて素晴らしかった。」、「若手ではないクレバーなプレーが多数。
2002年(!)生まれで昨季はリーグ戦で1試合欠場しただけの41試合出場。ヴェルディも途切れなく選手を輩出するよなぁ。特に中盤で。

・毎年、意外な選手、Jで実績を残した燻し銀的選手が複数人から得票するのだが、今年は江坂(柏)が3名、坂元(C大阪岩尾(徳島)稲垣(名古屋)が2名から票を得た。江坂は「パスを上手く受けることができ、そこからドリブル、パス、シュートのどれを選択するかの判断が早くて正確」「欧州型のオフェンシブハーフを彷彿とさせるテクニックと前への推進力そして華がある」。上手いけどゴール&アシストは少ないというMFは多いが、この選手は試合で持てる技術をしっかり数字に反映することが出来る。こういうタイプがチームにいると強いよなぁ。理想の「代表に届かない程度の10番」という点も含めて他に名古屋の阿部浩之も似たものを感じている。だが「オルンガの得点王&MVPは彼の貢献無しには語れない」。
 坂元は「必殺の切り返しは1vs1なら絶対負けない」右サイドからの仕掛けが印象深い。見ていて気持ちよいくらいにDFは切り返しに引っ掛かり、マリノスもリーグ戦でかなりやられた。
 岩尾は「湘南時代はこれといった印象がなかったが、徳島に入ってからは、献身的な運動量、パス出しで中核をなし、コロナ禍のシーズンをキャプテン・フルスタメンで乗り越えた」。稲垣は何故かまだ甲府のイメージがあるのだが(広島を経て昨年名古屋加入)、「グランパスの堅守を支えたダイナモ」であり、「試合終盤になっても衰えないスタミナ」を持ち「ボールを刈り取れる」「まさに潰し屋」。「米本とのボランチは脅威」。奇しくも岩尾と稲垣は共に日体大出身。

・恒例?の選手以外への票も幾つか。
 影山優佳(日向坂46)
 「家族で「おひさま」(日向坂46のファンの総称)を自称している我が家だが、贔屓目なしで下手なサッカー評論家より、よっぽど見る目があるサッカーファンであり、表現力も高い」。ブログで全国のJチームを北から紹介しているのがサッカーサイトで紹介されていて、初回札幌に続く2回目は仙台と思いきやJ3八戸だったのはなかなか衝撃的だった。サカダイか何かのインタビューでもバクスタ2階から俯瞰して見るのが好きとか語っていて、あ、これはガチだと思った記憶。
 本並健治(サッカー解説者)
 結婚ご祝儀票と言うべきだろうか。選考者のコメントもシンプルに「結婚相手がすごい」(笑)

・毎年ベスト5以外に選考対象外(主にJの外国人選手)の選手を書いてくれる人が多く、今年はオルンガの名が多かったのだが、それ以外では某氏よりサッカーチームに入っている自分の息子達の名が(笑)名前は控えるが長男君は「チームでサブキャプテンとしてまとめ役、守備の安定に貢献」、次男君は「ゲームキャプテン、エースストライカーとして活躍。直接フリーキックを決めたときは、見ている大人をどよめかせていた」らしい。仲間内のフットサルでも段々親子参加が増え始めてるけど、その内子供たちのプレーに親が付いていけなくなるんだろうな。

・最後に、2020年はコロナ禍による異例のシーズンだった訳だが、その中でJリーグ完走に尽力したすべての方々に5pt。「今年はこういうことで良いんじゃないですかねえ。日程をやりくりしながら、よく全試合消化したものだと思う。」途中クラスタ発生したチームもあった中で、常に最新の状況を踏まえて観客の有無や人数制限の設定、日程の組み替えを行い、同時にそれを逐次情報公開(時には原さんがYouTubeチャンネルで直接ライブ配信したりも)したのは素晴らしかった。


 去年の総評で「来年は東京五輪なのでU23世代が数多くランクインするのを願いつつ」などと書いたが、まさか五輪そのものが飛ぶ事態になるとは。その中でU23世代の三笘、冨安がベスト5に入ったのは純粋にクラブでの活躍だし、去年に続いて若い世代の台頭が続いているのは嬉しい。
 選考全般で言えば、遠くの海外組より近くの国内組というか、やはり見る機会の多い(地上波でも触れられる機会の多い)選手が票を集める傾向が増している気もしている。そういった点も含めてこの結果を後で振り返れば“2020年の日本サッカー”が把握できるものにはなっているはず。既に年が明け、首都圏はいきなり緊急事態宣言となってしまったが、21年は去年以上にスタジアムで観戦出来て、そして日本の選手が国内外で躍動する年になるのを願いつつ表彰を終えたい。

年間表彰2020(前)

 例年なら年末に発表する当blogの日本サッカー年間表彰だが、今年はリーグ最終節が例年より2週遅く、またルヴァンの決勝も年明け順延という状況を踏まえ、年を越しての発表とした。まぁ代表戦に関してはそもそも親善試合4試合しかやってないのだが、その中から敢えてということで。ただベストゴールについては総ゴール数が2でその内1点はPKなので今年は該当無し。ちなみにその1点はコートジボワール戦終了間際の植田のヘッド。

■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合(画像クリックで拡大)

1位:コートジボワール戦(○1-0/2020.10.13/親善試合@ユトレヒト
 4試合から選ぶとすれば相手の強さ、結果を踏まえてこの試合かなと。ゴールは最後の最後だったが、開始からバランスの良い好内容だった。個人では遠藤航の対人守備の強さが印象深く、ブンデスで高い評価を得ているのも納得。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合(画像クリックで拡大)

1位:メキシコ戦(●0-2/2020.11.17/親善試合@グラーツ
 4試合の中では最も強い相手ではあったが、強豪との距離を測る上での貴重な試合だった。森保氏は選手の自主的な判断に任せる部分が大きい分、こういう強豪相手の親善試合では当面こういう内容が続くようにも。なおこの試合に限っては濃霧の印象度強し(笑)
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール(画像クリックで拡大)

前述の通り今年は表彰無し。

■最優秀若手選手(U-20)
※対象は2000/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者(画像クリックで拡大)

1位:瀬古(C大阪
2位:久保(マジョルカビジャレアル
3位:谷(湘南)
 これが今年夏までだったら2年連続で久保だったが、ビジャレアルであまり輝いていないというのを考慮して2位。1位はJのベストヤングプレーヤーと同じく瀬古で。J1で4位に入るチームのレギュラーCBというのはやはり大きい。
 3位は海外組でも菅原(AZ)などいて迷ったが、今年特に台頭が目立ったGKからということで湘南のを。まだ東口の牙城は大きいと思うので、今年もレンタルで試合経験を積んで欲しい。
 数年前は試合に出るU20世代自体が少なく、チームで準レギュラー格でもこの表彰でランクインすることもあったが、去年は若い選手が数多く出場機会を得た。過密日程&交代枠5名の影響も大きかったと思うが、特に2000年生まれ以降の世代はそのすぐ上の世代に比べてもより現代サッカーに適した素材が多い印象がある。この世代でJ1で15試合以上出場したのは23名にもなり、また今年の高卒1年目世代(01年度生まれ)だけでなく現高校3年世代からも鳥栖の中野(14試合)、湘南の田中(17試合)など一定の試合に出ている選手が出ている。ここまで来るとパリ五輪世代になるが、東京五輪の選考でも一気に有力候補になる選手が出てきて、層の厚みは増した。


■最優秀監督
※過去の受賞者(画像クリックで拡大)

1位:鬼木(川崎)
2位:片野坂(大分)
3位:長谷部(福岡)
4位:下平(横浜FC
5位:小林(北九州)
 この選考は元々タイトルを獲った監督だけでなく、手持ちの戦力に比べて好結果、内容を残した監督を評価したいという趣旨で始めたものだが、まぁ今年はリーグと天皇杯の2冠&圧倒的な攻撃力というサッカーそのものからこの人しかいないな。これまで結果を出してきたサッカーを変えて更にチームをグレードアップさせたというのが素晴らしい。多くの人が指摘しているが、やはり19年33節のマリノス戦(アウェイのマリノスが4-1勝利)がターニングポイントだっただろうか。
 これまでのやり方を変えたという点では5位小林氏もこれまでのイメージを覆すサッカーだった。改めて過去の選考を見返したが、山形、徳島、清水に続く4クラブ目でのランクイン。どのクラブでも一定の結果、内容を見せる点においてまさにプロの監督。
 2位片野坂氏はこの選考の常連だが、今年は過密日程という状況でしっかりリーグで11勝して11位。同じく4位平氏も今年は降格が無かったとは言え昇格チームを率いて若い選手を積極起用しての15位フィニッシュということで。
 3位の長谷部氏はJ2優勝の徳島と同勝点の2位ということでの選出。この人も桐蔭の李国秀氏の教え子なんだよな。以前も書いたが今Jや協会で活躍する監督には
マツダ~広島系統(森保、高木、小林、片野坂、森山 等)
住友金属~鹿島系統(鬼木、相馬、手倉森、関塚、石井、大岩 等)
の2系統あると思っていて、桐蔭の李国秀門下生はそれに続く第3勢力になるのではと期待している。今年山口の監督に就任する元仙台の渡邉氏や解説者の森岡氏、戸田氏など。まぁもう李氏は桐蔭では教えていないのでその数も限られてしまうのだが、育てて勝つ広島系統、勝負に拘る鹿島系統とはまた違った理詰めに考えるサッカーという印象があるのでそうしたスタイルの違いをJに持ち込んで欲しいなと。

 前編はここまで。後編かつメインのMVPは現在絶賛投票回収&集計中につき、連休中には・・。

天皇杯決勝 川崎×G大阪(国立)


 何気なく申し込んでみたチケが当選してしまったため、2021年最初の観戦は去年と同じく天皇杯の決勝にて。14:40開始ということで昼は行く途中、渋谷辺りで食べようかと思っていたが、ふと国立ということでホープ軒を思い出して入場前に。ここも福岡の長浜屋と同じで何故かクセになる味。

ホープ

 今回は同じ3階席でもバクスタアウェイ寄りを選んだのだが、抽選販売後の一般販売中止もあって自分の列はそれほど人がおらず、こうした決勝では珍しくのんびりとした観戦となった。入場後は試合までまだ1時間以上あったのでコンコースなど場内設備を見て回った後で試合開始。

 試合前の予想としては意外とガンバに勝機はあるのではないかと。直近の対戦では川崎が5-0で圧勝してリーグ優勝を決めたが、カップ戦決勝では得てしてそういった結果がフラグになるものだし、ガンバは当然分析して対処する中で決勝特有の1点勝負になったらどうなるか分からないなと。
 と言う中での前半は川崎が押し込みつつも決定機を逃して0-0。ガンバも前半早々にパトリックが頭で合わせてネットを揺らすもオフサイドというシーンこそあったが、それ以外は前にパスが繋がらず後ろで堪え忍ぶ展開だった。それでもガンバは井手口が負傷?で不在とは言え矢島、倉田、パトリック、宇佐美という1本のパスからゴールに結び付けられるタレントがいるので前半スコアレスというのはむしろ御の字だったかなと。
 と言う中で後半10分頃に川崎が先制。ハーフライン付近で川崎がボールを奪い、最後はL・ダミアンからのパスに走り込んだ三笘が上手く流し込んだ。その後も川崎が前半同様に押し込んでここで2点目が決まっていたら勝負は決まったかと思うがクロスバーを叩く、かすめるシュートが続いて追加点を上げられず。それでも時間は進んで後半35分を過ぎた頃になって急にガンバが勢い付いた。川崎を押し込み始めてじわじわとゴールに迫り、シュートシーンや決定機も生まれ始める。今季のガンバはこれがあるんだよなぁ。守る時は東口や守備陣の個々の踏ん張りでどうにかして、ある時間帯になると突然西野時代の様な迫力ある攻撃で点を取って勝点3を得るという。観ていて少し前のCL決勝バイエルンvsチェルシーを思い出した。バイエルンは本拠地が決勝会場かつチェルシーが複数人出場停止という絶対有利な状況で予想通り押し込んで後半に先制するも、チェルシーがワンチャンで追い付いてそのままPKで優勝という試合。実際ガンバは何度か決定機は作ったし、もし追い付いていれば更に勢い付いて90分内で勝ち越すことも有り得たと思うが、最後は川崎守備陣が踏ん張ってゴールを割らせず、そのまま試合終了。

 これで川崎がリーグとカップの2冠、ガンバはどちらも2位という結果になったが、それにしてもガンバは不思議なチームだった。1試合の中で攻める/守るがはっきりし過ぎているというか、相手に押し込まれている時間が結構ありながら、ある時間帯では逆に相手を圧倒するという。例えその相手がリーグ王者であっても。まぁ前述の井手口やアデミウソン、昌子を欠いてこの結果は上出来と言えるかもしれないが。

 帰りは表彰式も観て、最後はメイン側コンコースで新宿のビル群を眺めつつ帰路へ。

国立競技場から新宿を望む

 昔はカップ戦決勝や代表戦の時などは外苑前経由で帰るか代々木まで歩いたりしたものだが、今日は人数制限下で混雑の心配も無く帰りも千駄ヶ谷から。この駅も五輪向けに改装されて小綺麗になっていた。