追憶のW杯予選③〜ジョホールバル〜

 さて、もはや完全に手に負えなくなっているこの連載であるが、ここを語らずして予選は語れまい。という事で今回はあのイラン戦を中心に。

 

 あの試合を一言で言い表すとすれば

「日本サッカー史上最高の試合」

であろう。一度逆転されて、再逆転、しかもゴールデンゴール。W杯初出場が懸かった試合であれほどの展開見せられたらもう言う事ない。イランのFWアジジが試合前日に車椅子に乗って怪我をアピールしておきながらスタメン出場、とか、岡野が延長で外しまくって最後は中田ヒデも呆れていたとか、(だから最後は自分で狙ったのだと思う。そのシュートのこぼれを岡野が決めたのは皮肉と言うべきか・・・)いまなら笑えるけど、その瞬間はそんな余裕は無かった。


 翌朝、スポ新購入し、もちろん保存。(その割には折り目が付いていたりして扱いが粗いが)
 

 もし社会人になった今、あんな試合観てしまったら、きっと朝まで飲み明かしていた事だろう。社会人になった今年、それが出来なかったのが心残りではある。ただ・・・やはりジョホールバルほどの感情は沸き起こらなかった。俺は無闇に「感動」という言葉を連発したくはないが、あのイラン戦こそは自分の中で心から「感動」と呼べる試合だった。今回、初めて予選を経験した人は、4年後、今の俺と同じ事を思っているかもしれないな(笑)そんな中で、前回の予選を生で経験しながら、今回も涙を見せた某代表には敵わないなって思ったのも事実。いやマジで。


 
(余談)
 この前ふと感じたのだが、フランスの予選では、今回(ドイツW予選)に比べて印象的なゴールが多かったように思う。日韓戦―山口のループ、UAE戦―呂比須のスーパーボレー、イラン戦―城の同点ヘッド等等。あの極限状態であれほどのゴールを決めるとは・・・逆に、あの浮き沈みの激しいドラマチックな展開が、スーパープレイを呼び起こしたのかもしれない。これに比べて、今回は鳥肌が立つようなゴールはなかったな。久保や大黒のロスタイム弾などは興奮はしたが、それは試合展開に対してであってゴールそのものとは言い難い。予選はほとんど1点差勝負だったから、もっと記憶に残るようなゴールがあってもいいと思うが。と書いていてサルミーンを思い出した(笑)あれほどガチでぶつかった試合があのゴールで決まってしまったのは、ある意味今予選を象徴しているのかもしれない(苦笑)


(追記)
 フランス予選を振り返る事が多かったので、「翼をください」を久しぶりに聴いた。
あの予選に最も相応しい曲。この大空に翼を広げ、飛んで行きたくなった。悲しみの無い自由な空へ。まさに、そう思いたくなる展開だった・・・