J1第26節 東京V×磐田(味スタ)


 友人が招待券持っていなかったら、絶対行かない試合だろう。両チームとも特に思い入れがあるわけではないし。実は今年の天皇杯決勝でも同じカードで、しかも元旦から国立行って観てしまったのだが、それはあくまで「元旦の天皇杯決勝」を一度は観ておこうという思いで行ったに過ぎない。

 だが、試合が始まると、目の前の展開に引き込まれていた。そうだ、天皇杯でも小林(慶)が退場するまでは、東京Vのパス回しは磐田のプレスを嘲笑うかのように華麗に展開していたっけ。偶然や、セットプレー頼みではなく、“サッカーをして”チャンスを作る。これがサッカーなんだ・・・
 
 そしてロスタイムのドラマにも触れないわけにはいくまい。

 4−3で磐田リードのまま、3分のロスタイムを終えようとしたその時、磐田にPKが与えられた。決めれば試合は終わり、いや決めずとも枠を外せば、GK高木がゴールキックを蹴った瞬間終わっていただろう。しかも山田が退場するし。俺と友人は帰り道の混雑を考え、ゲート入口に移動し、終わったらすぐ出る事にしていた。

 だが、中山が思い切り蹴ったキックはバー直撃→東京Vのロングパスが玉乃に繋がって磐田ゴール前で倒される→FK。まだ帰れない。何かが起こるとは思わなかったが、何か起こって欲しかった。

 ワシントンの蹴ったボールは低い弾道で壁を通過し、GK川口とポストの間を抜けていった――――――――――――――決まっちゃったよ・・・・・・

 という表現しか浮かばなかった。4−4で試合終了。喜ぶ東京Vに対して倒れこむ磐田の選手が印象的だった。

 確かに、冷静に見ればミス絡みでチャンスを得た面もあったし、両チームの守備ははっきり言ってザルだった。CK→成岡ヘッドが決まったシーンなんて、周りに誰もDFいなかった(苦笑)CKなのに! 華麗さは時に(というか往々にして)脆さと表裏一体となる。だが、それが何だと言うのだろう。パスを繋いで繋いで、チャンスを作り出す。普段、マリノスの色々な意味で「かたい(硬い、堅い)」サッカーを見慣れている者にとって、サッカー本来が持つパスゲームの楽しさを思い出させてくれた両チームには感謝したい位だ。

 この日は日産、等々力でも試合があった。招待券という偶然からわざわざ味スタまで来てしまったが、間違いなく来て良かったと断言できる。