久々にレビュー

【雨の朝】 
 東神奈川駅で電車を待っていると、線路の向こうで一人のオヤジが豪快に野○ソしている姿が目に入った。本人は道路から見えないよう物陰に隠れているつもりなのだが、後ろのホームから丸見えと言う罠。失笑と共に、空がさらに湿っぽく見えた。


 そんなハプニングで始まった2月の月初めだが、日中は先週から毎日同じ事の繰り返しで何も変化が無いので、今日は最近読んだ本について書こうかと思う。

    

ナポリマラドーナ―イタリアにおける「南」とは何か』北村暁夫著 山川出版社ナポリのマラドーナ―イタリアにおける「南」とは何か (historia)

 アマゾンで適当にサッカー関連の本を検索している中で見付けた。山川ってあの世界史用語集(だけじゃないけど)の山川!?意外だった。タイトルを見て連想したのは、イタリアサッカー界における南北格差――ユベントスミラノ勢の支配とローマ勢の没落、そして南部中小クラブの苦戦とか――で、おそらくそういった内容が書かれているのだろうと注文してみると、サッカーについて書かれたのは序章と終章だけだった。何故マラドーナが出てくるかと言うと、90年のイタリアW杯準決勝、アルゼンチンvsイタリアがマラドーナが所属していたナポリで実現してしまったからだ。地元の観客は北部の選手ばかりのイタリア代表ではなく、マラドーナ率いるアルゼンチンを応援するのではないかという(「イタリア」にとっての)恐れがあり、しかもアルゼンチンはかつて多くのイタリア人が移住した国であるという深い関係にあった。つまりイタリア国内での「南北問題」と地球規模での「南北問題」(富める北半球と貧しい南半球という構図)をまさに象徴する試合であり、この本のテーマにまさしく合致するものだった。


 全体的にはイタリアの南北格差を社会学的視点から捉えており、サッカーの話は全く出てこなかったが、ページ数がそう多くなかった事もあって1日で読み終えた。読み終えた後、大学時代に取った授業を思い出した。同じようにイタリア(のサルディーニャ島)を社会学的に捉えた本を読んでレポートを出すというものであったが、(というかレポートさえ出せば単位が来る楽勝科目)読み始めても全く興味が湧かなくて最後まで読まずに結局その授業を切ったんだった。それがサッカーが絡むとこれだからなぁ。その本もカリアリセリエA)とか同島出身のゾーラの話とか出てくれば単位落とさずに済んだかも知れないのに(苦笑)普段こういうテーマにはなかなか手を出しづらいものだが、何かきっかけさえあれば不思議な程頭に入ってくる。そのきっかけが俺の場合はサッカーなのだろう。もし「サッカークラブの経済学」なんて本があれば、今頃大分頭の中身も変っていたかもしれない(笑)


 面白い本だったが、一つ突っ込むとすれば、イタリア人がアルゼンチンのブエノスアイレスに移民し、その中でもボカ地区に集まり住むようになった、って書いた位ならあのボカ・ジュニアーズにも触れて欲しかった。何よりマラドーナとボカは切っても切り離せない関係にある訳だし。



【帰り道】
 東神奈川で降りようと改札口で定期を出すと、定期入れに定期だけが無かった。乗る時は確かにあったのに、一体何が・・・あと2ヶ月も残っていただけに非常に痛い。駅員に聞いたらsuicaは¥1500で再発行出来るらしいからまだ良かったけど、見つかるまで会社まで往復切符で行くのとどちらが得か微妙な所だな。すぐ見つかればいいけどねぇ。ふと気付いた。朝のあのオヤジはきっと何かを暗示していたに違いない。