一夜明けて

 こんな試合展開は久しく観ていなかったので、心を落ち着かせるのにしばらく時間が掛かった。

 現地はかなり暑そうだったが、相手より走り負けたのでは話にならない。中田ヒデが“日本の良さ(速いプレス、パス回し)は走力が前提”と言い続けてきたのが今更ながら心に響く。相手はFW投入して前掛かりになってきているから単純に考えれば後ろに大きなスペースが空いて、カウンターのチャンスはかなりあったはずなのだが、押し込まれて前の2〜3人しか攻撃に絡めず、パスコースを読まれていた。パスが繋がってサイドに展開してもクロスの精度がなぁ。なんか次々にFW投入するのってまさに4年前の韓国×イタリアで見せたヒディンクの常套戦法で、分かっていただけに本当に悔しいわ。

 厳しい時にどれだけやれるかでその選手の真価が分かると思うが、その意味では13番の相変わらずの周りをよく見たプレーという名目の責任回避プレーには怒りさえ湧いた。何度も言ってるけど何故FWが第一にゴールを目指さない?シュート撃たない?選手を最後まで後押しし続けるのがサポーターなのはよく承知しているが、こんな日本の代表としてプレーする事に対する責任を果たそうとしない者にその資格は無い。別に負けたからとか、ミスしたからってここまでは言わない。ゴール前でフリーでボールを受けた時のあの一瞬の“躊躇”を観て、あーこの人は結局“点取り屋”に成り切れなかったんだなと実感してしまった。FWの評価って結局のところゴールの数が前提で、それから周りを生かせるか等が評価の対象になるのに。あの躊躇を振り切って足を振り抜けば、日本の結果だけでなく、その後のサッカー人生すら(良い方に)変わるかもしれないのに残念だ。才能には本当に恵まれているだけに尚更。

 試合直後はクロアチア戦までの1週間を考えただけで憂鬱になったものだが、やっと今になって吹っ切れてきた。そりゃ次の2戦がより厳しいのは分かりきっているが、とにかく、走り負けない、日本の良さを出す、そして・・・大黒をもう少し長く出す(願望)、を実践し、思い切りやってくれや。そういやこの感覚、フランス大会に似ていなくも無い。あの時もアルゼンチン、クロアチア相手に慎重な3バックで挑み、ジャマイカ戦で2点リードされてからやっと吹っ切れたのか、最終予選で見せた4バックの速い展開が見られるようになった。あの時は吹っ切れるのが遅すぎたが、今回は次戦のキックオフ時にはその状態になっている事を期待したい。今大会の代表がどうとか、評価するのはW杯が終わった後ですればいい。