仏×西

 今朝、友人から“今大会最高の試合”とかメールが来てかなり後悔。ブラジル×ガーナなぞ観ていないでさっさと寝て早起きしていれば観れたのに・・・。この2試合のカードを見比べれば、明らかに4時開始の方が面白そうなのに、そこはサッカーがあるとついつい観てしまう悲しい性よ。

 録画観戦時は、時間短縮の為に早送りしながら観ているが、最初の選手入場〜国歌斉唱だけは必ず見るようにしている。試合前の国歌は試合を観るテンションも上げてくれるから不思議だ。いきなり何故こんな事を書くのかと言うと、スペインの選手が殆ど国歌を歌ってなかったから。他国にも歌わない選手は何人かいるが、殆ど全員というのはスペイン位だろう。カタルーニャ出身(シャビ、プジョル)、バスク出身の選手はまず歌わないだろうなとは思っていたが、ラウルまで歌ってなかったのには驚いた。マドリード所属なのに。演奏中はただ上方を見つめていたが、あの視線の先にあるものは、おそらく掲げられた国旗だろう。あまり大っぴらに歌えないからこそ、彼自身のやり方で試合前に祖国の代表として戦う事を表明しているのかもしれない。あくまで想像だけど。スタンドのサポーターは他国と同じく大声で歌っているのに、選手達は口を閉じたまま。この光景だけでも複雑な国情が窺い知れた。

 余談はさておき、試合はスペインが2−0位で勝つと思っていただけに、この結果は意外だった。やはりジダンが活躍するとフランスは強いんだな〜と実感したが、録画を観終わって心に残るのは、数年前の絶頂期に感じた、ただただその才能に感嘆するしかないという興奮だけではなく、今まさに燃え尽きる前の最後の輝きを見せている者に対する尊敬の念も混じっていた。引退会見のVTRを見て、何時の間にこんな老けたんだろうと驚いたのだが、この試合でも、その外見は数年前から一回り細くなったように見えた。そんな体に鞭打ってキャリアの最後を締め括る為に完全燃焼するそのモチベーションは凄い。
 もしトロフィーを掲げて引退出来たら、もう伝説を通り越して神話の域にまで達するのではないかと思うが、次がブラジルとはねぇ。ガーナ戦は相手に押される時間が長かったけど、逆にそれでも3−0で勝ってしまう所にこの国の底力を感じた。はっきり言ってブラジルはまだフルパワーで戦ってないんじゃないかと思う。それに対して、フランスはこの時点で既に力を出し切っているような・・・例えるなら、悟空が自分の限界である界王拳2倍で挑んでも、べジータはそれ以上だったという構図。3倍以上の界王拳でないと(=ジダンがスペイン戦以上のプレーをしないと)かなり厳しい。他にもアンリやビエラといったタレントは居るが(世代交代が上手く行っていれば、今頃この2人がチームを引っ張っているはずなのだが)、ジダンへの依存度は益々高くなっているしな。しかも相手には全盛期のジダンに匹敵する才能が少なくとも2人はいて、特にそのうち1人(背番号10)は今回はまだあまり目立った活躍が無いからそろそろ・・・。

 まぁ最初から結果が分かっているなら試合を観る意味はないし、予想を覆すような展開があるからスポーツは面白い。とにかく、このカードは生で観なければ。