美術館へ

 塩野七生作品には中世ヨーロッパを扱ったものが多いが、この時代の欧州を扱うという事は必然的にオスマン帝国についての言及も多くなる。塩野女史自身はオスマンを全体的にそれ程評価していないが、世界史と言いながらヨーロッパ視点の歴史に傾倒しがちな身としては、モンゴル帝国と同様、そのスケールの大きさは新鮮である。野蛮、残虐という従来の視方は確かに一面で正しいとしても、それは十字軍に代表されるように欧州(キリスト教)だってそう大差は無いし、それよりも広大な領土を支配し、その中で様々な民族が行き交うダイナミックさは狭い欧州には無いもので、惹き付けられるものがあるな。と、いうような状況でタイミングの良い事に上野の東京都美術館で『トプカプ宮殿の至宝展』が開催されているという事で行ってきた。こういう美術館、博物館の類は実に6年ぶり(推定)。高校時代迄は飽きる位行ってたんだが、大学以降はパッタリ足が止まってた。


 展示の目玉は巨大エメラルドを使ったターバン飾り、金の揺り篭、他豪華な宝飾品だったが、個人的にはスルタンの花押入り公式文書や武具類、肖像画の方が本で読んだ世界がリアルに現れている感じがして面白かった。どうも食器、家具といった生活用具は美術館、博物館に行っても昔からあまり興味が湧かない。スプーン、皿を見たってねぇ・・・。まぁもっと展示品は少ないと思っていたので、意外と展示スペースが広く、数・種類も多かったのは嬉しい誤算。展示には老若男女問わず結構人が多かったが、俺みたいに皆が歴史好きという訳でも無いはずだし、他にどういう理由で見に来るのか、それが少し不思議だったりもした。


 しかし暑かったわ。平日だったが、上野にはポケモンスタンプラリーに並ぶ親子連れが多く、休日みたいだった。子供の姿を見ると夏休みって実感が湧く。