これ程に試合前から痺れるのはいつ以来か

 この世代(85〜86年)に対する自分の印象というのはU−19の頃から今に至るまで基本的に、“不完全燃焼”―――この一語に尽きる。
 自分は所謂アテネ世代だが、松井、大久保、山瀬、前田等個々で優れたタレントはいても、全体的な技術水準は上の代より少し落ち、そして視野の広い、周りを巧く使う司令塔タイプが決定的に不足しているこの世代からしたら、今のU22は羨ましい程に人材が揃ってる。梶山、本田、家長、水野、柏木etcだが結果だけでなく内容も期待出来そうな面子が揃っているにも関らず、観ていていつももどかしさを感じずにはいられない。05年のU20W杯はまさに典型だった。GLの緒戦は開催国オランダに呑まれて2点先行された。だが平山のゴール以降は何度も同点のチャンスを作った。GLは結局2分1敗で未勝利。だが勝ち抜けた。決勝Tのモロッコ戦はとても内容が良かった。しかしカレンが決定機を外しまくった末に終了間際に決められて敗退。
 ・・・・・才能に乏しい世代ならばこの結果でも上出来だと思ってただろう。だが、開催国をあと一歩まで追い詰めたり、もっと上まで行けそうな予感を感じさせるプレーをしているだけにもっとやれるはず、という思いが消えなかった。そしてそれは監督が代わって五輪代表となってからも変わっていない。当初は大熊ロングボール戦術からよりボールを繋ぐスタイルになって、いよいよ真価が発揮されるだろうと思ったのだが・・・。


 仮に明日がこの世代最後の試合となれば、結局最後まで持てる力を発揮する事無く終わる事になってしまう。この世代に残された世代別大会は五輪のみ。ここで力を出し切らずに一体いつ出す?そもそも、そんな不完全燃焼のままで将来A代表を支え、W杯予選の修羅場を潜り抜ける事が出来るのか?もうやるなら今しかないだろ!はっきり言ってこんな所で躓いてる場合ではない。明日は非常に重要な1戦ではあるが、北京でこの世代の(個人、チーム両方の)潜在能力を開花させる為の1つの関門であり、通過点に過ぎないのだ。もう他会場は関係無いし、勝っても総得点を気にするような煩わしさも無くなった。勝てば突破、負ければ終わり。分かり易い話だ。もちろん、勝つ。