決勝を前にして

 ドイツは新しく生まれ変わったというより、これまで持っていてたものを取り戻した、という印象。12年前にEUROで優勝した辺りまでは、選手の質も高く、そのハイレベルな選手らがチームの為に一丸となって戦った点こそが強さの源だった訳だが、何時の間にか、“ハイレベル〜”云々よりも自己犠牲の面ばかりが強調されて戦術的にも時代に取り残され、後に続く世代が途絶えると一気に低迷してしまった。(このパターンは奇しくも岡田監督時代のマリノスにも当てはまる。)今では考えられないが、あの頃は4バックで戦う事が『革新的』だったと言えば、どれ位戦術に遅れを取ってたかが分かると思う。
 やっぱクリンスマンの功績は大きい。06年は頂点に届かなかったが、あの時経験を積んだ若い選手が今回中心になってるし、4人のラインディフェンスも完全に定着した。ポドルスキシュバインシュタイガー、ラームなどはまだ25にもなってないのに、既に代表50試合位のキャリアがあるから、今大会もプレッシャーに潰されずに活躍出来てる。(一方で後から台頭した同世代のゴメツは未だ経験が不足してたか。)
 その象徴が今大会のベストゴールだと個人的に思ってるポルトガル戦の先制点。ポドルスキが連続ワン・ツーで左サイドを突破し、グラウンダーのクロスを上げた先にシュバインシュタイガーが滑り込んでゴール。相手に囲まれながら連続ワン・ツーを決める技術、左サイドでDFを振り切った身体能力、そしてチャンスを嗅ぎ付けたら後ろからゴール前に一気に走り込む積極性――ドイツらしさが全て凝縮されたゴールだった。


 スペインもかなり強いけど、今のドイツなら勝てる。バラックは出場が微妙だそうだが、それでも。


■予想
ドイツ2−1スペイン