幻想を越えて

 ここに1つの幻想がある。それは普通であれば決して出会わないような様々な背景を持った人々が1つのキーワードのみを通して繋がり、年月を経ていつしかその結び付きは深められた、というとても美しい物語。だが、神話というものが部分的にせよ史実の反映であるのと同じ程度にある種の願望の反映であるとするならば、これもまたそう呼ぶべきものの1つではないかと思う。程度の差こそあれ、そうした神話を信ずる、あるいは少なくとも信しているように見える人々がそれと全く相反する行動を取る姿などこれまで数多く見てきたので、そうした偽善性――キツイ言い方をすれば――に対する醒めた視点と言うのもまた年月を重ねる毎に増大していったのも事実なのだった。
 だがほんの些細なきっかけから始まったこのフットサル等で人を集める事が多くなり、そしてそれがもう彼是2年半程続いた時にふと気が付いた。普段会えないような遠地から来てくれる友人、そして各種イベントに参加を表明してくれる友人がいる限りこの神話は存在するだろうし、そして少なくとも信じる努力を続けるべきである、と。