南アフリカW杯最終予選 日本×豪州(日産)


 息詰まる、という言葉通りの試合で、久々にホームでクオリティの高い内容だった。だが、試合の格、対戦相手、満員のスタジアム、これだけ条件が揃えば、選手が燃えて内容もそれに比例して高まるのはある意味当然でもあるのだ。で、こういうお互いの死力を尽くした試合でこそ、強味と同時に弱味もより明確になるのだろう。ゴール前での消極性と言う。以下雑感箇条書き。


◆長友は試合当初は腰が引けたプレー、消極的なミスを連発してたのだが、前半途中に相手と交錯して一時ピッチ外に出た後は吹っ切れたのか。見違える積極性。
◆松井は確かに交代した時間帯は試合から消えかけていたが、前半は中盤で積極的に仕掛けてたし、相手の当たりにも負けない強さも見せて何かやってくれるオーラを出していただけに非常に勿体無い交代だった。
◆その松井に代わって入った大久保だが、何となく前線と中盤の間を彷徨ってるだけで、役割がゴールなのか、チャンスメイクなのか、一体どんな指示を受けて入ったかさっぱり分からず。今はもう完全にFWでなく中盤の選手になり、視野などは広がったかもしれないが、逆に恐さが消えてしまった。
◆全体的に交代のタイミング、投入するカードがイマイチ。試合を支配して後は最後のフィニッシュだけだったのだから、もっと岡崎を早く入れて良かったと思うんだが。
◆MOPは中村だったが、中澤こそ相応しい。ケーヒルを完璧に封じただけでなく、1対1、空中戦、読みの鋭さ、全てが完璧で観てて感動的ですらあった。後半の終りの方でケーヒルがゴール前で抜け出しながら勝手にバランスを崩して倒れたシーンがあったが、あれだってそれまでに中澤が激しく潰して消耗させていたのが、原因の9割以上を占めてると思う。
◆これで予選4試合でホーム2分、アウェイ2勝。次はホームでバーレーン戦だが今度こそ勝点3を獲らねば。それにしても3月終わりに埼スタバーレーン戦とかまさにデジャヴとか言いようが無い。


 試合後にスタジアムを振り返ると、スタジアムの光と上空の月というなかなか絵になる光景が。このスタジアムの光は写真の様に青とも緑ともつかない独特の色彩で、闇夜と入り混じれば一種独特の雰囲気を醸し出す。静かに輝いている月とスタジアムが、この試合が終わった直後の静寂を表しているようにも。