ここ数ヶ月で海外サッカー本を2冊読んだ。選手個人ではなく、歴史、地域性に言及した本。
・ブンデスリーガ
・オレンジの呪縛
上記はそれぞれの国の記者が自国のサッカーについて論じたものだが、海外のこういう類の本を読む度にいつもその客観性に感嘆する。ドイツとオランダ、どちらもサッカー界では強国なのに、それを必要以上に持ち上げず、かと言って貶めることも無い。こういうアクの無さは、日本のサッカー本でよく見られる『暑苦しさ』―――著者が選手との関係を誇示したり、日本と海外の関係を掴み損なって必要以上に賞賛or貶めたり―――に普段接している者にはとても新鮮だ。
まぁ今日は別に感想文を書くつもりではないんで本題に。ブンデスリーガにおいて、著者はドイツ代表の100年の歴史の中で3つの偉大なチームが存在したとしている。
1.1937年:親善試合でデンマークを8−0で破ったチーム(ブレスラウのイレブン)
各地域の特徴をバランス良く備え、ドイツ代表としてのアイデンティティを確立したチーム。
2.1954年:スイスW杯で当時無敵のハンガリーを破って優勝したチーム。
敗戦国西ドイツ国民に勇気を与えた伝説のチーム。
3.1972年:史上初めてウェンブリーでイングランドを破り、その勢いで欧州選手権を制覇したチーム
ベッケンバウアーとネッツァーが共存した完全なチーム。
翻って日本の場合、そういったチームは過去あるだろうか?歴史を紐解けばメキシコ五輪銅メダルのチーム、ベルリン五輪でスウェーデンを破ったチーム、そして2002年のチームはそれに該当するかもしれない。ただ残念ながら前2つは生まれる前の出来事なので余り実感が湧かず、2002年も確かにその実績だけで判断すればそうなのだが、自分が観てきたこの15年ばかしを振り返るとより印象深いチームが存在する。それは
1.1993年ドーハのチーム
より正確には韓国戦。最終予選途中でそれまでのレギュラーから勝矢、北澤、長谷川が入って変則4−3−3。リードした後早く試合が終わってくれ思っていたが、不思議と負ける気はしなかった、のは薄っすら記憶にある。
2.1997年ジョホールバルのチーム
正確には11人+3人かな。スタメン+呂比須、城、岡野。試合内容そのものも、今視ても面白い。当時はそんな視ててそんな余裕全く無かったけど。
3.2000年アジアカップのチーム
あれ位個人と組織が融合したサッカーは無く、ナイジェリアワールドユースで見せたサッカーがついにA代表でも見られるようになったのかと興奮した。確か大会前は楢崎、中田(浩)の怪我、中田(英)の不参加でそれ程期待されてはいなかった気がする。それがいきなりサウジを4−1だからな。ウズベキスタンにも圧勝して、この時は北嶋がGKをドリブルで抜いてゴールを決めるくらい圧倒的だった。
4.2005年コンフェデ杯のチーム
特にギリシャ戦の圧倒的な内容は、例えギリシャがだらしなかったのを差し引いても衝撃的だった。まぁ山のように作ったチャンスをスタメン2トップが全部外したのだが、大黒のゴールは、久保が怪我で離脱した中、ついに中盤のパスをゴールに結び付けられるFWが見付かったと明るい未来を予感、させたのだが・・・。
そして時は流れ、オシム時代のエジプト戦〜スイス戦を見た時は久々にwktkした。このチームが熟成されれば2000年の様に個人と組織が高度に融合した、内容の伴ったサッカーがまた見れるかと。だが、残念ながらそれは叶わず、岡田時代に入って一気にチームの重心が後ろに下がってしまった。予選だから結果重視というのは、マリノス時代末期のサッカー―――結果を拾いに行って、結局勝ちきれない―――を知ってたらあながちそうとも言えなかったし。
けどもキリンカップの試合は全くそれまでと違った。相手云々ではなく流れるようなパス回し、ゴールに向かう積極性とかを観て、まだ完成ではないが、このまま行けばかなり面白いんじゃないかと国立のスタンドでそう思った。遠藤、中村(俊)、中村(憲)、長谷部の中盤なんて例の「黄金〜」よりも輝いてるように見えるのだが。
まぁそうは言ってもその真価はよりシビアな公式戦でこそ発揮すべきだし、発揮してこそ偉大なチームの資格を得られる訳で、ウズベク戦もそんな試合を期待したい。