BSドキュメンタリー

もう日付が変わってしまったが、ついさっきまでNHKBSを視ていた。


引き裂かれたイレブン 〜旧ユーゴのサッカー選手たち〜
(原題:The Last Yugoslavian Team)


 番組は87年ワールドユースで優勝した旧ユーゴU20代表から始まり、最後はそのメンバー達がクロアチアとユーゴに分かれてEURO2000の出場権を争う迄を描く。番組HPにあるプレビューはとても物悲しいトーンで書かれているが、実際番組のラストはBGMからしてそうだった。それ以外には余計なBGMも無く、インタビュー中心のシンプルな構成で50分があっと言う間に過ぎてしまった。

 
 結局ユーゴもセルビアモンテネグロに分裂し、クロアチアボスニアを含め旧ユーゴ圏の国々がW杯予選で健闘しているのを見ると、最終的にはこうなる運命だったし、それが最善の道だったのかもしれないという気にさせられる。ただ・・・丁度あの内戦と制裁で国際試合から遠ざかっていた時期にワールドクラスの選手達が何人も現れ、そして全盛期を迎えていたというのは何という皮肉だろうか。94年のアメリカW杯はハジのルーマニアストイチコフブルガリアといった民主化された東欧の国が躍進した大会だった。あの大会にもしハジやストイチコフに匹敵する選手を何人も揃えた国が参加していたら―――自分の様な者はどうしてもこの仮定を切り離す事が出来ない。それが例え単なる夢想だと頭では理解していたとしてもだ。


 番組の中で、上記の試合をTV観戦し、中継映像にクロアチア大統領トゥジマン(民族対立を煽った当事者の1人)が映った時のオシムの厳しい視線が印象に残っている。もし日本に居た間が90〜92年に経験したような異常な状況から解放され、サッカーに打ち込める環境であったなら、日本人としてこんなに嬉しい事は無い。


【追記】
上記のEURO2000予選クロアチア×ユーゴだが、こんな映像があった。これ程憎悪に満ちたブーイングというのは今まで聞いた事が無い。