メガクラブ経営の難しさ

 昨日から腿裏の付け根辺りが筋肉痛で歩くのが地味に辛いんだが、これは走ったり、蹴ったりとは違う“特殊な動き”のせいに違いない。それはそうと久々にサッカー本を読んだ。


ゴールは偶然の産物ではない/フェラン・ソリアーノ
 いつも思うのだが、こういうプロスポーツクラブ(チーム)の運営は一般企業より遥かに舵取りが難しい。単純に利益を伸ばせば良いという訳ではなく、利益が出たらその分投資(補強費)に回さないとチーム力は維持出来ず、またあまり目立たないがスタジアム・練習場・医療体制等ハード・ソフトへの投資も忘れてはならない。あまり投資に金を使い過ぎて財務体質が悪化しても良くないのだが、大概においてファン・メディアは健全な財務体質よりも勝利を望む。
 バルセロナから少し離れるが、丁度マカーイを取る前辺りのバイエルンがそうだった。健全な経営を心掛けてドイツでは無敵だったけど、CLではいつもプレミアやセリエA、リーガの、スターを揃え、同時に莫大な負債も抱えていたり、大富豪オーナーに大赤字を穴埋めして貰ってるクラブに負けていた。バイエルンからしたらこの世の不条理、『正直者が馬鹿を見る』心境だったかもしれないが、世の多くの人々はバイエルンよりも、スターを揃えたクラブに注目するのも事実なのだった。その後バイエルンは方針転換し、健全財政を維持しつつも大枚叩いてリベリやロッベンを取るようになったらすぐにCL決勝進出したのも中々興味深い。


 この本では03年からバルセロナの副会長だった筆者が、いかに前任者のデタラメな運営を近代化し、チーム力と財務体質を改善し、バルセロナというブランドを確立していったかを主題にしている。確かにこの本に出ているデータの時点ではバルサは紆余曲折はあったがチームはリーガとCLを制し、負債も徐々に減らしていく事に成功した。この本が出た後もグァルディオラが監督になって6冠達成、とチーム面では成功と言う他無いんだが、先日、昨シーズンの莫大な赤字を隠蔽していた事実が明らかになった。
 原因は色々あるのだろうが、08−09シーズンに3冠達成した際に選手に支払われたインセンティブの合計が60億に達したという記事を以前読んだんで、そういった支出の増加に収入が追いつかなくなった結果かと思う。丁度今夏に会長が変わったが、財務面からみたら、前会長就任当時に戻ってしまった訳だ。新会長のロセルは確かまだ40台半ばと若いが、前政権の途中まで副会長で、以前はナイキの南米担当だった人脈を生かしてロナウジーニョ獲得に貢献した人物。けども財務面は↑の通りで、チーム面も、アンリはともかくマルケスまでいなくなって、セスクも取れなさそう&レアルがモウリーニョ招聘で、リーガは昨季以上に厳しいだろうな。W杯に何人も送り込んだ反動で主力の疲れも考慮しないといけないし。反面そういう状況でもこの体制(会長&監督)なら何とか乗り切ってくれる安心感みたいなのも同時にあったりもする。今年はボージャンが(再)ブレイクすると予想。

 
 そんな感じで、現実と照らし合わせると、サッカークラブの、それもメガクラブの経営がいかに難しいかがよく分かる本。ただ難しいとは言え、進むべきはバイエルンであったり、この本で書かれた時点でのバルセロナであったりの手法だと思う。オーナーが毎期大赤字を補填しているようなクラブは、例え今栄華を極めていたとしても、ミラノ(の赤黒方面)に目を向ければその末路が見えてくると思うのだが。