色々と

 松田と言う選手はクラブを体現するという意味ではまさに象徴であるとは思う。良くも悪くも。30歳を過ぎてアンカーにポジション変更されても適応出来る位センスを持っている選手だけど、悪い時は気合が空回って独り勝手に暴走する。その激しさは傍から見ても伝わってくる選手だけど、ただどうも『闘将』という感じがしないんだよな。物凄いマニアックな例えだが項羽(最近司馬遼の「項羽と劉邦」を読み返してる。)のように、個人的な戦闘能力は高くて身近にいる者から畏怖はされるけど、大軍を率いて全土を平定する“将”の器じゃないというか。
 プロは結果で判断されるし、山瀬以外は今季の扱われ方や試合で見せたプレーから判断する限り妥当な判断とは思うんだが、この6年間毎年違う監督で開幕を迎えて、しかもまともな指導を受けられなかったのに結果で判断される選手には同情してしまう。
 ただ戦力外になった選手は移籍先では結構活躍するような気もする。戦力外になったのは年俸に成績が伴っていないから、というのが大義名分だろうけど、まともな指導者のいるクラブで能力に合った役割を与えられ、真面目に練習すれば、田中(隼)とか乾のように十分働ける。


 別にマリノスだけが生え抜きのベテランを切ってる訳では無くて、例えば鹿島もかつては秋田を戦力外にしたし、今年も清水が伊東や市川の放出を決めたりしている。なのにかつて井原や上野を戦力外にしたように、このクラブがいつも禍根を残すのは、フロントの伝え方が下手過ぎるのと、このチームが“クラブより先に選手が存在する”面も大きいのかな。昔(と言っても10年位前だが)川口、城が人気で彼らが去ると観客も減ったみたいに。


 
 今回の件を知った時、↑のシーンを思い出した。これは08年の最終節浦和×横浜M戦後の浦和のセレモニーだが、岡野と内館が『契約満了』という形で挨拶する場面。その時点で岡野は現役続行を希望し(移籍先未定)、内館も引退か続行か決めていない状況だったが(その後引退を決断)、こうやって2人は埼スタでスピーチする場を持ち、拍手とコレオグラフィーで見送られ、埼スタを後にした。まぁ試合自体はマリノスが6−1で勝って、2人の前に挨拶した社長には凄まじいブーイングが浴びせられたりもしたんだが(苦笑)、このクラブのそういう分かりやすさというかメリハリの付け方は羨ましい所だ。この違いは一体何なのか。