J1第21節 横浜M×川崎(三ツ沢)


 水曜に続いて三ツ沢での試合。何故このカードで三ツ沢なのかと日産の予定を見ると、全国小学生陸上競技交流大会なるイベントが土日で開催との事だった。こういう全国レベルの大会は1年以上前から決まっているだろうし、今季のJ日程とすり合わせたら(集客が見込めたという意味で)不幸にも川崎戦とバッティングしてしまったという事なんだろうな。
 
 試合は開始早々に登里のハンド(?)でマリノスがPKを得てこれをラフィーニャが決めて先制。マリノスは先手必勝のプランで最初からかなり飛ばしていたのだが、それが思わぬ形で実った。やはり後から振り返ってもこの先制は大きかったと思う。しかも前半半ば過ぎには登里が2枚目のイエローで退場し、益々マリノス有利に。
 これが昨年までなら相手の攻撃を抑えつつ、セットプレーなど要所で攻勢に出ながら危な気なく1−0、もしくは2−0で終了といった展開だったが、川崎は1人少ないのを全く感じさせないボール回しでマリノスを攻める。『人もボールも動く』サッカーというのは様々なチーム、監督標榜する1つの形だが、それをまさに具現化したとでも言うか。個人的に(パスが目的化せずゴールに結びついているという意味で)パス回しの上手いチームはヘディングも丁寧という印象がある。昔の西野ガンバもそうだったが、こういうチームは相手のゴールキックやロングボールを闇雲に撥ね返さず、可能な限り近くの味方がトラップしやすいように頭で上手くコントロールする。後は右サイドにいた森谷がなかなかの突破力を見せていたのも印象的だった。中盤中央の選手と言う印象が強く、対面の下平を振り切りながらサイドを駆け上がるプレーがとても意外だった。マリノスに残っていればこの様な隠れた才能も開花せず今の端戸や佐藤のような状況に陥っているであろう事を考えれば、移籍は正解だった。
 それでも後半半ば過ぎに川崎守備の乱れを突いて兵藤が追加点を奪い、結果2−0でマリノスが勝利したのはチーム全体の激しさが川崎のパスを上回ったからだろう。特に小椋は自分の特長とチームの方向性が上手く噛み合って素晴らしいプレーだった。繋ぐサッカーを志向するとこの人の持ち味は消されるのだが、今日の様なサッカーなら活きる。
 
 この様に、とても中位を彷徨うチームには思えない好内容での勝利となった訳だが、上位相手に素晴らしい内容で勝利&中位・下位相手に結果を出せず、というのは過去10年中位に停滞していた時によく見られた光景だった。今季もここまで8勝6分7敗と勝ったり負けたり引き分けたりをほぼ同回数繰り返している。残り13試合でどうなるか。

 さて、この試合は神戸戦に続いて横浜までバスを利用したのだが、その間に例の事件があった事を友人から知らされた。差別問題は勿論だが、これを契機にマリノスサポでここ数年支配的になっている(と個人的に感じている)妙な上から目線とでも言うか、主に道徳的な観点からの優位性に対する盲信が変わればと思う。何故かここのクラブの人々は自分達を絶対的な善と見做しているような所があって、それが他クラブへの非難、指弾への根拠としている節がある。別にこのクラブだけが清廉潔白でこの20年何も問題を起こさなかった訳でもあるまいに、何故かそう思われている。
 浦和の件の後、マリノスがその件に関する横断幕を出したのはACLの広州戦だったか。見事なブーメランとなった訳だが、当時は『横浜は港町で多様な文化を受け入れて外国人差別など無い』云々を得意気に語る人がネットで多かったが、同じ日本のクラブ、しかもある一定数以上のファンがいるクラブであれば何処でも、一定の割合でこのような馬鹿な事をする人間が存在する。決して自分達は清く正しいクラブだから無関係、ではない。