U19代表がアジアユースの準々決勝でPKによって敗退した。これで今年はU16、U21を加えた3世代全てがアジアベスト8止まり。U16とU19については来年の世界大会予選(ベスト4以上で出場)も兼ねていた為、どちらも敗退という結果になった。調べたら両世代共に世界大会を逃すのは91年以来と言う事でJリーグ発足後では初。
今日の試合は後半の後半からしか視てないのだが、U21同様に「巧いが、怖くない」プレーだった。特にトラップ技術は本当に巧いのだが、あまりに綺麗に崩そうとし過ぎて、またシュート意識も精度も低くて攻撃に全く迫力が無い。
思うに技術偏重でフィジカルとかパワーの要素を避けてきたツケが回ってきたかな。この20年ボール扱いとか個人戦術とかは伸びてきたと思うが、点を取るために相手より一歩先に出る早さとか、相手のFWを1対1で止め切る強さだとかが世代別代表で重視されてこなかったように思う。実際は日本が世界大会で結果を出す時はそういった要素が必要であるにもかかわらず。
吉武U17代表が良くも悪くもその技術重視の典型。この人は珍しく3世代連続でU17世代の代表を率いているのだが、成績は
94年世代(2011U17W杯ベスト8)
96年世代(2013U17W杯ベスト16)
98年世代(2014アジアユースベスト8(2015U17W杯予選敗退))
と徐々に下降している。そして世代が下がる毎に身長160cm台の小柄な、ボール扱いの巧い選手が増えていて、インタビューを読む限り監督の理想に近くなっているようだ。おそらくこの人にとってGKを含めた11人全員がゲームメーカーに成り得るようなポゼッションサッカーで相手を圧するのが理想なのだろう。
ただ実際はそういった選手達によって確かにポゼッションは高まって美しいサッカーを披露し、シュートチャンスも数多く作り出すのだが、最後のフィニッシュ精度が低く、完璧に崩しきらないと点が入らないケースが多い。96年世代などは特にそうで、U17W杯の決勝T1回戦では数多の決定機を作り出しながら、シュートになると枠にすら行かなかったり、強さに欠けたキックだったりで結局1点しか取れず敗退した。敗れた相手(スウェーデン)が最終的に3位になった事を考えれば非常に勿体無い敗戦だった。
更に言うと、こうした小柄なテクニシャンはU17ならまだ良いが歳を重ねるとどうなるか、そしてこの吉武サッカー以外で生き残れるのかという問題が。94世代は今年20歳を迎えるが、Jや上の世代の代表で台頭しているのは植田、岩波、鈴木武蔵といった体格のある選手ばかりで、彼らに比べて小柄な南野も170cm台半ばはある。石毛や喜田といった選手はそれなりにクラブで試合に出ていたり、上の世代の代表に呼ばれたりしているが、U17の頃ほど試合で存在感を発揮出来てはいない。余程ずば抜けた技術がないと、今後J1でレギュラーとしてやっていくのも厳しいかもしれない。
このような結果に終わった今こそ従来のやり方を変えるチャンスでもある訳だが、おそらく今後は技術だけでなく、体格のある選手のスカウティングが重要になってくる事と思う。以前友人と飲んだ時に(その友人はバスケプレーヤー)、体格の良い選手は大概野球に流れるという話を聞いた事があった。これまでサッカーは小柄な子でも活躍出来るというのが普及の助けになっていた面はあったと思うし、他競技との住み分けにもなっていたと思うが、今後は他競技との競合も起こり得るくらいの変革が必要になって来るだろう。
※追記
書いた後で思い出したのだが、現在ドルトムントにいる丸岡も小柄な選手だが、ドイツでは上手くやれている。日本にいる同世代の同じ位の体格の選手に比べて体幹の違いとでも言うか、体つきがしっかりしている。ちなみにこの選手は96年生まれでこのU19世代なのだが、こういう所にも変革のヒントはある気がする。