J1第30節 横浜M×鹿島(日産)


 ここ最近晴天というものを見ていない。今日も雨、しかも最後の大トリというかラスボス的に台風まで接近中という中での試合。しかもそういう日に限って横浜線が人身事故で遅れるなど大分スケジュールを狂わされた。この試合は新横浜パフォーマンスという新横浜エリアのイベントも同時開催され、東ゲートには普段よりもスタグルが並ぶのだが、今日は小机経由で行ったので行けず仕舞だった。ただこういう天候でも利点はあって、雲が厚いのでスタジアムから出る照明が雲に反射して光が一層際立つようになる。

 マリノスは久々に伊藤がスタメンで下平が右SBという珍しい布陣だったが、これは負傷者の多さに加えて来週水曜の天皇杯を見据えたのだろうな。監督が開幕前に掲げた「ACL出場、カップ戦タイトル獲得」の為には現時点でリーグ3位、天皇杯優勝が具体的な目標となるが、この2連戦は、3位以下が団子で同じくACLを狙うC大阪とはホームでの直接対決を残しているリーグ戦よりも、一発勝負のカップ戦に注力という判断だったのだろう。対する鹿島はベストメンバー。スタメンも勿論だがベンチに永木、小笠原、遠藤、土居、鈴木(優)がいる層の厚さが目を引いた。
 で、試合は前半15分でマリノスが2-0という予想外の展開になった。まず開始3分でCKから伊藤がゴール、そしてその10分後に植田のミスから天野がボールをカットしてシュートという。鹿島は普段とはかなり異なるマリノスの布陣にどう対応するか様子見のつもりがいきなり失点して浮き足立ったのだろうか。ただ2点を先行された後はさすがだった。普通早々に2点も取られたらまず1点取り返そうと普段よりも前掛かりになって、その分カウンターで更に失点するリスクも高まるのだが、鹿島は慌てずいつも通りのリズムでボールを支配しながら押し込んで行く。急がば回れというが、普段通りのサッカーを続ける事がまず1点、その先の同点、逆転への近道だと分かっているのだろう。この状況でそれを実践出来るチームはそう無い。ただ、最後の一線でマリノス守備陣は身体を張ってシュートをブロックし、またエリア内でマリノスがミスをしてもそれを鹿島が活かせず終わるシーンもあり、今日は運が向いているかなとは思った。
 だが、あれはもう少しで前半45分に差し掛かろうかという時間だったが、天野が痛んで倒れたが主審の笛は鳴らず、鹿島はそのままプレーを続けたシーンがあった。笛が鳴っていない以上何も問題は無いのだが、スタンドからはブーイングは収まらず、これによりスタンドやピッチ上のマリノスの選手達は「ボールを外に出さない鹿島」に意識が行って、目の前の鹿島の攻撃(への対処)には100%集中出来ていない瞬間が生まれた。そういう中でボールは外に出たのだが、これがまた絶妙で、ゴールライン際でマリノスの選手にボールが当たって出た、つまり鹿島のCKに。そしてそのCKから山本が決めて2-1。前半に1点返した為、これでまた試合は分からなくなったが、状況的に鹿島にしっかり対処してクリアでもしておけば防げたCKだけにブーイングを含め不要な失点だった。
 後半が始まると鹿島は一気に同点を狙って押し込んで行く。2-0とした時は鹿島の攻撃をクリアするだけで大歓声だったスタンドも後半10分を過ぎる頃になるとその勢いは失われ、あまりに一方的な展開に不安感というか同点への恐怖が勝り始めたように思う。そして後半20分、鹿島のCK時にバブンスキーに替えて扇原を投入し、喜田、中町と3センターにでもするのかと思っていたらそのCKから植田が合わせて2-2。前半のミスを挽回する形だったが、家に帰ってからリプレイを見たら中澤に競り勝ってのゴールだった。

 これで試合はまた振り出しに戻った訳だが、内容、展開共に3点目が生まれるならそれは鹿島だと理性では判断していても、負けるイメージはあまりなかった。前節のエントリーで今季のマリノスは先制されたら圧倒的に戦績が悪い旨を書いたが、一方で先制すれば無敗でもあり、途中追い付かれても前々節のガンバ戦の様に突き放して勝点3を得たりする。あとこれは余談だが新横浜パフォーマンスの日の試合は勝率が良いらしい(笑)だからこのまま2-2、あるいはワンチャンで3-2かなと思っていたのだが、後半30分頃にエリア内でパスを受けた遠藤が決めて3-2と。この選手はガンバ戦、そして今日と何故かポジションとは違う場所に出没してゴールを陥れる。正直与えられたチャンスの多さの割に伸びていない印象があり、それは足の速さがゴールにどう繋がるのか見えないというのが大きいが、これまで決めた2点の様に「サイドアタッカーだがトップ下の選手の様にエリア内に走り込んで点を決める」という自分の“形”を確立出来れば成長は加速するのではないかと思う。結局の所、攻撃のポジションで良い選手というのは得点に絡める回数、頻度で決まる訳だし。ただ試合後のインタビューでのキョドり具合を見ると大丈夫かいなと不安感が勝るのだが(苦笑)

 その後は鹿島が同点狙いで攻勢に出て、レオ・シルバ(今日も見事なゲームメイクを見せてくれた)のミドルを飯倉がセーブというシーンもあったが凌いで試合終了。これでマリノスは3位浮上で、モンバエルツとしては賭けに勝った形かな。ただそれは来週水曜に勝ってこそ、ではあるが。鹿島はこれで2位と勝点2差になったが、最終的には優勝するだろうと思う。川崎は浦和のACL決勝進出で33節浦和戦が11/29(水)になり、最終節は中2日で戦わないといけなくなったのは痛い。ただ鹿島は今日の敗戦でリーグ8敗目(マリノスは7敗)というのは意外であると同時に、今日や28節鳥栖戦の様にアウェイで負ける事が多いのを踏まえると、最終節はアウェイ磐田戦なので何かが起きるかもしれない。例えば2013年のように。

 間違いなく今季ベスト3に入る試合。珍しく同世代男3人での観戦だったが、何気ない会話からも色々得るものはあって楽しい時間だった。