ACL決勝第2戦 浦和×アル・ヒラル(埼スタ)


 友人がチケを取ってくれてこの試合に行く事になった。埼スタに行く時は目黒線南北線埼玉高速鉄道の直通を使えばそのまま浦和美園まで運んでくれるが、目黒から1時間以上地下に潜っているのはどうも退屈なので最近は王子まで京浜東北を使ったりしている。今日は上野東京ラインを使って更に北にある赤羽まで行き、そこから赤羽岩淵駅まで10分弱歩くルートにした。これだと地下鉄は20分程だし、赤羽は大きな駅なので飲料、食料等調達するのにも便利。

 現地に着いたのは18時頃だったが、雰囲気は04年のCSを思い起こさせた。あの試合から今日までに埼スタの浦和戦は(主にマリノス戦で)何度も行っているが、やはりタイトルの掛かった緊張感はそれだけで空気を変えるものだな。(10年前のACL決勝も行っているのだが、あの時は着いたのが前半15分頃だったので試合前の様子は分からず。)
 第1戦はハイライトを視た程度だが、5分程度の編集で相手の決定機が何度も続いていたのを考えると、アウェイでゴールを奪っての引き分けは上出来以上の結果。ただ相手がかなりのレベルにあるのも事実なので、第2戦はどちらが先制するかで勝負が決まると思っていた。浦和が先制すればそのまま逃げ切りそうだし、アルヒラルが先制したら2点目も奪って一気に逆転もあるなと。そうして試合が始まったのだが、やはりアルヒラルは個々のレベルが高い上にボールを繋いで来るチームだったが、浦和も前から複数人でボールに寄せて奪いカウンターを伺い、最終ラインもよく耐えて相手にゴール近くまで侵入されても決定機は作らせない。阿部は上背は無いが読みと安定したフィードで浦和の最終ラインに安定感をもたらしていたが、槙野はトラップが大きくなって相手に奪われたり相手FWハルビン(シリア代表)にハイボールで競り負けるシーンも散見された。代表ではCBのレギュラーに近付きつつあるようだが、やっぱこの点が不安なんだよなぁ。相手に今日みたいな大きなFWがいる場合、W杯では必ず(吉田では無く)槙野に当ててくるだろうが、その時耐え切れるかっていう。お互いチャンスは1、2度あり、0-0で前半終了。
 後半は開始からアルヒラルが1点を獲りに押し込んできた。浦和はクリアしてもすぐ拾われるので波状攻撃を食らう形になったが、20分程経つと徐々にカウンターでアルヒラルゴール前に近付くシーンが見られる様になった。ミシャ時代ならここまでで失点していただろうが、堀氏になってから耐えるべき時に耐えられるのが大きな違いかと思う。ただカウンターと言っても散発的で相手GKが仕事をするようなシーンは無かったが、一度エリアすぐ外からのFKを頭で合わせたがこれはアルヒラルGKがセービングし、こぼれを強く押し込んでも1点物だったのだがミートせずGKがキャッチというシーンがあった。これを決めきれないと逆に相手に決定機が生まれたりするんだよなと思っていたのだが、どうやらアルヒラルは終盤になるにつれて集中力を切らし始めたようでこの辺りから無用なファールが増え始め、残り15分を切る頃に中盤の選手が2枚目の警告で退場。この時間帯はアルヒラルへの警告が続いたのだがどれもアフターで妥当な判定。今日の主審はあのイルマトフだったが、そこはさすがだった。
 相手が自滅し始めたのでこのまま0-0で逃げ切るのも手だなと思っていたのだが、後半40分過ぎに縦パスに上手く身体を入れて相手をかわして抜け出したR・シルバが強烈な一発を決めて浦和が先制した。あの場面、グラウンダーで左右の隅を狙うかと思っていたら、ゴール上隅とは。少しでも力んだりミートがずれたら枠上に飛んで行くシュートだったが、あの場面でああいうのを撃つ(撃てる)のがストライカーなのだろう。この選手は最初は左サイドに位置していて(興梠が中央)、ゴールから遠い位置では折角の得点感覚が勿体無いなと思っていたのだが、後半途中から中央に入ったのが奏功した形。その数分前には左SBの宇賀神に替えてマウリシオを入れ、槙野を左SBにしたが、これらの配置変更は堀氏の采配の上手さだったと思う。槙野も中央でハイボール勝負だと厳しいがサイドでならその守備力が活きる。アディショナルタイムにはアルヒラルベンチ前で浦和の選手がファールを受けたのをきっかけに両チーム揉み合うシーンもあったが、アルヒラルは完全に集中が切れた状態だった。そして試合が終わり、浦和が優勝と。

 準決勝を見た時に思ったが(そう言えば準決勝、決勝共に第1戦アウェイで1-1、第2戦ホームで1-0だった)、これほど手堅い浦和はそれこそ10年前にACL優勝したチーム以来ではないかと思う。またスタンドの雰囲気も04年CSを想起させると書いたが、コレオのレベルやゴール裏の声量だけでなく、バクスタの声量や、優勝を決めた試合後に再びコレオを掲げる機転等、浦和サポのサッカーに対する感度の高さもまた実感した。
 思えば10年前の決勝も今日と同じ友人からチケがあるとの連絡が来て行ったのだった。10年経ってまたこうした機会をくれた事に感謝。