年間表彰2017(前編)

 毎年この時期は慌ただしいものだが、特に今年は仕事で年末納期のプロジェクトがあり例年以上に時間に追われる日々だった。それも今日で一区切り付いたのでようやくこれを書ける(笑)例年通りまずはMVP以外の各賞を発表。
 
■年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

2005年:バーレーン戦(○1-0/2005.6.3/ドイツW杯予選@マナマ)
2006年:サウジアラビア戦(○3-1/2006.11.15/アジアカップ予選@札幌)
2007年:豪州戦(△1-1(4PK2)/2007.7.21/アジアカップハノイ
2008年:カタール戦(○3-0/2008.11.19/南アW杯予選@ドーハ)
2009年:ベルギー戦(○4-0/2009.5.31/キリンカップ@東京)
2010年:デンマーク戦(○3-1/2010.6.24/南アW杯@ルステンブルク
2011年:韓国戦(○3-0/2011.8.10/親善試合@札幌)
2012年:オマーン戦(○3-0/2012.6.3/ブラジルW杯予選@さいたま)
2013年:ベルギー戦(○3-2/2013.11.19/親善試合@ブリュッセル
2014年:豪州戦(○2-1/2014.11.18/親善試合@大阪)
2015年:パレスチナ戦(○4-0/2015.1.14/アジアカップニューキャッスル
2016年:サウジアラビア戦(○2-1/2016.11.15/ロシアW杯最終予選@さいたま)

1位:豪州戦(○2-0/2017.8.31/ロシアW杯最終予選@さいたま)
2位:UAE戦(○2-0/2017.3.23/ロシアW杯最終予選@アルアイン
3位:中国戦(○2-1/2017.12.12/EAFF E-1サッカー選手権@調布)
 今年A代表は13戦6勝3分4敗。ベストはやはりW杯出場を決めた試合だな。浅野、井手口という若い2人がゴールを決めて、豪州相手に結果、内容共に文句なし。次点は3月のアウェイUAE戦。この時点ではサウジ、豪州、UAEとの4チームが競っていた中でUAEをまず蹴落とす事が出来た点で重要な試合だった。
 3位は選びにくいというか、勝った試合でも内容がイマイチなのばかりなのだが(4-0で勝った予選タイ戦(ホーム)も相手に何度も決定機を作られていた)、強いて言えばこの前の大会の中国戦は急造チームの中で前半よく我慢して後半に勝負を決めたという点で選出。

■年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

2008年:バーレーン戦(●0-1/2008.3.26/南アフリカW杯予選@マナマ)
2009年:バーレーン戦(●0-1/2009.1.28/アジアカップ予選@マナマ)
2010年:韓国戦(●0-2/2010.5.24/親善試合@さいたま)
2011年:北朝鮮戦(●0-1/2011.11.15/南アW杯予選@平壌
2012年:ウズベキスタン戦(●0-1/2012.2.29/ブラジルW杯予選@豊田)
2013年:ブルガリア戦(●0-2/2013.05.30/親善試合@豊田)
2014年:ブラジル戦(●0-4/2014.10.14/親善試合@シンガポール
2015年:北朝鮮戦(●1-2/2015.8.2/東アジアカップ武漢
2016年:UAE戦(●1-2/2016.9.2/ロシアW杯最終予選@さいたま)

1位:韓国戦(●1-4/2017.12.16/EAFF E-1選手権@調布)
 12月初旬から今年の試合を振り返っていたのだが、その時点で敗戦は3試合あった。サウジ戦、ベルギー戦は内容も芳しくなかったがそれでもアウェイで0-1だし、むしろホームで2点差を一度逆転されたハイチ戦(最後に追い付いて△3-3)の方が酷かったとも思った。ただやはり11月のブラジル戦かな、と思っていた所に、最後に断トツの試合が。いくら相手より経験不足だろうが、ホームでこの相手にああいう試合をしては駄目だ。
 
■年間ベストゴール
※過去の受賞ゴール

2005年:中村(俊)(ブラジル戦(コンフェデ杯)同点ミドル)
2006年:玉田(ブラジル戦(ドイツW杯)先制点)
2007年:山瀬(カメルーン戦(親善試合)決勝ミドル)
2008年:玉田(カタール戦(南アW杯予選)ミドル)
2009年:中村(俊)(バーレーン戦(南アW杯予選)FK)
2010年:本田(デンマーク戦(南アW杯GL)FK)
2011年:李 (豪州戦(アジアカップ決勝)決勝ゴール)
2012年:本田(オマーン戦(ブラジルW杯予選)先制ゴール)
2013年:本田(オランダ戦(親善試合))
2014年:岡崎(豪州戦(親善試合)バックヒールゴール)
2015年:柴崎(UAE戦(アジアカップ準々決勝)同点ミドル)
2016年:山口(イラク戦(ロシアW杯予選)決勝ミドル)

1位:井手口(豪州戦2点目)
2位:昌子(中国戦2点目)
3位:井手口北朝鮮戦決勝点)
4位:岡崎(タイ戦2点目)
5位:香川(タイ戦先制点)
 今年は豪州戦の井手口のミドルだな。W杯行きをほぼ決めた重要性とゴールそのものの豪快さで決まり。3位にも先日の北朝鮮戦での決勝点を選んだが、このゴールもバウンド直後のボールを正確にミートしてエリア外から枠内に飛ばしてる点でなかなかハイレベルなゴール。この選手はミドルが本当に上手い。思えば日産スタジアムマリノス戦でミドル2発を決めたのは去年だったか・・・。月並みだが、代表で見せるプレーというのは普段クラブで見せているものだし、代表でクラブでのプレーを見せる事が出来る選手は相応のレベルにあるという事でもあるな。
 2位は昌子の代表戦ではなかなかお目にかかれないロングシュート、4位、5位はタイ戦からで、岡崎のはクロスに体ごと飛び込んでゴールに突き刺すヘッド、香川のはゴール前で俊敏に動いて相手をかわしてシュートに持ち込むという、いずれも両選手の良さが出たゴールだったので。

■年間最優秀若手選手(U-20)
※対象は1997/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

2006年:本田(2位:西川)
2007年:安田(2位:香川、3位:内田)
2008年:金崎(2位:内田、3位:香川)
2009年:米本(2位:香川、3位:権田)
2010年:宇佐美(2位:酒井(高)、3位:小野)
2011年:久保(2位:指宿、3位:扇原)
2012年:柴崎(2位:石毛、3位:小野)
2013年:南野(2位:久保、3位:大島)
2014年:植田(2位:岩波、3位:室屋)
2015年:南野(2位:関根、3位:中村)
2016年:井手口(2位:鈴木(優)、3位:中山)

1位:堂安(G大阪→フローニンゲン
2位:中山(柏)
3位:前田(水戸)
 今年はU20代表が10年ぶりにW杯に出たのでその効果があるかと思ったのだが、思ったほどでも無かったというのが正直なところ。特に攻撃陣はJ1で試合に出ている選手が多い割にクラブでもU20でもインパクトを残した選手は少なかった。その中で数少ない例外が堂安だったかな。ガンバでも移籍前までにリーグで3点取って、オランダでもほぼ試合に出てここまでリーグ3ゴール。ただこの手のタイプのアタッカー、かつ今のエールディビジのレベルならリーグで年間5~6点では物足りず、12~3点取れる域に達しないとステップアップは難しいように思う。まだ19歳で東京五輪世代(海外組なのでもしかしたら五輪本番は招集出来ないかもしれないが)だし、来年は更にスケールアップして欲しい。2位の中山はCBというポジションでJ1でシーズン通してポジションを守った点を評価。その他J1では15~20試合に出た選手は多いのだが(マリノスの遠藤、ガンバの初瀬、神戸の藤谷、新潟の原など)、決め手に欠ける中で、24試合出場して4ゴールを挙げた鳥栖の田川、J2に目を向けると福岡の冨安と水戸の前田の活躍が目を引いた。甲乙付け難いが、田川は99年生まれ、冨安は98年生まれで来年以降受賞のチャンスがあるので、ここは97年生まれの前田に。スピードが特徴で永井と浅野を足して2で割った様な選手だが、4月に水戸の試合を観た時はCKから頭で決めていた。来季は松本にレンタルバックのようだが、この選手も東京五輪世代で来月のAFCU23選手権にも選ばれているので頑張って欲しい。

■最優秀監督
※過去の受賞者

2009年:手倉森(2位:城福、3位:小林)
2010年:岡田(2位:小林、3位:関塚)
2011年:佐々木(2位:手倉森、3位:吉武)
2012年:森保(2位:手倉森、3位:吉武)
2013年:森保(2位:吉武、3位:小林、4位:高木、5位:風間)
2014年:長谷川(2位:城福、3位:反町、4位:石崎、5位:柱谷)
2015年:森保(2位:佐々木、3位:井原、4位:長谷川、5位:石井)
2016年:石井(2位:渋谷、3位:風間、4位:小林、5位:森山)

1位:鬼木(川崎)
2位:高木(長崎)
3位:名波(磐田)
4位:下平(柏)
5位:渡邊(仙台)
 一応この賞の趣旨は「最優秀監督に優勝監督が自動的に選ばれる風潮に一石を投じ、中堅クラブを躍進させたり、戦力値以上の結果を残した監督を表彰する」なのだが、12年からずっとJ1優勝監督を選び続けているという(苦笑)そんな中で今年もやはり初の監督業でいきなりクラブに初タイトルをもたらしたら鬼木氏しかいないよなぁ。川崎は理想を追求する監督でベースを作って、そのサッカーを知る後任が(主に守備面を修正しつつ)それを継承・発展させてタイトルを獲る点でミシャ→森保の広島に似ている。
 2位は長崎を自動昇格させた高木氏で、3位、4位はJ1で上位進出した2人。5位は迷ったが、仙台は12位ながらボール回しの質が高く、そのインパクトで渡邉氏に。マリノスもリーグで2戦2分だったが、内容的には2試合とも圧倒された。
 選んだ5人を振り返ると、90年代~00年代初頭にJで活躍した選手ばかりだな。ただ代表の主力だった高木氏、名波氏の様な人もいれば、そうではない人もいて、プロ選手経験のある監督と言ってもそのキャリアは様々だと実感する。日本だと若くして現役引退して指導者の道に入った人(元ドルトムントのトーマス・トゥヘルなど)がJ1監督になる可能性は(S級ライセンス取得も含め)ハードルが高いが、J2発足からそろそろ20年が経つ事だし、例えばドイツのユルゲン・クロップリバプール)の様な現役時代は2部が主戦場で1部でのプレー経験が無いJ1監督が現れる可能性は結構あるのではないかと思う。

 後編は明日に。