各クラブタイトル獲得数について

 正月以降の長い観戦無し生活も、1月下旬の新シーズン日程発表、そして2月に入ってようやく終わりが見えつつあるが、開幕までの場繋ぎのネタをば(笑)今回は日本サッカーにおける各クラブタイトル獲得数について。
 元々は去年のルヴァン杯セレッソが優勝した時、ふとプロ化以降では初タイトルだがヤンマー時代から通算すれば結構タイトル獲ってるんじゃないかと思ったのが発端。J発足後なら鹿島が断トツのタイトル数だが、アマ(日本リーグ)時代から通算すればまた違う結果になるんじゃないかなと。普段は基本的にプロ化以降のタイトル数が意識されているが、セレッソ天皇杯優勝を伝えるニュースで「前身のヤンマー時代以来43大会振りの優勝」という表現があったり、たまにこうしたアマ時代との繋がりが顔を覗かせる。

 それで色々調べてみたのだが、現在のルヴァン杯に相当する大会(リーグ杯)が日本リーグ時代に「JSL杯」という名で開催されていた事や、シーズン前のスーパー杯(前季のリーグ王者と天皇杯王者が対戦)も80年代から開催されていたのが分かった。日本リーグ→Jリーグで選手や監督、フロント等の“人”がそっくり入れ替わった訳ではないのでアマ時代とある程度の連続性はあるのは認識していたが、こうした大会にも繋がりがあるとは知らなかった。
 以下に通算タイトル数を。順位はリーグ優勝回数>天皇杯優勝回数>リーグ杯優勝回数で算出。補足としてACL(旧アジアクラブ選手権)の優勝回数も記載した。太字はJのオリ10。

 現時点で最もリーグ優勝したクラブは鹿島(住友金属)と広島(東洋工業)が8回で並んでいる。というか日本リーグ時代を合算しても鹿島がリーグ優勝回数トップ(タイ)という事実に驚くのだが。この表にある全てのタイトルを合算した数でも1位だし、プロ化以降の約25年でどんだけ勝ち続けてきたのかっていう(笑)広島がここまで優勝回数が多かったのは意外だったが、アマ時代のタイトルは1965~70年の日本リーグ初期に集中しており、そういう意味では2010年以降の3度のリーグタイトル獲得は古豪復活という位置付けになるかな。
 この記録を調べるきっかけとなったセレッソだが、やはり日本リーグ時代はタイトルを重ねている。ガンバとの比較では表にあるタイトル数の合計でセレッソ13(リーグ4、天皇杯4、リーグ杯4、スーパー杯1)、ガンバ12(リーグ2、天皇杯5、リーグ杯2、スーパー杯2、ACL1)と17年シーズンのカップ戦2冠によってガンバを抜いた形。

 全体的には突出したクラブが無いのも特徴的ではあるな。日本リーグ(1965年~)時代から通算しても約半世紀と、欧州のリーグに比べれば歴史は短いという事情はあるが、リーグも天皇杯も最多優勝回数が二桁に届いてない。ドイツのバイエルン、イタリアのユベントス、スペインのR・マドリーといったチームはそれぞれのリーグで最多優勝を誇るが、過去50年に限定してもその回数は二桁(3クラブとも1965年以降20回以上優勝している)に達するのを考えれば日本の均衡ぶりが良く分かる。天皇杯でも最も優勝しているJクラブはマリノス(7回)だが、この大会の最多優勝チームは慶應大(9回)で2位タイに関西学院大(7回)が入っているなど、日本リーグ以前のサッカー界での大学勢の存在感が未だ残っている。昨季は川崎が日本リーグ時代を通じて初のメジャータイトルを獲得し、今季もかなりの即戦力を補強したが、だからといって特定のチームが長期(ここでは5年以上としておく)に渡って覇権を握るとは考えにくい。上の表の上位10クラブの内、7クラブがこの10年の間に降格を経験し、J1に留まっている3クラブ(鹿島、横浜M、浦和)も一度は中位に低迷している。ただ鹿島だけは唯一二桁順位だったシーズンにもナビスコ杯を獲っており、安定感という点では突出している。継続的に成功するクラブが少ないというのは、クラブ経営の点で課題があるとも言えるが、この浮き沈みの激しさがJの面白さではないかとも思う。特定のクラブ(酷い時は1クラブ)に支配されたリーグよりかは余程いい。今季も予想を裏切る展開に期待。