2018シーズン展望(後編)

 今回は運営、経営面について。
 昨日書いた様にチーム作りにおける今のマリノスの戦略はとても理に適っているし、端から見ていて興味深いのだが、それと集客はまた別の話であるとも思う。「明確なコンセプトの下、それに適した選手を配置する。」、「補強は若く伸びしろのある選手を中心に。」・・・全くもって“正しい”とは思うがそれが集客に繋がるかはまた別だし、まずもって“正しさ”とは常に相対的なものだ。(更に言えばここ数年特にマリノスサポに顕著に見られるようになった“正義”への盲信とでも言うか、正しさを絶対視する風潮は相容れないものがある。)

 (自分も含め)年チケを買っているような人なら誰がプレーしてもどんなサッカーでも基本的にはスタジアムに行くだろう。去年の日産スタジアムでの最少観客数は神戸戦の16,673人だったが、この試合は「日曜夕方開催」、「雨予報(結局降らずに済んだ)」という条件が重なったものだった。逆に言えばこれだけ悪条件が重なっても来る人はアウェイサポを除いて15,000人程度いることになり、これがマリノスの「コア層」の数に近いかと思う。この数で三ツ沢は埋まる。だが問題は日産スタジアムも埋めるにはそうした常連組の数倍の人に来て貰う必要があると言う事。「今度の土曜は日産スタジアムでサッカーの試合あるみたいだから一度観に行ってみようか。」という層に対して↑のような“正しさ”が伝わるのかという話。自分を振り返っても観に行き始めたり、好きになるきっかけは「地元だから」、「代表で見て好きになった選手がいるチームだから」とかそんな感じで、「このチームは明確なコンセプトの下で運営されているから応援する事に決めた。」とか「無名でも伸びしろのある選手がいるので観に行きたい」なんて人はまずいないだろうし、いたらその人は既に相当なサッカー好きだ。
 10年単位の時間を掛けて地元(特にスタジアム近隣に住まう人々)のファンを開拓してきたなら、また違ったかもしれない。だがこのチームは何もしてこなかったとまでは言わないが、日産スタジアムは98年から本拠にしているのに地元港北区と協定を結んだり新横浜の通りの一つにマリノスの名を冠したりしたのがここ数年と、地域との本格的な協力関係をようやく築き始めた段階。ファンを増やす取り組みは継続的な時間を掛けて成果が出るもので、最新のマーケティング手法を導入しました→すぐ増えましたという訳にはいかない。またこれはビジネス全般に言える事だがどんなツールを使ったとしても結局のところ最後は人と人の信頼関係で決まるもので、そうした関係はすぐ構築される訳では無い。その点で川崎はこの15年くらい地道にファン開拓の取り組みを継続し、地元自治体や関連機関、商店街などともコミュニケーションを取ってきた結果、取り組み開始当時の子供達が20代を迎えて層の厚みに繋がり、また年齢層の幅広さにも繋がっていると思う。日産での川崎戦でアウェイゴール裏2階開放が当たり前になってきた事にそれを実感する。

 そんな訳でここ最近のマリノスの経営面では「SAPの分析ツールを導入」とか「最先端のSNS活用手法を実践」とかいかにも(自称)意識の高い人たちに受けそうな話題が多いが、その成果が本格的に出るのは地道に継続した上で5年、10年先の話になってくるので、その点に不安を感じている。“継続”こそこのチームに最も欠けている要素なので。後は今季から席割りが大幅に変わるが、それがどうなるか。おそらく客単価のUPと毎試合ホームゴール裏を2階まで埋めたいという意図があるのだと思うが、個人的にもこれまでのバクスタ1階ホーム寄りからホームゴール裏2階に移動となるので始まってみないと分からない部分はある。日産スタジアムは改修工事中につきしばらくアウェイと三ツ沢が続いた後、4/8まで待つ事になるが。開幕のヤンマーも土曜なら行ったが日曜16時なのでDAZNに決定。明日は近場でどこかの試合に行こうかな。