J1第2節 柏×横浜M(三協F柏)


 平日に日立台に行くのは初めて。この日に備えて会社のより柏に近い事務所で夕方に打合せを入れていたのだが、京浜東北の沿線の火災でまずそこに行くのに難儀した。まぁハプニングはあったものの、無事19時頃にスタジアム到着。

 マリノスは前節と同じスタメンで柏は3人変更。パク・ジョンスは退場したCB中山の代わりだが、大谷、ハモン・ロペスがスタメンを外れたのはACLもあるのでターンオーバーということだろうか。
 前半はマリノスが押し込む展開。ピッチをワイドに使ってサイドから攻め込んでいったのだが、最後のクロスが単純過ぎてなかなか中央で合わず、迫力ある攻撃の割に決定機と呼べるシーンはそれほど無かった。逆に柏の方が圧倒的にボールを支配されながらも速攻でシュートまで持ち込むシーンが目立ったほどで。江坂のシュートがバーを直撃するシーンもあった。
 前節は友人と上野のHubで視ていたのだが、後半半ば過ぎから運動量が落ちてセレッソに押し込まれていったので、今日も後半の早い時間に先制したいなと思っていたところに、後半開始早々に柏が先制。エリア内でデゲネクがタックルしたボールが小泉の足に当たって絶妙なループになった形だったが、そこに至るまでエリア内にワン・ツーを交えつつドリブルで侵入した小泉の動きが見事だった。
 後半はマリノスがボールを支配するのは変わらないものの、前半ほどの迫力は無く、時間と共に動きも落ちていって柏にカウンターでシュートまで持ち込まれるシーンが増え始めた。そんな中で後半30分に先制点とほぼ同じパターンで柏が追加点。ここでも(マリノスから見て)左サイド深くでボールを奪った伊東がそのままゴール前までダイアゴナルにドリブルして反対サイドに走り込んだ大谷にパス、シュートの威力は無かったが、カバーに入った松原が足に当てた後で自分の手に当ててそのままゴールという実に珍妙なオウンゴールとなった。それ以降も展開はほぼ変わらず、そのまま2-0で柏の勝利。
 今日印象に残ったのは柏の右サイド伊東と小池のコンビだな。とにかく運動量が多く、伊東は最後の最後までカウンターでマリノスゴール前までドリブルしていたし、小池も体格こそ小柄だが当たり負けしない強さと、伊東がカウンターで持ち上がったら出来る限り自分も前に走り込んでサポートする姿勢が素晴らしかった。伊東がアディショナルタイムにカウンターで自陣から一人で持ち込んで、途中喜田を2度もかわしてシュートした場面は、最後のシュートを外したのを含めこの選手の真骨頂だったな。二人とも終了の笛と同時にピッチに仰向けに倒れ込んでいたが、それくらい完全燃焼のプレーだった。柏アカデミー出身の選手はマリノスの山中を見てもそうだが、技術だけでなくプロで当たり負けしない強さもあり、よく走る献身的な選手(つまりプロで戦える選手)が多いイメージなのだが、この伊東や小池のように補強した選手も同じような献身性を持ってるのは興味深い。それがこのクラブの色なのだろうな。

 マリノスはPSMで感じた通り、相手の守備が揃っている時の攻撃のアイデアが無かった。マン・Cとコンセプトは同じと言うが、グァルディオラのチームはバイエルンならリベリ&ロッベン、マン・Cならザネ、スターリング、デ・ブルイネといったサイドから決定機なパスを通したり自分で持ち込んで決める事も出来る選手がいる訳で、それこそ今のチームにマルティノス、齋藤がいたらハマっていたかなと思うのだが。今日の両サイドはその点で物足りず。特に遠藤だな。この選手の課題は技術面では無くメンタルとか判断力なのではないかと思う。プレーに相手の嫌がるポイントを突いたり裏をかくような強かさを感じない。まず縦に仕掛ける回数が少ないし、縦に突破しても最後は単純なクロスで終わる事が多い。それ以外はバックパスか、横へのドリブルなのだが、ボールの出しどころを探しに行くかのような“横ドリブル”は相手からしたらゴールに近付かれるより余程対処し易いだろう。後半に遠藤と交代で入ったシノヅカは技術は粗くてライン際でボールを止めきれずにタッチラインを割るシーンもあるのだが、ボールを持てば縦か斜め45度に仕掛けるので遠藤より“戦える”選手だと思うし、何かが起こる予感がする。上で述べたようにこのサッカーはサイドの突破力というのが重要な要素である以上、バックパスばかりするサイドアタッカーの居場所は無いということ。
 シーズン展望で不安要素として挙げた中盤だが、喜田はいい動きだった。去年までは守備だけで無く攻撃でも貢献しようとするものの、鋭い縦パスを入れたりゴール前に走り込むようなタイプではないので空回ってた印象なのだが、今季はアンカーの位置での守備+ボールの中継点として左右に散らすタスクに限定されているので良さが活きていると思う。前に位置する中町、天野は物足りない出来。柏のゴールは小泉、大谷と中盤の選手が相手ゴールエリア内にドリブルしたり走り込んだりした結果生まれたものだが、まさにあのようなプレーが求められているのではないかと思う。扇原もそういうタイプではないし、今後もサイドと共に攻撃(得点力)面で苦労するのではと思う。もしかしたら若い吉尾や山田にそういった適性があるのかもしれないが。

 3月に入ってから急に暖かくなったなと思っていたが、夜はまださすがに寒かった。今季から本格開催の金曜マッチだが、今日の自分の様に水曜なら躊躇する場所でも金曜なら行こうと思わせる点で、交通の便の良いスタジアムなら効果は大きいのではと思う。