ルヴァン杯GL FC東京×仙台(秩父宮)


 この秩父宮での試合は前々から行ってみたかった。今年ここでサッカーが開催されるのはラグビーW杯で味スタの使用が制限される、言わばその代替だし、数年後には神宮とセットで建て替えという話もあるので、今のスタジアムでサッカーが開催される事は今後おそらく無いだろう。その希少な2度の機会の内、最初は三ツ沢のマリノス戦と被ったため(結局大雨で行かなかったが)、今日が最初で最後のチャンスだった。
 外苑前から青山一丁目方面に歩いてバックスタンドから入場したが、サッカースタジアムは大抵郊外の公園にあるので周りを囲むビルという光景が新鮮に映った。思えば旧国立がまさにそんな環境にあったが(バクスタ上段、聖火台付近から新宿の高層ビル群を眺めるのが好きだった)、建て替えが始まってからそんな感覚も忘れていたようだ。

ホームゴール裏の先には神宮球場、更にその先には暗くて分かりにくいが新国立が立っている。

 スタジアム自体はこれまで座席の更新などはされてきたのだろうが、基本的には昭和時代に建てられた日本の球技場の特徴を備えている。

 いつも不思議に思うのだが、何故日本の球技場はメインスタンドが四角形ではなく、このように上隅が切り取られたような形状だったり、曲線を描いたりしているのだろうか。他に三ツ沢や日本平もそう。それがその当時の流行だったとか?
 今回自分が座ったのはバクスタだったが、なだらかな角度の大きなスタンドで、こういう大きい一層式のスタンドはキンチョウスタジアムのメインスタンドもそうだが迫力がある。着いたのは開始10分程前だったが、試合前のユルネバのマフラーの掲げ具合から見るにバクスタ内で普段から味スタに通っているであろう人は前方を中心に座ってるようだった。

 ルヴァン杯は他のグループの状況を殆ど把握してなかったのだが、このBグループは仙台が首位で勝点4差で東京が追う。東京は今日勝っても仙台は抜けないが他の2チームの状況を考えるとGL突破が近付く故か5/3のリーグ戦のスタメンを6人出してきた。林、太田、小川、橋本と後ろの選手が多かったのだが逆に攻撃陣はD・オリヴェイラ、久保、東の不在が大きく、前半は単調な攻撃に終始。永井はスタメンだったが、この選手はディエゴや久保と組んで良さが出るタイプで、自分で攻撃を作り出すようなタイプでは無い。スピードはあるが、今日のような縦ポンばかりだとさすがに仙台も先を読んで対処出来る。仙台は5/3からスタメン総入れ替えでコンビネーションには多少難があったが、石原、長沢、兵藤、梁勇基といった経験豊富な選手がいるので安定した戦い振りだった。
 後半は久保を入れてきたのだが、早速ドリブルで1人抜いてボールを相手陣内深くまで運んだり、違いを作り出していた。長谷川サッカーはこういう前のタレントに依存する部分が大きいな。ガンバ時代も中盤に遠藤、倉田、阿部と技術のある選手がいるから目立たなかったが、基本は引き気味で前の宇佐美&パトリックの決定力で勝つというサッカーだったし。今はそれが久保&ディエゴと。ただ久保は今夏に欧州に戻るという話もあるし、加えて9月中旬からラグビーW杯の影響でアウェイ8連戦もある。ここから攻撃陣でブレイクする選手や途中加入で刺激を与える選手が出てこないと厳しいとは思う。
 そのブレイク候補として今日は田川がスタメンだったが、あまり見せ場は作れず。後半開始早々には仙台GK関と衝突するシーンもあった(これで関は交代)。U20W杯メンバーにも選ばれたが、どうも未だ自分のプレースタイルを確立し切れて無い感が。鳥栖で試合に出始めた頃は主に左サイドから切り込むスタイルで、若い頃の矢野貴章みたいなタイプ(長身でCFタイプと思わせて実はスピードがあり3トップのサイドで活きるアタッカー)なのかとも思ったが、その後はクラブでも代表でも2トップの一角だったりCFだったりとポジションが定まっていない。結局の所アタッカーの価値は点に絡んでナンボなので、今のままだとゴールもアシストも記録出来ず燻ってしまう懸念もある。後、恵まれた身体能力を生かし切れてないという点では若い頃の伊藤翔を思い出したりもした。
 後半半ばにはディエゴも入れて東京が何度かゴールに迫ったが関に代わって入った川浪の好セーブもあって点は生まれず、そのまま0-0で終わった。自分が座った場所からは神宮のスコアボードも見えたのだが、後半半ばに7回裏の攻撃で、終了時間が被ったら帰りは混むなと思いながらの観戦だった。幸いまだ神宮の方は終わっておらず、外苑前駅と表参道までが多少混んだくらいですんなり帰れた。