ACL決勝第2戦 浦和×アル・ヒラル(埼スタ)


 今回も友人がチケを取ってくれて行くことが出来た。これで浦和のACL決勝は3度目の観戦。
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2017年
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 相手は前回と同じアルヒラルだが、2年前もギリギリの戦いだったが、当時と比較すると相手がゴミスやジョビンコを加えて更に強力になった一方で、浦和は岩波、橋岡などの若手、中堅が加入、台頭したとは言え、期待された山中、マルティノス、杉本といった加入選手達が機能せず、従来の主力(西川、槙野、宇賀神、阿部、柏木、興梠など)も軒並み30半ばに差し掛かって徐々に出場機会を減らす選手もいるなどあまり戦力に上積みは無い。また2年前はまだ(17年途中まで指揮していた)ミシャサッカーの残り香があったが、今は完全にそれは消えてしまい、個々が仕掛けるだけで連動性のある攻撃は見られなくなっている。第1戦の内容然り、これは相当厳しい戦いだろうなとは思った。浦和が勝つとすれば少ないチャンスを決めてどうにか1-0で90分を終え、延長、PKに委ねるしかないかなと。

 試合は第1戦ほど押し込まれることは無かったが、浦和の攻撃も単発でボールが前に渡らず、サイドから関根や橋岡が1~2回クロスを上げた程度。相手もかなり研究しておりこの両サイドには常に人が付いて2人で対応されるシーンもあり、なかなか突破出来なかった。ミシャ時代なら大きくサイドチェンジして逆サイドを駆け上がった選手がフリーでボールを持つシーンも作れたが、前述の通り今はそうしたパターンも無くなって個々が頑張るしか無い。
 アルヒラルで目に付いたのはゴミスだな。欧州にいた頃はよく動くFWというイメージだったが、実際に観るとその大きさと強さのインパクトが大きい。DFを背負ってもしっかりボールを収めて味方に渡しており、これまで浦和が対戦してきた中国勢の外国人選手(フッキなど)とはまた違った意味で脅威だった。まぁそれでも対人に強さを発揮する槙野や鈴木は徐々に慣れて上手く対応していたとは思うが、すばしっこいジョビンコには手を焼いていた。またそれ以外のサウジアラビア人選手達もさすが代表クラスを揃えるだけ合って個々の技術はしっかりしていてボール回しも安定していた。以前も書いたが西アジアの国々で一番テクニックがあるのがサウジだと思う。(フィジカルならイラン、その中間がイラクというイメージ。UAEはサウジのミニコピーでカタールは戦術的に訓練されたチームという印象。)
 前半はどうにか0-0で凌いだが、後半も一度右サイドからのクロスを頭で合わせたシーンがあったくらいで基本的には展開は変わらず、逆に浦和が攻めあぐねてアルヒラル陣内でボールを奪われカウンターを浴びる回数が増え始める。そうした中で後半半ばについにアルヒラルが先制。これで浦和は3点必要になり、この時点で事実上勝負は決したかな。杉本を入れてのパワープレーも試みたがあまり機能せず、終了間際にアルヒラルがもう1点加えて終了。

 浦和としてはよくここまで勝ち上がったと言うべきで、それくらいこの決勝は相手が上回っていた。この試合然り、ここ最近のA代表、U22代表もそうだが、どうも日本人指導者は相手を分析して強みを消すというアプローチや局面での対処が得意な一方で攻撃、守備と分けて考えがちだなと思うところがある。実際は攻守は一体で考えるべきもので、どういったサッカーを目指すか、という言葉の中に攻撃、守備についての基本理念が内包されているべきと思うのだが、その部分が少し弱いかなと。大槻監督も相手の分析には定評のある人だが、実際90分通してどういったサッカーかと言えば、上記の通り個々の突破に依存してあまり連動性もない。リーグ戦は恐らく残留出来るとは思うが、来季も継続というのは無いかな。新しく監督を呼ぶなら比較的若く現在の戦術に明るい人が良いのではと思う。

 表彰式も観たのでスタジアムを出るのが遅れてしまい、家に着いた時は0時を回っていた。今日の試合もまた浦和サポーターによる素晴らしいコレオ、そして初めて立体コレオも見ることが出来た。やはり日本でここまで圧倒的な“ホームの空気”を作り出せるのは浦和しかない。サポーターと言えばアルヒラルサポも2年前よりチャントや手拍子、フラッグを掲げてより“モダン”になっていたのは印象深い。中東にもこうしたサポーター文化が根付きつつあるのか。