高校選手権 決勝 岡山学芸館×東山(国立)

 去年に続いて今年も決勝を観に国立へ。ここは球技場化がご破算になったのを含めスタジアムそのものへ言いたいことは多いが、アクセスに関しては埼スタよりも観に行くハードルは低い。2日前に思い立って観に行こうと思える距離感ではあるんだな。
 建て替え後初めて行ったのが20年元日の天皇杯決勝なのでもう3年になるが、ここに行く時は毎回出来るだけそれまで観たことの無い場所を選ぶようにしている。2日前の時点では3階席と両ゴール裏しか残ってなかったが、これまで3階はメインの北側、バクスタ北、南には行ったことあるので、今回はメインの南側を選び、通路から2席目を確保。あの座席の前後間隔の狭さを考えると、2、3階席ならやはり出来るだけ通路側を選びたい。
 開始30分前に現地着。自分を含め駆け込みでチケを購入した人は結構いたようで、自分の左隣席も購入時点では空いていたが埋まっており、全体でも開始時点では空席があまり目立たないくらいにはなっていた。

試合直前

 
 今日の両チームはいずれも準決勝でリーグ戦の上位勢を倒してきたが、岡山学芸館はプリンス中国2位、東山もプリンス関西2部2位(1部昇格)であり、番狂わせ、ジャイキリとは言い切れず地力のあるチームが勝ち上がってきたという印象。開始からしばらくは東山がボールを展開して攻め込み、岡山学芸館は自陣でボールを奪ってもひたすら前線にロングボールという展開が続いていたが、前半も半ば頃になると岡山学芸館が大きなサイドチェンジからチャンスを作り出したり、少しずつ東山ゴールに近付き始める。そして前半25分にカウンターで右サイドから仕掛けてのクロスがOGとなって岡山学芸館が先制。守る側からすれば自ゴールに向かって走る中で速いクロスを入れられると足に当てるのが精一杯でこれは仕方ない。確か一昨年のEUROでもこのパターンのOGが多かった記憶がある。むしろ相手DFが自ゴールに向けて走らざるを得ない状況を作った岡山学芸館を褒めるべきかなと。
 試合は動いたがボール支配は東山で、落ち着いてボールキープしつつ攻め込むのは変わらず。見ていて特に中盤に独特の間合い、プレーリズムを持った選手が多かった。1対1では敢えて相手に食い付かせつつ逆を取ったり、ボールを受けてからパスするまでに一呼吸タメを入れたりと、そう言えばここは鎌田大地を輩出した高校だった。このサッカーからあの独特のプレースタイルが磨かれたのかと試合を観ながら納得してしまった。そんな中で前半終わり頃に、東山は左サイドに展開し、中に仕掛けて最後は中央エリアすぐ外にパス→ダイレクトで放ったシュートはゴール右上隅に入るというゴラッソで同点。そのまま前半終了。

 後半も東山が支配率では少し上回っていたと思うが、岡山学芸館もボールを奪ってサイドに展開→クロスという場面が多くなって一進一退となった。先ほど書いたように東山は相手に食い付かせていなすのが上手いのだが、岡山学芸館はそれでも諦めずに相手に食らい付くので、何回かに一度はボールを奪ってカウンターという場面が生まれる。この辺りのサッカーの真面目さ、実直さは同じ中国地方のそれこそファジアーノサンフレッチェに通じるものがあるな。
 そして後半10分も経たない頃に左サイドを人数を掛けて崩した後、フリーで上げたクロスをこれまたゴール前フリーで合わせて岡山学芸館が勝ち越し。この頃になると最初のロングボール一辺倒から完全に場慣れした感があった。そこからは東山もギアを上げて攻め込むようになり、左クロスからのヘッドがクロスバーを直撃、右サイド深く仕掛けて最後はゴール前フリーでシュートしながらフカしてしまった場面など惜しいシーンは何度かあったが決めきれず。そうしている内に徐々に東山の攻勢が弱まって岡山学芸館がカウンターで東山ゴールを脅かすようになり、終盤にロングスローのこぼれを合わせて決定的な3点目。これで勝負あったかな。AT3分の後、試合終了。

 岡山学芸館の粘り勝ちという試合だった。東山は何度いなしても食らい付く相手に最後根負けしてしまった印象。個々の技術で上回る相手をチームで崩して破ったという意味では14年前、大迫擁する鹿児島城西広島皆実が破った試合に近い。
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 この当時、00年代半ばから10年代半ばの10年は毎年のように初優勝校、初優勝都道府県が現れていたが、今回岡山学芸館岡山県としても初優勝を成し遂げたのを見ると、また群雄割拠の時代になるのかもしれない。22年度のプレミアイースト/ウエスト全22チームの中で高体連は9チームだったが、その内5チームが今大会の都道府県予選で敗退している。特に千葉はプレミアの流経柏、市船が共に敗退して出場したのは千葉県リーグの日体大柏だったがベスト8進出、福岡もプレミアの常連かつ選手権優勝経験もある東福岡を破って飯塚高校が初出場。クラブユースも鳥栖、川崎といった新興勢力が台頭しているし、各地で新しい取り組みや新興勢力が芽吹き、時代の転換点に差し掛かっている印象もある。

 表彰式が終わると日も傾いてすっかり夕方になっていた。やはりここに来ると↓の写真を撮ってしまう。

メインスタンドコンコースから望む新宿の高層ビル群

 今日右隣に座っていた人は見たところ年配(50~60代)だったが、前を通った際にファジアーノのマスコットのキーホルダーが目に入ったので岡山に縁があって岡山学芸館を応援しに来た人なのかもしれない。選手権は本当に観戦客の年齢層が幅広い。この人や私のようなOver-40世代はむしろ少なく、多くは20歳前後の連れやカップル、小学生の子供のいる家族連れなど。大会として色々課題はあるとは思うが、これだけでも意義はあると思っている。
 次の観戦は来月のスーパー杯かな。毎年この選手権決勝からJ開幕までの約1ヶ月が観戦的にはオフ期間で、1/20に日程が出たら今年の旅程をまた考えたい。