年間表彰2024(前編)

 1年の最後は日本サッカー表彰を。例年通り前後編に分け、今日の前編では年間MVP以外の各賞をば。

- 年間ベストマッチ
※過去の受賞試合

年間ベストマッチ(2005-2023)

1位:中国戦(○7-0/2024.9.5/北中米W杯3次予選@さいたま)
 今年のA代表は16戦13勝1分2敗という成績。勝率8割以上と数字上は好成績だが、この2敗はアジアカップで印象としてはアジアカップの苦さとその後の予選の好調ぶりという対照的な評価が混在、といったところ。
 その中でのベストマッチとしては3次予選の初戦かなと。相手との力の差はあったが、過去苦戦する事の多かった初戦で7-0というスコア、予選の同組国に単なる警戒以上のインパクトを与え、得失点差で圧倒的優位に立てた事により、以降の予選で戦略的にも主導権握って戦えたという点に於いても。

- 年間ワーストマッチ
※過去の「受賞」試合

年間ワーストマッチ(2008-2023)

“受賞”:イラン戦(●1-2/2024.2.3/アジアカップ準々決勝@ライヤーン)
 先ほど述べた様に今年の敗戦はいずれもアジアカップで、GLのイラク戦と迷ったが、この準々決勝イラン戦は、終了間際のPKで勝ち越される展開ではあったが、内容的に後半は殆ど良い形を作れず完敗だったという点でこちらを“ワースト”に。

- 年間ベストゴール 
※過去の受賞ゴール

年間ベストゴール(2005-2023)

1位:中村ベトナム戦)
2位:守田バーレーン戦の自身1点目)
3位:上田バーレーン戦)
4位:板倉(中国戦)
5位:堂安(シリア戦)
 今年は16試合で53ゴール(記録上3-0となった北朝鮮戦の不戦勝を含む)。去年に続いて1試合平均3点以上決めた訳だが、去年同様に得点者は17名に及ぶ。最多得点は上田、南野の7ゴールで小川の6ゴールが続くが、目を引くのはオウンゴールでも5点入っている事。いずれも相手選手が自陣ゴールを向いている場面で強烈なクロスやシュートによって誘発したもので、最近は世界的にこうしたOGが多くもあるのだが、今の代表が相手ゴールエリア内でそうした場面を数多く作れている反映でもあると思う。
 で、1位はアジアカップベトナム戦の中村敬斗の左45度からのミドル。この選手は本当にシュート時に冷静だし、ゴールそのものもポジショニングの巧みさからワンタッチで押し込むだけでなく豪快なミドルも備え、見ていて楽しい選手。このゴール以外にもW杯予選のミャンマー戦で似た様な豪快なミドルを決めていたが、相手に囲まれながらほぼノーステップで叩き込んだこのアジアカップのゴールを選んだ。
 1位が個の力なら2位は連携で決めた形という事で、予選バーレーン戦で守田がお手本の様なパス&ゴーで上田の落としを受けて冷静に流し込んだゴール。この選手はまず中盤の支配者としての活躍が思い浮かぶが、実は今年4ゴールと攻撃面でも貢献している。3位は同じバーレーン戦での上田綺世の振り向き様シュート。相手ゴールを背にボールを受けながらそこからマークをものともせず強烈なシュートを打つ強さと腰の回転に痺れた。4位はセットプレーからという事で、今年はデザインされたCKから幾つか決めていたが(他に予選ホーム中国戦の遠藤など)、このゴールはニアで高さのある町田が逸らしてファーでフリーの板倉が飛び込むという綺麗な形だった。5位は堂安の右からのカットインシュート。この選手もクラブでは徐々にゴール数が増えているが、代表でもこうしたゴールを量産してくれる事を期待したい。

- 最優秀若手選手(U-20)
※対象は2004/1/1生まれ以降の選手
※過去の受賞者

最優秀若手選手(2006-2023)

1位:高井 幸大(川崎)
2位:チェイス・アンリ(シュトゥットガルト
3位:小杉 啓太(湘南→ユールゴールデン)
4位:中島 洋太朗(広島)
5位:塩貝 健人(慶應大[横浜M特別指定]→NEC
 既にCLでも試合に出ているチェイスと迷ったが、主に新シーズン(2024-25シーズン)からトップで試合に出始めたチェイスよりはシーズン開始からほぼ試合に出て、U23で五輪出場、A代表デビューまで果たした高井かなと。代表デビューしたとは言えその後は出場機会無く壁は厚いものの、CB陣は冨安、伊藤、谷口と負傷者が続いているので、チェイスと共に次代と言わず来年以降A代表に本格的にポジション争いに参戦して欲しい。てかチェイスアメリカ代表も興味示しているらしいんで、まず日本を選んでくれるのを願うしかないが。
 この部門はこれまで基本的に国内を見ていればOKで、例外的に久保がいる程度だったが、17~18歳でも普通に渡欧するこの時代、海外にも目を向けないといけない。チェイス以外で活躍を見せたのは湘南のアカデミーからスウェーデンに渡った小杉で、夏以降左SBのレギュラーを掴んでカンファレンスリーグにも出場している。また5位の塩貝も欧州組だが、向こうでの活躍というよりは、U19代表でのゴール量産と短期間ではあったがマリノスでも試合に出てゴールを決めていたので。その他国内組ではJ2、J3と合わせればレギュラーを掴んでいるU20世代は何人かいたものの、やはりJ1で試合に出ている選手からという事で広島の中島を。スケールの大きなプレーメーカーという印象で、スラっとした長身からボールを捌く姿がどことなくリケルメを思わせる。

- 最優秀監督
※過去の受賞者

最優秀監督(2009-2023)

1位:城福 浩(東京V)
2位:吉田 孝行(神戸)
3位:黒田 剛(町田)
4位:大岩 剛(U23代表)
5位:秋葉 忠宏(清水)
 
 この表彰の目的は、戦力に比して好成績を残した監督を表彰というものなので、その主旨から言えば今年はJFK氏かなと。同じ昇格組の町田はヴェルディより上位(3位)だったが、戦力を考えると20代前半の若い選手中心に6位フィニッシュは偉業。正直去年POを勝ち抜いた時もこのサッカーだとJ1で苦戦は免れないかなと思っていたし、今季序盤は内容的には十分戦えていても終了間際の得点/失点でギリギリ勝点を拾ったり落としたりという試合が続いて、シーズン持つのかなと思っていたのだが、そんな予想を覆す6位。今季観たマリノス戦、川崎戦は共にヴェルディが敗れたが、いずれも内容的に勝ってもおかしくない試合で、最終的にはこの2チームより上位でフィニッシュ。
 2位はJ1連覇と天皇杯との2冠達成の吉田氏だが、武藤、大迫らタレントは揃っているとは言え、ターンオーバーしながらACLでも勝ち続けるチーム力の底上げだったりマネジメントの良さがあってこそだろうなと。
 3位は町田黒田氏だが、この人もマネジメントの才というかcoachというよりmanagerと言った方が似合う。見ていてモウリーニョを思わせる。モウリーニョポルトの頃はボールを大事にするサッカーに定評があったが、プレミアの強度とスピードに適応する中で今のスタイルになっていったが、黒田氏も長年結果を求められる私立強豪高の監督としてそうしたスタイルを磨いていったという点で。今季後半はさすがに対策されて勝点を伸ばせなくなっていったが、それに対する次の一手があるかどうかは注目している。
 4位以下はJ1だとなかなかこれはと思う人がおらず、名古屋長谷川氏(ルヴァン杯優勝)、湘南山口氏(リーグ終盤の4連勝で残留)、新潟松橋氏(ルヴァン杯準優勝)も考えたがリーグでは11位、15位、16位と中位以下だったので決め手に欠けるよなと。それ以外からという事でU23大岩氏は東京世代に比べてタレント力ではやや見劣りし、コロナ禍で20歳前後の大事な時期にあまり試合をこなせなかったパリ世代を率いてU23アジアカップ優勝、五輪本選もメダルは成らなかったがベスト8進出。清水秋葉氏は昨年のPO敗退から今年はJ2優勝、自動昇格達成という事で。

 明日は年間MVPを発表、の予定だが、まだ投票回収&集計中につき未だ予断を許さない・・・。