Kリーグ2第30節 水原三星×慶南FC(水原)

- 2年振り韓国旅
 9月は祝日が多いのでどこか未踏スタジアムに行こうかと思いつつ、そういや2年前のこの時期は韓国行ってたなと何気なくKリーグの日程を見ると、9/20水原、9/21蔚山とW杯開催地を連続して回れる日程。9/22に有給取れば4連休だし、これ行けそうだなと思って本格検討し始めたのが6月下旬だった。その時点で夏休みの日程も旅程も固まっておらず、最終的に先日の福島旅は8月末~9月初め、そこから3週間経たずに海外旅となってしまったが、行きたいスタジアムとその試合日程、仕事との調整等色々考慮した結果という事で。

- 出発~ソウル市内へ
 いつもの様に羽田の深夜便で向かう。このパターンも3回目なんでだいぶ慣れて来たが、こういう時に落とし穴があるので気を引き締め出国。飛行機は定刻通り4:40頃に仁川空港に着き、入国審査では他便の客はおらず何と一番乗り。前回はここで30分以上掛かったが、今回は並び時間ゼロで5時過ぎにはゲートを通過。お陰で乗ろうと思っていたバスに余裕で間に合った。前回は鉄道でソウル市内に向かったのだが、今回はホテル近くまで直通する路線のあるリムジンバスを利用。
 バスは座席が大きく座り心地は良かったが、空港からソウル市内に入った所で少し渋滞。まだ6時過ぎなのにもう混んでるのかよと思いつつ6時半頃にホテル近くのバス停に着いた。

リムジンバス車内

 この日の宿は江南エリア新論峴(シンノンヒョン)駅から徒歩1~2分の場所にあり、到着後ホテルに荷物を預け身軽になった後近くで朝食。翌朝行こうと思っていたユッケビビンバの店に確認も兼ねてひとまず向かうと営業していたが「日曜休業」の貼り紙(日本語表記もあり、日本人客の多さが伺える)。結果的にこの日行って正解だった。

ユッケビビンバ

食後もまだ7時過ぎでどこも観光地は営業してないので近くのカフェで時間を潰しつつこの日のスケジュールを確認。8時過ぎに新論峴から地下鉄で直通しているオリンピック公園に向かった。

- AMソウル観光

オリンピック公園

その名の通り1988ソウル五輪の会場となったエリアで、広大な敷地内にスポーツ施設、美術館、博物館などが並び、朝からランニングする人、犬の散歩、またフリークライミングの国際大会や野外ライブイベントも開催されていたようでその準備に動く人で賑わっていた。東京で言うなら駒沢、代々木、日比谷、上野の各公園の要素を集めた様な場所。
散策の最後に敷地内の漢城百済博物館を見学。無料。百済はここを都としており、百済の歴史を中心に発掘された遺物や当時のジオラマ模型などが展示されている。

漢城百済博物館

その後はバスで数分の場所にある。こちらへ。

ロッテワールドタワー

ここの展望台ソウルスカイに行ったのだが、それまでどうにか雲が晴れていた中で上って見るとご覧の通り。

ソウルスカイからの眺望その1

15分ほど粘ると徐々に雲が流れ多少は眺望出来るようにはなった。

ソウルスカイからの眺望その2

タワーを出た後は近くで昼食を摂り、今日のメインイベントの地、水原に向かう。

- 水原へ
 水原はソウルの南の郊外にあり、水原華城という城郭やカルビで有名との事だったが、昼食を食べた場所からバスを乗り間違えて時間を少しロスしてしまい、そのままスタジアムに直行する事にした。ひとまず江南に戻った後でルートを検索すると、スタジアムまで直行するバス路線があるのが分かり、それに乗車。
ちなみにこの時間になるとご覧の通りの天候で、これだったらソウルスカイからも素晴らしい眺めだったはずだがツイてない苦笑。

晴れ渡る江南

バスには各座席にUSBの口も付いており、そこでスマホを充電しつつ冷房の効いた車内にいると、深夜便で寝不足だったのもあって半分くらい意識を飛ばしていたが、50分ほど乗車して到着。
 
 スタジアムのチケット売り場に行くとスタッフが日本語を話せる人でスムースに購入。買ったのはメインスタンド1階アウェイ寄りで23000ウォン(約2400円)。前回も思ったがKリーグのチケはJよりかなり安い。まぁJの方が近年高くなっているとも言えるが、マリノス戦での日産の同じ場所と比較するとおおよそ半額。水原は一昨年降格して今は2部である為か、メイン2階中央のペア席を除いて基本2階は封鎖し1階のみ開けているようだ。

 入場前にスタジアム周辺も少し散策してみたが、スタグルのキッチンカーや広場でのイベントなどそこはJと変わらない光景。

水原ワールドカップスタジアムキッチンカー

広場隣には自分が購入した場所とは別の売り場があり、そこにいはチケの自販機?のような端末が置かれていたのだがgoogle翻訳に掛けると予約したチケを発券する端末らしい。

予約チケット発券端末

 そんな感じで色々見聞しつつ入場。

水原ワールドカップスタジアム

 2002年の開催地の一つ。屋根はメインとバックのみだが、専スタで非常に見やすい。模様を描いたような独特の座席は当時から変わってないと思うが、バック両端のペア席など改装されたと思われる箇所もあった。
 試合前は何かの大会で優勝したらしいU18チームの表彰などが行われつつ試合が近付くにつれて人も集まって来た。韓国は日本よりも直前で入場する人が多い印象。開始まで30分を切ってから一気に入って来る。ホームゴール裏も直前まで空いていたが、声の様子からコンコースで決起集会していたようだ。

- 試合

選手入場時

 先ほど書いた様に水原は現在2部で順位は2位。Kリーグ2のレギュレーションは

1位:自動昇格
2位:1部11位との入替戦
3~5位:3位vs(4位vs5位の勝者)の勝者が1部10位との入替戦

となっており、水原は首位仁川Uとは勝点10差なので現実的にはこのまま2位で入替戦直行ルートを確保という戦いになるのかなと。対する慶南は11位/14チームなので水原が押し込む展開を予想していた。
 実際序盤からかなり押し込んでいたのだが、前線のブラジル人FWセラフィム(8月の月間MVP?で試合前に表彰もされていた)頼みの面は否めず。ファン・ソッコ(36歳)、キム・ミヌ(35歳)などJでも活躍したベテランがスタメンだったが、単純なパスミスなど不安定な戦いぶりで、そうしている内に慶南が相手ゴールエリア内をパスで崩して先制。慶南は2部でも下位なのでとにかく守って縦ポンなのかと思っていたが、激しく守りつつ前線にブラジル、ポルトガル人選手4人を並べ、意外とテクニカルなプレーが多かった。水原は前半終了間際に相手のハンドでPKを獲得。最初PK判定の後、VARが入ったので取り消しかと思いきや判定変わらず。また最終判定は主審による場内アナウンスで行われたがこの方法を始めて生で観た。2部リーグへのVAR導入含め、Kリーグは色々取り入れてるんだな。
 PKを得た水原だったがキッカーのCFイリュチェンコがふかして失敗。この選手は名前からロシアやウクライナ出身なのかなと思ったが、ロシア(旧ソ連)生まれで幼少期にドイツに移住した選手という。ドイツでは2部~4部でプレーした後6年前に韓国に渡り、2020年にはベストイレブンも受賞。35歳のベテランでシュートに持ち込む力はその当時ほどでは無さそうだったが、ポストプレーの安定度はあった。PK失敗後も何度か決定機はあり、キム・ミヌのシュートがポスト直撃というシーンもあったが決められず1-0慶南リードで折り返し。

 後半も水原が押し気味ではあったが、慶南の方が上手くコントロールしているという展開。そして後半半ばに追加点を挙げ、これは一旦オフサイドで取り消されたが、判定の結果ゴールが認められて2-0。
 水原はJでもよく見る、降格チームが2部では個の力で優位に立つものの、組織として未成熟かつ2部での戦い方に適応できず勝点を取りこぼしていくパターンを思わせた。水原のビョン・スンファン監督は韓国のU17代表監督歴があり、その時はU17アジアカップで佐藤龍之介や名和田我空世代の日本に決勝で敗れ2位。U代表から去年2部リーグの監督に就任した経緯は奇しくも対戦した日本の森山監督と全く同じ。最終ラインからしっかりビルドアップするサッカーを志向しているようだったが、選手のパススキルがそこまで達してないので結局前線のセラフィム頼みの感はあった。ちなみに今季途中から井原さんがコーチに入っており、試合前にその姿を見る事が出来た。
 終盤になると、そのセラフィムがCKから決めて1点差とし、最後は慶南を押し込んで枠内シュートも何度かあったが決め切れずそのまま試合終了。

アウェイゴール
  • 試合後

 この試合で強く印象に残っているのは水原サポ。チーム名はBluewingsながらチームとしては完全にトリコロールを前面に出しており、幕や大旗のデザインやトリパラなど完全にマリノス笑。

ホームゴール裏(試合前)
トリパラ

この“JUST FOOTBALL NO POLITICS”という黒い弾幕は何か背景有りそうだったが。

 ただチャントの種類や声量は2年前に見た仁川、FCソウル以上で、色々調べるとクラブサポとして韓国でも先駆者的存在らしく、Jでいうところの浦和みたいな位置付けか。試合中スタンドから相手へのブーイングや抗議などあると映像装置に何かメッセージが表示され、画像翻訳に掛けると「最高の応援文化の為には~」みたいな内容だったので、クラブとしてはそうした熱さをコントロールするのに苦慮している様子も伺われた。これは水原に限らないが、韓国だとカウンターでのチャンスや味方がファールで倒された時などの熱の入り方が大きい。メインのアウェイ寄りでも全員声上げてる訳では無く、家族と談笑しながら見ている人もいれば、ワンプレーに大興奮という人もいたりで様々。Jだとすぐ「野次が五月蝿い」だの「こんな雰囲気ではライト層が~」みたいな内容がSNSに書き込まれて現地の実態などお構いなしに仮想空間上で議論が先走りする事も多々あるが、皆それぞれ自分のスタイルで観ている方が余程健全だなと。

- 試合後
 試合後は近くのバス停から2停留所先にある地下鉄駅からソウルに戻る。この新盆唐線はホテル最寄りの新論峴駅に直通しており(約40分)、感覚としては埼スタから埼玉高速鉄道南北線で23区内まで戻るのに近い。今回新論峴に宿を取ったのはこの水原からのアクセスを考慮した面もあった。
 ホテルにチェックイン後、その時点でかなり歩き倒して疲労も溜まっていたが、それを押して外出し、近くの大型書店で前回も購入したKリーグの年鑑を買い、そこからバスで数分の場所にある店で夕飯。

カンジャンケジャン

 今回食べてみたかったものの一つ。ワタリガニの醬油漬け。ビニール手袋を付けて蟹の身を吸い出す様に食べる。また甲羅に載った蟹味噌とご飯を混ぜて食べたりもする。店内は9割方日本人だったが笑、美味かった。ホテルに戻り、ようやく休息。前日夜から睡眠不足の中歩き通したので速攻で寝れた。