3月

 まぁあれだな、帝政の成立は確かにカエサルという天才の存在が大前提ではあったものの、それを確立し、盤石にしたのはオクタヴィアヌスティベリウスといった実行力や責任感、そして全体を見渡せる視野も備えた後継者がいたからで、さらに言うならアグリッパやマエケナスみたいな本当の意味での補佐役にも恵まれたればこそ、という事か。逆にそうした人材が枯渇した末期になると蛮族の侵入と相まって縮小・分裂傾向に歯止めが掛からず、ついには消滅するに至った、と。
 その意味では人に恵まれたこれまでが幸運だったと言えなくもない。今がカリグラや四皇帝の年みたく(結果的に)その後の飛躍を前にした一時的な停滞なのか、それとも五賢帝以降の様にもはや長期的な零落傾向は避けられないのか―――さて。ただ、何故そうした人材がいなくなったのかは考えてみる必要はあるかもしれない。


 気が付けば3月に入ってた。やっと寒くなくなってきたのは良いんだが、この微妙な生温い感じはどうにも落ち着けない。