新国立について

 久々にスタジアム話を。昨日、新国立競技場の最新案がUPされていた。
外観

球技モード(サッカー)

陸上モード

やはり↓の当初案にあった首都高を跨ぐ歩道橋は無くなっていた(苦笑)球技モードを見ると、スタンドはヤンマースタジアムの拡大版ようなイメージだな。ここには載せなかったが原資料にはラグビー開催時の画像もあって、元々19年のラグビーW杯開催に向けた改築という事を考えれば、先日の現行スタジアムラストマッチ同様、おそらく柿落としラグビーの試合かと思う。果たして8万も埋まるのかという気もするが、人気に比して政治力は異常に高い(その源は協会長かつ五輪組織委員長の元首相であるのは間違いない。)この競技を考えれば十分に有り得る。余談だがこの元首相は既に76歳で、20年には83歳なのだがよくそれで組織委員長など引き受けたなと思う。他の組織委員の顔ぶれをみると更に暗澹たる思いになってくるが。

 スタジアムについては今になって主に景観問題で建築家有志から反対運動が起きているが、おそらくはこの案のまま建設が進められるだろう。この反対派の意見をよく読むと観戦者の視点が欠落していて、こういう人々が今まで日本のスタジアムを設計してきたのだなと思わずにはいられないのだがここでは竣工後の代表戦のスタジアム運用について考えてみたい。

 まず言えるのは、現在埼スタで開催されている代表の重要な公式戦は全て新国立での開催になるであろうという事。ドイツW杯予選から予選は殆ど埼スタ開催ながら1試合は日産での試合が組まれていたのが、ブラジルW杯予選ではついに全試合さいたま開催になった。スタジアムのキャパシティは日産の方が2000〜3000名ほど多く収容出来るし、横浜郊外とは言え新幹線駅から近いアクセスは埼スタの比ではないが、それでも協会が埼スタに拘るのは「専用スタジアム」の優位性がそれを上回るからとしか考えられない。勝率が悪くて最近開催されなくなったけど(苦笑)、一時期豊田スタジアムでの開催が多かったり、関西でもヤンマーでなはくノエスタで開催したり、協会は出来る限り専スタ開催を目指しているように思う。協会の志向としてはもう1つ、地方開催というテーマもあって、近年親善試合は新潟、札幌、宮城など各地域での開催が増えてきている。

 その上で新国立が出来ると、収容人数、アクセス、ピッチの近さ、と全ての条件で埼スタを上回る事になり、イングランドにおけるウェンブリー、フランスにおけるサン・ドニみたく少なくとも公式戦は全てここで開催されるはず。(イングランドもフランスも親善試合含む殆どナショナルスタジアム開催なのは異なるが。)何よりアクセスが最強過ぎる。最寄り4駅(千駄ヶ谷信濃町、国立競技場、外苑前)以外にも少し足を伸ばせば(特に帰りは)代々木、青山一丁目北参道も十分徒歩圏内。19:30開始なら何も定時ダッシュせずとも間に合ってしまうのは大きい。

 一方で新国立が出来ると首都圏の他のスタジアムの立ち位置、特に日産スタジアムの位置づけが難しくなるように思う。↓は現在計画されている首都圏スタジアムの工事が全て終わった場合の収容人数。(等々力は現在メインスタンドのみ改修中で、その他スタンドの工期は未定。)

・新国立競技場(23区):約80,000(代表戦、カップ戦決勝)
味の素スタジアム(多摩地区):約50,000(FC東京、東京V
日産スタジアム(横浜):約65,000(横浜M)
埼玉スタジアム(さいたま):約63,000(浦和)
・等々力競技場(川崎):約35,000(川崎)※
 ※改修が全て終わった場合

 等々力も味スタもトラック併設だけど、スタンドがトラックに沿っている分まだマシで収容人数も本拠地Jクラブの規模に即したものなのだが、日産は収容人数の突出感とあのどうしようもない構造が悪目立ちしてしまう。先日マン・Cを運営する投資会社がマリノスに20%出資すると発表したが、補強より新スタジアムに期待したいところだ。まぁ現実味は低く、今の横浜にそれが可能な場所はそれこそみなとみらい位しか残っていないが。
 後は新国立が竣工するまでの主要大会決勝会場として存在感を高められるかどうか。今年の天皇杯決勝は日産だが、2018年まで継続開催出来れば決勝のイメージが定着してワンランクステータスが高まる、かもしれない。新国立が出来るまでどう運用するのだろうか。天皇杯決勝=日産、高校サッカー決勝=埼スタみたく大会と紐付けるのか、それとも首都圏以外にヤンマーなど含め大会と会場をローテーションさせていくのか。最近の協会はサッカーの全国津々浦々の展開を意識してる節があるので、後者ではないかと思っているのだが。