準決勝(伯×独)

 何から書くべきか・・・。ドイツの4点目、5点目はGKが飛び出してきた中でシュートを打たずにサイドから中央に折り返し、ガラ空きのゴールに流し込むパターンだったが、EURO2012の前だったかの親善試合オランダ戦でも似た様なシーンがあったので、選手達の身体に染み付いたパターンだったのだろう。今日に限らずドイツの試合を視ていると技術とは詰まる所、足―――自分の狙った場所に正確に蹴る―――と頭―――どこを狙うか常に複数の選択肢を持つ―――なのだなと痛感させられる。華麗な足技も突き詰めれば思い通りにボールを動かせる一例。7点目のシュールレは出来過ぎな感もあったが、ゴールは全て技術の正確さの発露だった。特にT・ミュラーだな。エジルなどは魅せるプレーもあるが、この選手のプレーの合理性とマークを掻い潜ってスペースを見付ける動きには感嘆してしまう。先制点もそうだし、シュールレの6点目もすぐ傍に走り込んでいた。何より大舞台に強いのが素晴らしい。代表通算では22点だが、そのうち半分近くの10点がW杯本大会で、クラブではPKで負けたCL決勝チェルシー戦で先制点を決めている。このような選手も監督としては外したくないタイプだな。

 ブラジルについて言えば、最初は激しいプレーで主導権を握ろうとしていたが、あれを凌げるかどうかが強豪とそうでないチームの違い、なんだろうと思う。日本は去年のコンフェデで序盤に失点してそのまま押し切られてしまったが、逆に序盤を耐え切れば今日のドイツとまではいかずとも拮抗した展開に持ち込めたかもしれない。見方を変えるとブラジルはそうするしか勝機が無かった。先手必勝の言葉通りに最初から飛ばしてでも先に点を取れば主導権を握れる一方で、落ち着いて試合に入って、仮に先制されでもしたら巻き返すほどの力は無かった。ましてやネイマールとT・シウバが居ない状況では。そもそも主力2人が欠けたと言ってもドイツはレギュラー候補ならロイス、ギュンドアン、23人枠候補でベンダー兄弟、ゴメス、シュメルツァーを欠いてブラジル入りし、この試合はゲッツェに出場機会が無かった。要は層が違い過ぎたという事。
 しかしブラジルにとってこの結果による最大の打撃は今まであった神秘性というか実体以上に強く見える得体の知れない雰囲気が消えてしまった点なのでは?と思う。得体の知れないというか過去の実績が醸し出すオーラとでも言うべきもの。これによって現時点で一流ではあっても超一流では無いネイマールが代表ではメッシ、C・ロナウドと肩を並べたり、欧州によくいる普通の職人的選手が万能な一流選手に見えるように、選手全員がワンランク格上げ出来てしまう。D・ルイスなどはその最たる例で、今まで少なくとも代表では「攻撃力を備え、FKも持つワールドクラスのDF」だったのが今日で「T・シウバが居なければライン統率も出来ず、攻撃参加したまま守備を疎かにする危なっかしいDF」になった。

 前回に先制出来れば有利とは書いたが、決定力云々言ったのは完全に逆フラグになった(苦笑)しかも一番得点力が低いと思っていたクロースが狙ったかのように2点も取って。だから結果に左右されず、優勝予想もこのままアルゼンチンに据え置く。